テラーノベル
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――スノーフル。
雪が静かに降っていた。
その木の根元に、一人のスケルトンがいた。
きりゅう:「…………」
白いフードを深く被り、木に背を預けている。
きりゅう:「……うっ……」
きりゅう:「…………」
吐き気が止まらない。
みーな。
カオス。
シャドウ。
そして、これまでに殺してきた仲間たち。
その記憶が頭から離れない。
きりゅう:「……俺は……何してんだよ……」
きりゅう:「…………」
きりゅうは自分の手を見る。
きりゅう:「……こんなこと……したかったわけじゃ……」
???:「……きりゅうさん?」
きりゅう:「…………!」
聞き覚えのある声。
振り返ると、そこには根暗がいた。
根暗:「……やっぱり、ここにいたんですね」
きりゅう:「……根暗」
根暗:「ずっと探していました」
きりゅう:「…………」
根暗はゆっくり近づく。
根暗:「みんながいなくなって……」
根暗:「何が起きているのか、ずっと分からなかったんです」
きりゅう:「…………」
根暗:「でも……あなたを見つけて、分かりました」
きりゅう:「……帰れ」
根暗:「嫌です」
きりゅう:「…………」
根暗:「帰りません」
きりゅう:「俺は……もう、お前の知ってる俺じゃない」
根暗:「そんなことありません」
きりゅう:「あるんだよ」
根暗:「ありません」
きりゅう:「…………」
根暗:「だって、今のあなたは泣いているじゃないですか」
きりゅう:「…………!」
根暗:「本当に何も感じていないなら、そんな顔はしません」
きりゅう:「……うるさい」
根暗:「……きりゅうさん」
きりゅう:「帰れ……」
根暗:「嫌です」
きりゅう:「…………」
根暗:「僕はあなたの妻ですよ」
きりゅう:「…………」
根暗:「あなたがどんなことをしてしまっても……」
根暗:「僕はあなたを置いていきません」
きりゅう:「…………やめろ」
根暗:「一緒に帰りましょう?」
きりゅう:「…………」
根暗:「まだ、やり直せます」
きりゅう:「…………」
その言葉に、きりゅうの表情が揺れる。
きりゅう:「……やり直せる……?」
根暗:「はい」
きりゅう:「…………」
根暗:「だから……武器を下ろしてください」
きりゅう:「…………」
きりゅうは、ゆっくりと腕を下ろしかける。
その時。
――背後。
ファントムキューカンバー:「…………」
きりゅう:「…………!」
ファントムキューカンバー:「何をしている?」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「また迷っているのか?」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「一つ」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「二つ」
きりゅう:「…………やめろ」
ファントムキューカンバー:「三つ」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「四つ」
根暗:「……きりゅうさん?」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「五つ」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「六つ」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「七つ」
きりゅう:「…………根暗」
根暗:「はい?」
きりゅう:「…………ごめん」
根暗:「……え?」
ファントムキューカンバー:「八つ」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「九つ」
きりゅう:「…………」
ファントムキューカンバー:「十」
きりゅうの姿が消える。
根暗:「……!」
根暗は振り返る。
しかし――
きりゅうは既に背後にいた。
きりゅう:「…………」
根暗:「きりゅうさん……?」
きりゅう:「……せめて」
きりゅう:「一撃で終わらせる」
きりゅうの手から骨が現れる。
根暗:「…………!」
きりゅう:「……ごめん」
根暗:「嫌です……!」
きりゅう:「…………」
根暗:「きりゅうさん、やめてください!」
きりゅう:「…………」
根暗:「僕はあなたを傷つけたくない!」
きりゅう:「…………」
根暗:「だから……!」
きりゅう:「…………ごめん」
骨が振り下ろされる。
――しかし。
根暗は反射的にチェンソーを振った。
根暗:「――っ!」
きりゅう:「…………!」
攻撃がきりゅうに当たる。
きりゅうの身体が大きく揺らぎ、その場に膝をつく。
根暗:「…………」
根暗:「きりゅう……さん?」
きりゅう:「…………」
根暗はチェンソーを落とす。
根暗:「ち、違……」
根暗:「僕……」
根暗:「殺すつもりなんて……」
きりゅう:「…………」
きりゅうは自分の傷を見る。
そして、根暗を見る。
きりゅう:「……そっか」
根暗:「…………」
きりゅう:「……正当防衛……だよな」
根暗:「きりゅうさん……!」
きりゅう:「…………よかった」
根暗:「え……?」
きりゅう:「お前が……生きてて……」
根暗:「…………!」
きりゅう:「俺なんかのために……」
きりゅう:「お前まで……壊れなくて……」
根暗:「嫌です……!」
根暗はきりゅうに駆け寄る。
根暗:「嫌です……嫌です……!」
きりゅう:「…………」
根暗:「死なないでください……!」
きりゅう:「…………ごめん」
根暗:「謝らないでください……!」
きりゅう:「…………」
根暗:「僕が……僕がもっと早く……!」
きりゅう:「……根暗」
根暗:「はい……」
きりゅう:「…………大好きだ」
根暗:「…………!」
きりゅう:「……今まで……ありがとう」
根暗:「きりゅうさん……!」
きりゅうの身体が、少しずつ塵へと変わっていく。
本来なら、きりゅうには再生する力がある。
しかし――
今のきりゅうには、その力を使うだけの精神が残っていなかった。
きりゅう:「…………ごめん」
根暗:「嫌……!」
きりゅう:「…………ごめんな」
根暗:「きりゅうさん……!」
きりゅう:「…………」
最後まで謝りながら。
きりゅうは、完全に塵となった。
その場に残ったのは――
一本の赤いマフラー。
根暗:「…………」
根暗は震える手で、それを拾う。
根暗:「……きりゅうさん」
ぎゅっ……
赤いマフラーを抱きしめる。
根暗:「…………うぅ……」
根暗:「ごめんなさい……」
根暗:「僕……あなたを……」
根暗:「…………」
涙が雪の上へ落ちていく。
その時。
マフラーから――
淡い光が流れ込んできた。
根暗:「…………?」
身体の中へ、何かが入ってくる。
それは――
EXP。
そして同時に。
大量の記憶が流れ込んだ。
根暗:「…………っ!」
知らない景色。
何度も繰り返されるRESET。
殺される仲間たち。
何度も戻される世界。
そして――
リナ。
根暗:「……リナ……?」
さらに、別の存在が見える。
世界の外側。
ゲームを操作する存在。
設定を書き換え。
記憶を書き換え。
世界そのものを弄る存在。
根暗:「…………何、これ……」
そして理解する。
きりゅうが、ずっと戦っていた相手。
根暗:「…………Player」
根暗:「あなたが……」
根暗の表情から、涙が止まる。
根暗:「きりゅうさんを……」
拳を握る。
根暗:「……こんな目に遭わせたんですか?」
静寂。
そして――
根暗:「…………許さない」
根暗は立ち上がる。
赤いマフラーを首に巻く。
ゴーグルを目元へ下ろす。
根暗:「きりゅうさん」
根暗:「僕が……代わりに終わらせます」
その瞳から、優しさが消えていく。
根暗:「Player」
根暗:「あなたを……絶対に許しません」
――こうして。
最弱だった根暗は、
きりゅうのEXPと力を受け継いだ。
そして彼女は――
マーダー根暗
となった。
コメント
1件
まさかこんな展開になるなんて…鳥肌が止まらないや…😭💦 きりゅうさんの罪悪感と根暗の優しさが切なくて、特に「せめて一撃で終わらせる」って言うところが胸に刺さったよ…正当防衛って言葉がこんなに重い意味になるなんて思わなかった。 最後の根暗の覚醒シーン、かっこよすぎて泣いた…応援してる!!🔥
ちぇーん
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きりゅう
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