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そして、昼。


「おーおー、相変わらず寂れた屋敷だなぁ」

馬車から降りるなり悪態をつきつつズカズカと歩みを進める、煌びやかな装飾があちらこちらに施された衣服を身にまとい、見るからに悪趣……地位が高い男は、出迎えたメイドや使用人をまるで値踏みするかのようにニヤニヤしながら眺めていた。

「遠路遥々、ようこそお越しくださいました。侯爵閣下」

侯爵が1人のメイドに触れようとした瞬間、スっと通る声がそれを遮った。

楽しみを邪魔された侯爵が、ムッとそちらに視線を向けると、そこに居たのは執事服姿の少年……いや、青年の姿。

「初にお目にかかります侯爵閣下。私はこの屋敷の執事を任されている〝__〟と申します。滞在中は私がご案内させていただきます」

優雅に礼をし、やがて背筋を伸ばした執事は「こちらです」と先を行く。

公爵もそれに続いて歩を進め、暫くすると公爵の待つ食堂に到着した。

「どうぞ、公爵閣下。中で公爵様がお待ちでございます」

執事の案内により、公爵は開けられた扉を潜り中へ足を踏み入れた。

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