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第七話、読ませていただきました。 どら焼き一つで四人の距離が縮まる感じ、すごく良かったです。黒影の「誰かと飯を食うことだ」って言葉にじんときました。真紅がお腹を鳴らして照れてるところも可愛くて、思わず笑顔に。最後の蓮が霊夢を思い出すシーンが切なくて、胸がぎゅっとなりました。 そして「お兄ちゃん連盟」の噂……これからどう広がっていくのか気になります。次話も楽しみにしています!
こんにちわ〜7話だよ〜?疲れたよー?楽しんでね?
第七話「大切などら焼き」
――朝。
森の中。
昨日までの重苦しい空気とは違い、朝日が木々の隙間から差し込んでいた。
蓮は焚き火の跡を見つめていた。
蓮「……結局、あまり眠れなかったな」
玲音「お前もか」
隣には玲音がいた。
蓮「玲音も?」
玲音「ああ。昨日の話が頭から離れなくてな」
少し離れた場所では、黒影と真紅が座っている。
相変わらず、二人とも無口だった。
四人の間には、まだ少し距離がある。
そのとき――。
玲音が懐から何かを取り出した。
蓮「……何それ?」
玲音「どら焼き」
蓮「なんで持ってるんだよ」
玲音「昨日、人里に寄ったときに買った」
玲音は袋を開ける。
中には、四つのどら焼きが入っていた。
黒影「……甘い物か」
玲音「ああ。一人一個な」
真紅「俺はいらない」
玲音「遠慮するなって」
真紅「甘いものは――」
真紅のお腹が、小さく鳴った。
――ぐぅ。
全員が真紅を見る。
真紅「…………」
黒影「……食えばいい」
真紅「……そうする」
真紅はどら焼きを受け取った。
蓮は思わず笑う。
蓮「お前、意外と分かりやすいな」
真紅「うるさい」
黒影もどら焼きを手に取る。
しばらく眺めてから、一口食べる。
黒影「……甘いな」
玲音「どら焼きだからな」
黒影「……悪くない」
その言葉を聞いて、玲音が笑った。
玲音「だろ?」
蓮もどら焼きを食べる。
蓮「……うまい」
ほんの一瞬。
四人の間に、穏やかな空気が流れた。
昨日までの重苦しさが、少しだけ薄れていく。
黒影がぽつりと呟く。
黒影「……こういうのも悪くないな」
玲音「何が?」
黒影「誰かと飯を食うことだ」
蓮は黙って黒影を見る。
その言葉の裏に、長い孤独があることが分かった。
真紅もどら焼きを見つめている。
真紅「……妹たちとも、こうやって食べたことがあった」
蓮「……」
真紅「昔の話だ」
真紅はそれ以上話さなかった。
だが、昨日より少しだけ表情が柔らかくなっていた。
その頃――。
人里では、妙な噂が広がっていた。
村人A「なあ、知ってるか?」
村人B「何を?」
村人A「最近、幻想郷のどこかに『お兄ちゃん連盟』っていう集まりがあるらしいぞ」
村人B「……お兄ちゃん連盟?」
村人A「ああ」
村人B「何それ?」
村人A「妹を持つ兄たちが集まってるらしい」
村人B「そんなの聞いたことないぞ」
村人A「俺も噂で聞いただけだ」
村人B「誰がいるんだ?」
村人A「それが分からないんだよ」
噂だけが、人里を少しずつ広がっていく。
まだ誰も知らない。
その「お兄ちゃん連盟」が本当に存在するのか。
そして――。
そこにいる兄たちが、どんな過去を背負っているのか。
森。
蓮たちは食べ終わったどら焼きの袋を片付けていた。
玲音「……さて、そろそろ行くか」
蓮「ああ」
黒影も立ち上がる。
黒影「俺たちは別の場所を調べる」
蓮「分かった」
真紅も立ち上がる。
真紅「……蓮」
蓮「ん?」
真紅「昨日のことだが」
蓮「因果律の話か?」
真紅「ああ」
真紅は少し考える。
真紅「俺たちは、まだ互いのことをほとんど知らない」
蓮「そうだな」
真紅「だが……」
真紅は一瞬だけ笑った。
真紅「どら焼きを一緒に食べた仲だ」
玲音「なんだそれ」
黒影「……まあ、間違ってはいない」
蓮も笑う。
蓮「じゃあ、また会おう」
黒影「ああ」
真紅「またな」
四人は、それぞれ別の道へ歩き出した。
昨日まで、ただの他人だった四人。
しかし――。
たった一つのどら焼きが、ほんの少しだけ距離を縮めた。
そして蓮は、歩きながら空を見上げる。
蓮「……霊夢も、どら焼き好きだったな」
足が止まる。
胸の奥が少し痛む。
それでも――。
蓮「……いつか、一緒に食べられるかな」
その願いが届く日は、まだ遠い。
だが、確かに一歩ずつ。
蓮と霊夢の距離も動き始めていた。
――そして人里では。
村人A「なあ……」
村人B「なんだ?」
村人A「『お兄ちゃん連盟』って、本当にあると思うか?」
村人B「さあな」
村人A「もし本当にあるなら……」
村人B「……?」
村人A「そこには、一体何人の兄がいるんだろうな」
誰も答えられなかった。
ただ、その噂は――。
少しずつ。
幻想郷中へ広がっていった。
第七話「大切などら焼き」――完