クリスタルルージュが2冠目を達成したその2ヶ月後———
「海だ〜〜!!」
2年目の夏合宿が開催されていた時だった
「あーつーい!!」
「ローマ、暑くてもトレーニングは大事だからな!」
「ふぇ〜」
「ふぇ〜じゃねーだろ!ライスシャワーみたいにならないでよ!」
「…はーい」
「はぁぁぁぁ!!!!」
「いいタイムだ!この調子!!!!」
三井とローマはスピードトレーニングを行っていた。その場を見たルージュは…
「ローマすごいな、私もローマみたいになりたいな!」
「油断するなよ、たとえティアラ三冠まであと少しなんだからな」
「グルーヴ先輩!」
「…まさかローマが三冠まであと少しのところまで来るとは、飛んだ怪物だ」
「トレーナーとの教えが完璧ですよね。けど、なんでレースのことがすんなり分かるのでしょうか?」
「私も三井優希はどういう人なのか分からないが、ローマとの気持ちが一致しているな」
「ルージュ!そこでビーチバレーやろうよ!」
「は〜い!今行くよ!!」
「トレーナー!レシーブ!!」
「OK!!」
「お返し〜!!」
「あぁ!トレーナーさんちゃんと取ってくださいよ!」
「ごめん!!」
「さっきのレシーブ凄かったですね名取さん!」
「いや〜、ローマのスマッシュは強いですよ!」
名取彩(なとりあや)
クリスタルルージュの専属トレーナー。彼女の憧れトレーナーは桐生院葵だという。
「そういえば、桐生院さんのハッピーミークGI制覇したらしいですね!」
「しかも短距離やマイルなど、適正距離が全て得意なんて中々いませんよね!」
「彩さんも桐生院さんみたいに強いトレーナーになりたいんですよね?」
「もちろん!しかもトリプルティアラまであと少しなので!三井さんのローマも無敗の三冠まであと少しですよね!」
「まさか偉業までに来てしまうとは、ローマ怪物ですよ!」
「トレーナー!次のトレーニングやりましょう!」
「すぐ行く!!」
「トリプルティアラね…」
「まさか、クリスタルルージュの一人旅にはさせませんよ!!」
「…?。誰君?」
「私はフェアレディストーム、クリスタルルージュはライバルさ!」
「あぁ!確かオークスで2着だった」
「次の秋華賞は私が勝ちますわ!」
「ホントか?」
「えぇ!では私はこの辺で!!」
「フェアレディストーム、英語で訳すとなんだろう…え?嵐の貴婦人?」
これはやばいな…
合宿所
「フェアレディストームって、ルージュが桜花賞やオークスも…ハナ差」
「トレーナー、花火見に行こう!」
「あぁ…行こう!!!」
「ん?何これ?———
フェアレディストーム、桜花2着賞、オークス2着…すべてハナ差?!しかもどのレースもルージュが1着取ってるレース!」
「ローマ、人のパソコン見てないで行くぞ!!」
「…ごめんなさい!!」
廊下
「ふんふんふーん♪♪」
「ウララも花火見に行くの?」
「ルージュちゃん!うん!ライスちゃんも一緒なの!」
「花火見るの楽しみ!」
何故だろうか?ライスとウララを見るとなんか自然と笑みがこぼれる。デジタルが言ってる萌えぇぇぇウマ娘ちゃぁぁぁんと言う気分だろうか
「そういえば、廊下にルージュさんの写真があったけど…?」
「私の写真?」
それはルージュの決めポーズみたいな写真がライスに渡された。しかもルージュの顔に穴が空いている
「穴が空いている?誰か私のこと憧れているのかな?」
「きっとそうだよ!!」
「ルージュちゃん人気なんだね!」
「うふふ、そうかな」
「けど、顔に画鋲刺すかな?」
「なんでだろう…まぁいいか!花火見に行こう!!」
ヒュールルルルルルルル
ドッカーーーーン!!!!
「「「わぁ!!!」」」
3人は花火に見とれていた。夏の風物詩って感じだね!!
「ルージュちゃん見て!大っきい花火が上がってるよ!」
「本当だ!綺麗!!!!」
「うん!綺麗だね!!」
「…………」
「ルージュちゃん?」
「あ…ごめんね!1ヶ月後は秋華賞だから、ティアラ三冠かかるレースなの」
「そうなの?!じゃあウララも応援するね!」
「ライスも応援するよ!!」
「…ありがとう!ライス!ウララ!」
「「うわぁぁぁ!」」
2人の応援に勇気づけられ、思わず2人を抱いてしまった。けど、可愛い2人が応援するのって嬉しい!
「私決めましたわ!次の秋華賞は1着よ!!」
「しかもクリスタルルージュがいるからね!気をつけた方がいいよ」
「三冠を阻止するわ!!」
その1ヶ月後に嵐のレースになるとは思わなかっただろう…
夏合宿から1ヶ月後
10月中旬
秋華賞当日
「ふぅぅぅぅ!!」
「肩の力を抜いていけよルージュ!」
「グルーヴさん?!ファインさんも?!」
「ルージュちゃんがトリプルティアラの偉業に挑むから駆けつけちゃったよ!」
「ありがとうございます!!ティアラ三冠目指して頑張ります!!」
「ちょっと!私も忘れないで欲しいわ!!」
「ストーム?!」
「今度こそ勝ちますわ!2回ともハナ差なら次は1着よ!!」
「負けないよ!絶対ティアラ三冠…」
「!!!!!」
「そろそろ行きますわよ!!」
『間違いなく勝ちに来てる…!絶対負けたくない!!』
「クラシッククラスの最後の女王の冠、秋華賞!クリスタルルージュが史上3人目のティアラ三冠を取るのか?!それともフェアレディストームが最後の一冠を獲得するのか?!」
「今までのことをぶつけるんだ!!」
「ストーム?!」
突然、ストームが声を大にしてレースをするウマ娘達に注目を浴びせた。
「クリスタルルージュ!貴方を地獄へ落としてやるわ…!」
「!!!!!!」
ガシャコン!!
「スタートしました!1番のコンチネンタルレディースが先頭でレースを引っ張ります!!」
『レディースは逃げる、けど終盤で落ちるからそこで…!!』
「注目のクリスタルルージュは中段にいます!2番人気のフェアレディストームが後方から3番手の位置です!!」
『ルージュ、貴方の走りを徹底的に調べましたわ!終盤で…6馬身差で蹴りつけますわ!!』
「1コーナーから2コーナーにかけていくウマ娘達!ここまで激しい順位争いはなく静かな幕開けです!!」
ワァァァァァァ!!!!
「ストレートに入りました!ここまで順位を確認しましょう————
現在トップはコンチネンタルレディース、2番手にブルーサファイア、3番手にクロスワークスが続いています!…1番人気のクリスタルルージュは1つ順位を落として中団にいます!後方にフェアレディストームがいます!!」
「明らかに狙いに来てるなフェアレディストーム」
「フェアレディストーム?」
「ルージュが桜花賞、オークスでハナ差で2着の相手だ。戦うのが3度目、明らかにマークしている」
「3コーナーから4コーナーに入りました。ここでフェアレディストームが少しずつですがペースを上げました!!」
『やっぱり上がってきた!!』
「おおっと?!クリスタルルージュが早くも仕掛けた!!内を着く!!」
「上がってきたけど、ここから最後まで持つのか?」
「頑張ってルージュちゃん!!」
「さぁ最終コーナーに入りました!!最後の直線で誰が仕掛けるのか?!」
「クリスタルルージュがペースを上げる!!」
クリスタルルージュが仕掛けたが、内を走っていたせいか、抜け出せるスペースがなかった。致命的なミスかもしれない!!
「クリスタルルージュがペースが上がらない?!抜け出せないのか?!その間にフェアレディストームが外から上がってきた!凄い脚だ!!」
『内を着いたらもう終わりよ!ティアラは無理ね!』
「フェアレディストームが後ろを離す!ぐんぐん離す!!!!」
「フェアレディストーム、見事なレースでゴールイン!!最後の栄冠はフェアレディストーム!!クリスタルルージュはまさかの7着!!」
「やりましたわ!!三度目の正直を実行しましたわ!!」
ワァァァァァァァァァァァ!!!!!
地下バ場
「……………」
「お疲れルージュ…」
「グルーヴさん……」
「悔しい気持ちは分かる、最後の一冠を取れなかったのは残念だったが、その経験を忘れるな」
「……」
「ルージュ?」
「っ!!!!」
ルージュはエアグルーヴを抱いた。悔しかったのだろう。
「うぅぅぅ………!!」
「…よく頑張ったな!」
「えぇぇぇぇぇん!えぇぇぇぇぇぇん!」
ウイニングライブを終えた2人は、会場の掛け声に違和感を感じた。
「はぁ〜。偉業で阻止されたのかもだろうか、批判が多いわね」
「………」
「クリスタルルージュ。私謝罪しますわ。あの合宿の時、地獄へ落としてやるわと思ってしまって…」
「…え?」
「ごめなさいですわ…」
「……いいんだよ!」
「?」
「いい戦いだった証として!!これからもライバルでいてくれる?」
「…もちろんですわ!またレースしましょ!!」
「うん!次のレースで!!」
ルージュとストームはいいライバルでもあって、友達と思えたかもしれない。
「皆!!私次のレースで勝つから!!」
「私も!!」
「おぉ!!2人の戦いどうなるだろうな!!」
「絶対勝ってくれよルージュ!!」
「負けるなよストーム!!またいいレースしてくれ!!」
2人の背中には、女王の魂が宿っていた
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番外編はこれで終了です