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あっとくん目線
最初に名前を呼んだ時の、
あの表情が忘れられない。
「夜雲 月ーー月ちゃん、だよね」
こっちを見て、少しだけ驚いたように
目を見開いて。
でもすぐに、目線をそらすみたいに、
顔を伏せた。
”自分に興味を持たれること”に
慣れていない。そんな反応だった。
不思議な子だなって思った。
周りから1歩引いた場所にいて、
でも誰よりもステージのことを
ちゃんと見てる。
誰よりも丁寧に作業して、
誰よりも控えめに笑ってーー
それなのに、誰からも
気づかれていないような気がして。
気づいた瞬間、目が離せなくなった。
一緒に準備して、話して、
その度に距離が近づいている気がして。
けど、
どこかで彼女が何かを怖がっているのも
感じた
『優しくされるのが怖い』
そういった時の声は、今でも耳に残ってる
どんな過去があったのかは俺には分からない
でも、無理に聞こうとは思わない。
君が話したいと思える時まで、
ちゃんと待っていたいから
「俺は、君のこと、
もっと知りたいと思ってるよ」
本当にそう思ってた。
恋だって、たぶん、したことはあった。
でも、それはどこか
”気持ちの熱さ”が違ってた
月ちゃんに触れると、どこか苦しくなる
声を聞くだけで、呼吸が少し乱れる。
手が触れただけで、その日の夜、
何度もその感触を思い出す。
たぶん、これはもう「好き」なんだと思う
だけも、簡単に言いたくなかった。
好きって言ったら、
それがどれだけ君を追い詰めてしまうから、
何となく、分かるから。
だから、まだいわない。
だけど、それでも一緒にいたい。
触れられる距離で、そばに居たい。
「月ちゃん」
名前を呼ぶ度に、心がきゅっとなる。
名前を呼ぶ度に、君への思いが強くなる。
これが恋なら、
俺は今、確かに君に恋をしている。
だけど今はまだ、その気持ちを
「伝えたい」より「壊したくない」
が勝ってる。
だからーー明日もまた、
君のそばにいることを選ぶよ。
”言葉にならない”思いのままで