シューと蒸気を吐く音がして黄泉列車は駅に止まった。そこからゾロゾロと人が降りて行く。今日黄泉切符がなかった人はいなかった。そうそうあることじゃないらしいのでまあこれが普通なのだろう。そう思いながら駅の奥の部屋に集合する。「はぁーい、皆お疲れぇー。」と、運転手さんが言うそして「今日、魂売買人が出ました。」この一言で周り一瞬静かになり、そしてザワザワと騒ぎ出す。「魂売買人!?」「また出たのか…。」「静かに!!まあとりあえずその魂売買人は車掌ちゃんと車掌君が倒してくれた。」周りからは「おぉ〜。」と声が上がる。しかし(あれ?倒したのは囚人さんじゃ?)そう思い運転手さんに質問しようとすると車掌ちゃんにペシっと腕を叩かれた。「何すんだよ。」と小声で言うと向こうも小声で「囚人さんのことは秘密なのよ。」「なんで?」「運転手さんは囚人さんの話が嫌いだからよ。」「あぁ。」確かに彼が囚人さんと出会った時運転手さんはとても嫌そうな顔をしていた。(なるほど、嫌いだったのか。)そうこうしているうちに話は終わり皆寝泊り場まで歩いていた。「そんじゃ、俺らも行くか。」「ええ、そうね。」そうして俺らは歩いて寝泊まり場まで行き、寝た。
ー翌日ー
「ふぁぁぁぁ。」と大きなあくびをする。時計は8時を指していた。(…ん?8時?)集合時間は何時も7時半だ。「あぁぁぁ!!!寝坊したァァァ!!!」叫んでいるとドアをノックされた。急いで開くと誰いない。あたりを見回していると「こっちですよこっち!!」と、下から声がした。そこには車掌ちゃんがいた。「ああ、ごめんごめん。」「それでどうしたんですか?」「あっ、そうだった、今寝坊したから急がないといけないんだよ!!」「えっ?でも今日は休みですよ?」「へぇー今日は休み…休み!?」「はい。」「人が死なない日なんて無いだろ?」「役割はかわりばんこで行われているから今日は休みですよ。」「そうかぁ…良かったぁー。」「そういや運転手さんが呼んでました。」「分かった、行ってくるよ。」「では私はこれで。」と彼女は部屋に言ってしまった。「運転手さんがなんの用だろう…?」そして運転手さんの部屋に行くと「来たかぁー。」「なんの用です?」「今日はちょっと時計塔を案内するよ。」「時計塔ですか?」「そう、今日はそこに用があってね、君も見物がてらに来て欲しいんだよ。」「分かりました。」そして着替えて運転手さんについて行く。「向こうに高い塔が見えるだろ?」「はい。」「あれが時計塔だ。」「へぇー!」パッと見ビッグ・ベンだ。しかし時計は全て違うマークであり、数も4つとかではなく、10個くらい付いていた。「あそこの中に用があるんだ、行くぞ。」「あっ、はい!」そして裏口から鍵を開け、中に入る。そして目に飛び込んできたのはとんでもない量の歯車とそれと絶妙に当たらない位置に設置された階段とハシゴだった。「うわぁぁ。」そこらじゅうからガシャンガシャンと歯車が噛み合う音がする。「この上だ、登るぞ。」「え。」パッと見東京タワーより少し低いくらいの高さの為相当高い。それを階段とハシゴで登るのは大変だが、他に道はなさそうだ。「…分かりました。」そして階段を登り、ハシゴを登り、ついに頂上にたどり着いた。「ぜぇーはぁー、ここですか?」「うん、此処。」と運転手さんは平然な顔でそう言った。時計から外を見てみるとかなり綺麗な景色だった。その時上から機械の腕がぶらさがっているのに気がついた。上を見るとたくさんの機械がぶら下がっている。地面にも多少転がっている。 上を見上げていると運転手さんが大声で「おぉーい、じぃさぁぁぁん!!!」とある叫び出した。するとカツカツと 遠くの方から足音がした。ついでにトンという金属の棒を地面に着くような音も聞こえる。向こうから現れたのは長い髭が垂れて、フードを被っており、歯車などが沢山ついているメガネをした老人だった。手には先端に時計が着いた杖を持っていて、もう片方の手には機械に取り付けると思われる足を持っている。「なんじゃ、何事じゃあ。」「じぃさん、ほら、魂売買人の。」「おぉ、これがか、なるほどのぉ…分かったわい、少々待っとれ。」「あの…運転手さん。」「ん?何だ?」「何を渡したんですか?」「あぁ、昨日出会った魂売買人の持ってた鎌さ。」「なんでそんなものを?」「この世界では魂売買人の武器を加工して武器にして使うんだ。車掌ちゃんが持っている武器も魂売買人の武器から作られたものだ。」「へぇー。」そして向こうでガシャコンと機械が動く音がする。そして動いていなかった歯車も動き出した。また歯車の音が大きくなる。あのお爺さんは大丈夫なのだろうか。「あのぉー。」運転手さんに声をかけたが周りの音が大きくて気づいていないようだ。「あの!!」と、大きな声で呼ぶとハッとした顔でこちらを見て「ん?どうしたんだい?」と大きな声で言ってきた。「お爺さんの死後能力って何ですか?」「あぁー、じぃさんの死後能力は…時間操作だ。」「時間操作ですか…。」「ああ、時を止めたり、巻き戻したり、時間が関係していることならあのじぃさんはなんでも出来る。」「すごい能力じゃないですか。」「そうなんだが、あの歳だ。戦闘なんて出来やしない。」「ですなよねぇ…あとこの上にぶら下がってる機械は何ですか?」「あぁ、これか?じぃさんさ。」「え?」「さっきのじぃさんだよ。」「えぇ!!」「あのじぃさんは自分が何らかの理由で2度目の死を迎えた時、自分とほぼ同じ性格の機械を動かして管理する為に色々作ってるんだ、何体も何体も。」「すごいお爺さんですね。」「だからあのじぃさんは管理人さんって呼ばれてる。」「管理人さん…ですか。」そして一部の歯車が止まる。「終わったぞぉ。」「おぉー、ありがとなじぃさん。」「いい加減ワシを管理人さんと呼んでくれないかのぉ。」「やぁだよ、ほれ、車掌君。」そう言って運転手さんは俺に何かを投げた。「うわぁぁっと。」パシッとそれをキャッチする。「ナイスキャッチ。」「なんですかこれ?」「お前の武器。」「えぇ!?」手に取った物はブーメランのような形をした短剣だった。先端が鎌のように物凄く丸くなっており、持ち手も少しだけ曲がっている。それが2本あった。「これ短剣…ですか?」「まあ、そうじゃのぉ、ブーメランのような役割もあるがぁ、お前さんの能力は聞いとるわい、それを攻撃される前に投げておいて蘇った後敵を斬って帰ってきたのをキャッチする感じじゃ。さっきのキャッチを見て大丈夫だと思ったわい。」「やっぱ俺の能力は蘇る力なんですか!?」「…….うん、まあ、そうだね。「黄泉帰り」ってやつだけどね。」「?何か違うんですか?」「名前しか言いたくないんだ。勘弁してくれ。」運転手さんはいかにも嫌そうな顔をする。「分かり…ました。」「お主、そんなにその能力の内容を言いたくないのか?」と管理人さんは問いかけた。「…….そうさ、名前だけでも嫌なんだ。」「はて?何故じゃろうな?……….まさかお主、あの出来事がー」管理人さんが次の言葉を発する前に運転手さんは管理人さんに切りかかっていた。「管理人さん!!危ない!」そう言って管理人さんの方に走ろうとするがそこにはもういなかった。すると背後から杖を付く音が聞こえた。「ホッホッホ、老人相手にいきなり切りかかるとは…全く…本当に変わらんのう、わしには勝てないとわかっておろうに。」最後の方だけとんでもない圧を感じた。囚人さんと同じ…もしくは、それ以上の圧を感じた。汗が額から垂れるのを感じた。運転手さんは苦虫を噛み潰したような顔をして「車掌君…帰ろうか。」といつもより少し低い声でそう言ってきた。「あっ、はい。」そさて行こうとすると背中をちょいちょいと触られた。振り返ると管理人さんがいた。そして耳を貸せと合図をしてくる。口に耳を持って行くと、「よいか、あいつにゃあ注意するんじゃ、さもないとお主…死ぬぞ。」と小声で言ってきた。「車掌くーん、早く行くぞー。」と、いつもの口調で少し遠くから行ってきた。「あっ、今行きまーす。」少しだけ走って管理人さんのいた方へと振り返るとそこには誰もいなかった。
帰りは何も話さなかった。そしてそのまま自室に入り、ベットに横たわる。そして少し眠気に襲われているとドアをノックされる音がして眠気は覚めた。ドアを開けると誰もいない。まさかあの時と同じことが…と思い下を見ると…、「あっ、やっと自分から下を向きましたね。」と少し嬉しそうな顔をした車掌ちゃんがいた。そして「何かあったんですか?」「え?」「だって顔がくらいんですもん。」「…いや、特に何もないよ。」「そうですか…何かあったら呼んでください、では。」と言って彼女は自室に戻って行った。何だか今日の夜はとても眠れる気がしなかった。
コメント
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遅れてマージでごめんなさい。勉強が忙しすぎて全然書く暇がありませんでした(汗)今度からはもう少し早めに投稿するように心がけますので何卒よろしくお願いします。あとコメントじゃんじゃん書いてくださーい。