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「いや~…疲れた。」
葛葉はあからさまに疲れきった顔をしている。
葛葉、叶、虎杖、伏黒、釘崎の五人は建物から出て歩いていた。
「皆さん、お疲れ様です。」
車の前には伊地知が立っている。
葛葉と叶は初めての呪霊との対面で疲れが顔に出ている。
そのほかの三人はいつもの事なのでケロッとしている。
五人は伊地知に挨拶をして車に乗り込む。
運転席は伊地知、助手席に伏黒が乗った。
後ろの席を虎杖、釘崎、叶が座った。
車は五人が限界だったので葛葉は体を小さくして三人の足元にいた。
「せめー。」
葛葉が文句を言う。
「仕方ないよ、葛葉。野薔薇ちゃんは女の子だし、小さくなれるの葛葉だけだし。」
叶は葛葉をなだめるように言った。
その言葉に葛葉はムスッとしながら大人しく座っている。
「結局、叶さんも葛葉さんも呪霊見えたね。」
虎杖は二人を見ながら話した。
「それに葛葉さんの攻撃は呪霊にも効いた。一日目でこれだけ分かれば上出来だろ。」
伏黒は虎杖に続けて言った。
それから、伊地知を含め六人は車の中でたわいもない話をした。
高専に着き、叶が五条に今日の報告を話しに行こうとした時だった。
葛葉が疲れたので早く寝たいとの事だった。
仕方ないので叶は葛葉に部屋の鍵を持たせ、五条の元へ虎杖と伏黒の三人で向かった。
「……というわけで、僕たちにも呪霊は見えるし、葛葉の攻撃は呪霊にも効いていましたね。」
叶がそう話すと五条は頷いた。
「葛葉くんの魔力は呪力と似てたし、やっぱり呪霊相手でも戦えるんだねぇ。」
そして五条は明日も頑張ってねと言って、三人を部屋から出した。
「…なんか、五条先生…変じゃね?」
虎杖が疑問を口に出す。
伏黒も頷いた。
「そうだな。普段ならもっとしつこいはずなのに。……。」
叶は二人の会話を聞いて歩き出した。
「じゃあ僕は部屋に戻るね~。葛葉も寝てるし。お疲れ~。」
叶は伏黒と虎杖に手を振った。
「俺は真希さんに稽古つけてもらって来る。」
伏黒は反対方向へ歩き出した。
虎杖は叶のあとを追った。
「叶さん!俺も部屋に行くから一緒に行こ!」
叶の隣まですぐに追いつく虎杖。
叶はそれを承諾し、二人で廊下を歩いていた。
廊下には窓から夕日が差していた。
窓は虎杖側にある。
虎杖は叶をふと見る。
夕日に照らされているが、叶は虎杖の影に少し被っている。
影に覆われる叶の顔はどこか寂しげな雰囲気を出している。
「叶さん。なんで葛葉さんが叶さんの居場所分かるって断言出来たの?」
虎杖は無意識に質問していた。
叶は突然の質問にポカンとしている。
虎杖は、やってしまったと思った。
叶と葛葉は互いを相棒だと言っており、相棒の勘というもので分かったのかもしれない。
また、呪霊の気配を感じてでも居場所も分かる。
答えが自分でも考えつくような質問をしたことに焦る虎杖。
一方、叶は焦っている虎杖を見て少し笑う。
そして少ししてから口を開いた。
「葛葉はさ、いつも僕を見つけてくれるんだ。どこにいても…ね。」
そう言いながら笑う叶。
虎杖は、叶の笑顔がどのような感情によるものなのか分からなかった。
あっという間に部屋の前まで来た。
叶は部屋の扉のドアノブに手をかけた。
「じゃあ、お疲れ様~。虎杖くん。」
叶は手を振って部屋の中に入っていった。
叶が部屋に入るのを見送ってから虎杖も部屋に入る。
部屋の中で虎杖は考える。
吸血鬼と人間は同じ寿命ではない。
葛葉は吸血鬼で叶は人間だ。
虎杖は叶の言葉から、もしかしてと思った。
しかし、それは彼らの問題だと虎杖は目をつぶった。