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数時間後、涼ちゃんにも悪寒とだるさが襲ってきた。
自分でさえ立ち上がるのもつらい。
𓏸𓏸はまだ熱がある状態だけど、懸命に涼ちゃんの世話を続けた。
「涼ちゃん、熱測ろう……」
朝8:30――37.9℃
11:00――38.3℃
14:00――38.6℃
17:30――38.2℃
20:00――39.0℃
数字は測るたびに上下するが、どれも高いままだった。
𓏸𓏸は丁寧に冷えピタを涼ちゃんの額にそっと貼る。
「少しは楽になるといいけど……」
涼ちゃんは布団の中で、弱々しく息を吐いた。だれかを呼ぶ元気もなく、ただ窓の外の灰色の空ばかり見つめていた。
𓏸𓏸は小さなノートを開いて、涼ちゃんの体調を細かく記録していく。
【7/21 8:30 体温37.9℃ やや顔色が悪い】
【11:00 体温38.3℃ 咳少し 水を半分】
【14:00 体温38.6℃ 会話なし 横になっている】
【17:30 体温38.2℃ 冷えピタ交換 返事はうなずきだけ】
【20:00 体温39.0℃ 水も食事も拒否】
ペン先が震えて文字が歪んでも、𓏸𓏸は一生懸命全てノートに残した。
(今はこれくらいしかできないけど、絶対に……)
𓏸𓏸の不安と祈りのすべてが、ノートの一文字一文字に込められていく。