テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
額に汗を浮かべたレイブはメルルメノクの大きな目の後方に顔を寄せて小声で伝える。
因みに竜の耳は目尻にある粘膜である。
「ここにはバストロ師匠はいませんよ、と言うか九年程前から行方知れずでして…… 今この学院の院長、トップは仰っていた偏屈ババア、ズィナミなんですが…… ほら、あそこで睨んでいるでしょう? あれがメルルメノクさんが先程言っていた、暴力主義の若作りババア、偏屈な人格崩壊者のズィナミ・ヴァーズ、鬼ババアそのものなんですよ」ボソッ
『えっ! き、聞こえてしまったという事か、私はそこまで言ってはいないが…… ど、どうすれば……』コソッ
「そうですね…… さっきまで死に掛けていた訳ですから気を失った感じで倒れてみたりしたらどうですかね? そしたら俺が上手く誤魔化しておきますんで」ボソッ
「錯乱してたとか言えば騙せちゃえるわ、案外単純なんですよ、あのおばさんって」キャピッ
『お、恩に着る! えっと君の名はなんと?』コソッ
「俺はレイブ、こっちの可愛いのがラマスです、さっ早く倒れてください! あのババア勘も化け物並みに鋭いんですよ」ボソッ
「やだダーリン、人前で本当の事言っちゃうんだからぁ」キャピッ
『わ、判った』コソッ
『ご、ゴホン! う、うわあぁーやっぱり駄目だぁー! く、クラクラするぅー! い、意識が無くなりそうだぁー! さ、錯乱しているかもしれないなぁー? 若しかしたら心にも無いことを言ってしまったかもしれない、なぁー! だ、駄目だー! う、ううーん』
パタリ
レイブは思った。
――――酷い演技じゃないかメルルメノク…… 下手かよ、こりゃ誤魔化せないだろ? 折角助けたのに死んだなこいつ……
と。
思ったままの態度、表情から色を消して残念な物を見下すように無機質な瞳を落とすレイブの足元で、必死に死んだ振り? いいや今の所気を失った振りを頑張りながら純白のズメイ種、メルルメノクは考えていたのである。
――――やべえ、恐ええ…… 何であんな色なんだよあのニンゲン…… ニンゲン? なのか、あれ? ニンゲンに角とか無いだろ? 普通…… ち、ちきしょうっ、来なけりゃ良かったか? あんなに頑張って、まあ主に勉強とか礼儀とか外交儀礼だけど…… 折角竜王四天王の筆頭候補に名前を挙げられて…… 次の竜王になる為には絶好の機会だと思っていたってーのにぃっ! はっ! そ、そのせいで逆上せ上がっちまっていたって事なのか…… クソぅ、こんな感じで殺される位なら今まで見下してきた奴等みたいにもっと戦闘力を磨いてきた方が良かったか? ? ? あのガイランゲルの兄貴みたいに? いやいや、あんな物にはなりたく無い…… だが、しかしっ! いまや我が命風前の灯に似たり、むーん…… こ、ここまでか…… ちきしょうっ! 私にもっと戦う力が有ったならむざむざやられはしなかった物を…… 今更望んでも遅きに失したか…… む、無念……