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フードコート。並んだソファ席。紙カップのアイスコーヒーをストローでくるくるしながら、ナマエが口を開く。
『ねえ、私ってさ。変?』
「急に?」
『うん。最近テンション変って言われるから』
「……うーん。変っていうか、ちょっと無理してるのは……気づいてる」
ナマエの手が止まる。
「でも、ナマエが頑張ってるのも分かってるから。俺はそれでどうこう言うつもりないよ」
『…………優しいよね、やっぱ』
「またそれ言う?」
『だって、そうじゃん。みんなに優しいから……』
ポツリとつぶやいた声に、出水はすぐ返さなかった。
「……俺、やっぱりナマエには特別だと思ってほしいんだけどな」
ナマエは驚いて目を見開く。
『……え?』
「なんでもない、今のナシ。ちょっとカッコつけすぎたかも」
『……ずるい、先輩』
「うん、よく言われるー」
ナマエは笑いながら、(ずるいのはどっちだろ)と思った。
⸻
(この距離を、このままずっと壊したくない)
まだ伝えられない“好き”を胸にしまいながら、
今日もまた、少しだけ彼に近づけた気がした。