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桜の花が堕ちるまで

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桜の花が堕ちるまで

22 - Episode Y④

♥

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2025年04月26日

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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎

・ご本人様方には一切関係がない

・捏造、妄想要素が激しい可能性あり

・特徴を捉えきれていない部分が多々あり

・恋愛要素が今後恐らくきっとほぼない

・868のBOSSたちがロスサントスに入国する以前の物語

・投稿頻度がノロマかつ不定期


───────────────────






行ってらっしゃいませです( ◜ᴗ◝)و







『レダーさんいます?』

『…………。』

『多分、この無線は抜けてるかもっす。』


最近、署内でレダーさんを見かけなくなった。どの無線番号で聞いても返事はなく、行方さえも知らないようだ。しかし、その代わりなのか


『成瀬くん?ちょっと署長室来てくれないか。』

『はい了解ですッ、5分後に行きますッ。』


全く予想していなかった署長からの呼び出し。どうにも嫌な予感がした。とりあえず、5分間の猶予でレダーさんの件を誰かに託したかった俺は、大型犯罪の対応を終えたであろう芹沢に声をかける。


「芹沢〜お疲れぇ〜い。」

「タコ〜お疲れ様ネ。」

「ちょっと聞きたいんだけどさ、最後にレダーさんと話したのいつ?」

「レダー?え……いつだろウ。オレ覚えてないのヤバい!?」

「いや、大丈夫。俺なんか会ってすらないんよね。」

「あ、そうなんダ。もしかしてサボり?(笑)」

「そうなんかな〜(笑)でも、何も言わずにサボるなんてことあいつはしないだろうから…… 。」

「たしか二。」

「俺さ、これから署長と話さなきゃいけないから、他の奴にも聞いて探しといてくんない?」

「ん、いいヨ〜。」


レダーさんのことをなんとか芹沢に託し、足早に署長室へと向かった。滅多に入ることのないこの部屋のドアは、いつになっても開け慣れない。しかし、話の内容はなんとなく目処がついている。




「君を次期署長として推薦したいと考えッ」

「嫌です。」


はたまた予想から大きく外れた話を切り出され、驚いた俺は反射で断ってしまった。その反応を聞いた署長は、揃いにも揃ってやれやれとこぼす。その候補として挙げられるのは、俺の中で1人しかいなかった。


「レダーさんも断ったんすか。」

「君ほど即答では無いけど断られたよ。まぁ最初から断られるだろうなとは思っていたし、別件を頼まれてくれただけありがたいよ。」

「(別件……?)じゃあ、アタシもなんかやるんで署長は別の人にお願いします。」

「いやぁ……それはッ」

「え、てかアタシ前に新体制の提案しましたよね?それだけじゃなく企画書みたいな書類も代わりにやって、うわぁ〜タコちゃんにちょっと頼りすぎてるとこあるな〜。あんまり押し付け過ぎるのも良くないな〜。」

「はぁ〜全く君って人は。」


随分前の話だが、市役所にて街の平和を促進するための会議が行われた。そこで署長は、新改革に向けた何らかの提案をするよう言われ、渋々持ち帰ってきたのである。その時の困った様子を見かねた俺は、[特殊部隊の設立]を提案してみた。市民対応と大型犯罪の対応を区別化することが可能なこの体制は、署長的にかなり刺さったらしい。そして、その具体的な部分を補足、資料として配る用の書類作成をも俺がやるはめになり、とにかく大きな恩を売ったという訳だ。そんな華麗なカウンターが決まり、署長は言葉を詰まらせてしまう。しかし、知っての通り俺は、署長を断りたい訳ではなかった。


「ちなみに、さっき急すぎて断っちゃいましたけど、署長は普通にやりたいっすよ。」

「おぉ、やってくれるのか。ただなんだ、さっきから話が…。」

「最近、レダーさん良くないことしてるっぽいんすよね~。さっき別件がどうたらって、それと関係あるんじゃないんすか。」

「……何が言いたいんだい?」

「アタシは結構尽くしたと思いますよ。あなたにもこの警察署にも。そんで今後も、街を変えるためにここのトップになって、やりたいことやるつもりです。レダーさんのことを含め、アタシが知るべきことはあまりに多すぎる。なら今、少し早めのタネ明かしといきましょうよ。」

「……君なら、本当にやってのけてしまいそうだね。」

「警察官として当たり前のことをしたいだけっす。てかあなただって、自分の正義のためにここまで上り詰めたんでしょ?」

「…………。」








署長との長い語り合いが終わり、ふらふらと自分のデスクへ向かう。

(俺、会議とかシリアスとか苦手なんだよ〜泣)

机に突っ伏し、爆発しそうな頭の中を整理する。俺が変えようとしていた街と警察署は、思っていた以上に腐りきっていた。ただ、それを知ったとていつまでも目を背けてはいられない。


『これで足りるやろ?こっちは一大事やねん。』


(そんでこいつ、本当におもろいな笑)

情報が渋滞していた理由は、音鳴の無線が垂れ流されているせいでもあった。芹沢と一緒にレダーの捜索をしているようなのだが、署長と話している間に突如声が入り始めて、笑いをこらえるのに必死だった。大型犯罪を終え無線番号を戻している署員もいるはずだが、多分面白がって黙っている。


『ちょ、芹沢!俺もう金ないなったって〜。──────どこで知ったん、そんな言葉…。』


レダーさんが頼まれた別件。それは、潜入捜査を行い新ギャング・薬の情報収集をすることだった。元々俺に頼もうとしたが、色々あってレダーさんがやることになったらしい。

(「私が変に唆したのも悪いけど、彼は間違いなくそれを望んだんだよ。」)

その署長の言葉はよく分からなかったが、レダーさんの働きぶりは相当だったらしい。偽名まで用意して、ギャングの溜まり場であるバーや路地裏、ブラマ(ブラックマーケット)などの様々な場所に赴いたのだとか。そしてそこで得た情報は、決まった時間に署長へ報告をする。しかし、今日のその時間とやらはとうに過ぎているらしく、未だ音沙汰がないらしい。そして、もう1つ気になっているのが蓮くんの聞いた無線の音だ。無線の番号的に俺も聞いているはずなのだが、署長と話すため音量を下げてしまっていた。

(小さな呻き声、手錠の音……。)

未だ聞こえる音鳴の声は、バーでの証言をまとめているらしい。その半グレがレダーさんということを確定させ、蓮くんが音を聞いた時間と照らし合わせる。段々とピースがハマっていき、俺はある1つの仮説に辿り着いてしまった。

(「レダーくんが潜入捜査をしている、というのは君以外口外していない。ただ、ギャングの情報網は非常に恐ろしくてね…。どこからかしっぽを掴んで、自分たちに不利益なことをしていると知れば躊躇いもなく消すんだ。まぁ、もしくは利益になるよう逆に使うか、だね。」)

自分たちが犯人を牢屋に入れるように、彼らも身元が分からないレダーさんを閉じ込めるのでは。正体を調べて謀を暴いて、敵だと分かれば拷問部屋に送って。

(それが正しければ………あの事件を繰り返す訳にはいかない。)

大きな深呼吸を挟み、俺は無線に声をのせる。


『聞いて、レダーさんは多分誘拐された。蓮くんの無線鳴ったってやつ、音鳴たちの行ってるバーとそこでの証言、全部聞いてたけどギャングのボスに連れ去られたで合ってると思う。』

『はい?レダーさん誘拐マ?』

『とりあえずそのギャングのシマ的に、北の〇〇か〇〇(番地)で拉致されてるかもだから、刃弐がサーマル行ったげて。』

『OKっす。』

『蓮くんはパトカーでレダーの方向かって。』

『了解!』

『音鳴と芹沢もそのまま北に直行していいよ。ちなみに音鳴は無線全部入ってたから、どうにかしときなよ。それ以外の署員は、今起きた大型犯罪の対応を無線2番でお願いしまーす。』

『──────!』


指揮を執るというのは、思った以上に労力を使う。これが当たり前のレダーさんはどれほど偉大なのか、俺は改めて胸に刻んだ。仲間の救助と大型犯罪の対応、どちらとも今すぐ応援に行きたいが、生憎これは俺にしか出来ない。

(署長になるからには本気で、街ごと変えるくらいの気持ちでやらなきゃな。)

署長から渡されたボックスから1つ分厚いファイルを取り出し、丁寧に目を通していく。秒針の音だけが響く署内で、俺は彼奴らの帰りを待った。




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