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なんかなんか、おもしろくなーーーーーい!
時たま聞こえてくる無線を聞いているとどんどん気分が落ちていく気分だった。
《行くぞ!アルピくん!出動だ!》
《Ok!つぼーら!》
《猫くんもくるか?》
《オもしろそー!イクー!》
《マヌセンもいるんで、国際担当で銀行行ってきます》
はーい りょうかーい いってらー
まぁね、俺は元々知ってるんだ、ぶっきらぼうで適当で、圧倒的な陽気を放っている我が道をゆくつぼ浦が気にしいで、面倒見がよくじつは寂しがり屋で、じつはオフの時は静かなところ。
面倒みの良さが地味に発揮されててココ最近の後輩はしっかりとつぼ浦の事慕ってる。
あまり後輩教育に関わってなかったり事件対応に忙しい人達はなんであんなヤツを?と言っていたが言いたいやつは言わせておけば良い。
……とは思うもののそれが原因で、人間関係にちょっぴり支障が出ており悩ましい。
なんで?とつぼ浦サゲなことを後輩に直接言っちゃうような署員もいるから世話になった後輩と同僚とで、若干バトってたり亀裂ができてたりするのだ。
見つけた時にはなるべくあいだを取り持ちたいのだが後輩たちに付きっきりなんてできないから、もう放置しつつある。
後輩達も後輩たちで出来る子たちが多いため自然と突っかかるタイプの先輩たちの流し方を覚えたとも言う。情けない話である。つぼ浦と仲の良い署員や後輩としては名誉挽回と行きたいところだがつぼ浦自身、自分がどう言われようと我関せず、かったにいわせておけというタイプなので本当に悩ましい。
大いに話はそれだがそんな面倒見のいいつぼ浦くんは今絶賛新人&第一言語が違う、カタコトなアルピくんとペアを組み行動していた。
それはもう、甲斐甲斐しいほどにアルピに対して世話を焼いていた。
やれ、腹は問題ないか、きちんと楽しめているか、怪我はしていないか、
余計なことも教えてはいるものの基礎業務に関してはしっかりと教えこんでいた。
それこそ、警官に時たまのしかかるプレッシャーに対する考え方に至るまで。
もう見るからにアルピはつぼ浦にしっかりと懐いているのは分かった。
将来有望なやつほどあいつに懐くのなんなんだ、こっちの身にもなれって。
だからって、だからって!!!!!!!!!
「ちょっと距離が近いんだよね!」
ずっと溜まってた気持ちが1人ヘリの中で爆発した。
先程も対応が終わり、本署内に戻ってきた時さりげなくあいつつぼ浦の腰に手を添えてた。
腰に!!!手を!!!!!!
鬼のマスクをしていなかったら危うく歪んだ顔が見られてしまっていただろう、その自覚ができてしまうくらいには不快なものだった。
まああるぴ自体ね、滅多に起きてこないし…?生活圏が日本とは違うところから来たわけだし……?もしかしたら通常運転の可能性もあるわけだし……?
まぁそれにね、俺は対応課としてなにかとセットにされてるし……。
うーーーだとしても嫌だの気持ちが耐えない。こんなんじゃ仕事にならん。
荒れた心ではIGLもおぼつかなくなる、だめだ。
今日人揃ってるし、俺居なくても警察は当たり前だが回る。よし、もう一旦退勤しよう。
《すみませーん、青井一旦退勤します。ちょっとしたら多分また戻りますんで〜》
はーい おつかれー またねー あとでねー!おつかれさまでーす
各々の返事を聴きながら、無線をきり、署から出る。
久々にドライブでもして気を紛らわせるかぁ。
久々に自分の車を引っ張り出しエンジンをかける。
みんなからプレゼントだと頂いた車は大事にしているため滅多に出すことは無いが、今日はちょっとこいつに乗って行きたかった。
あー俺はあそこまで心の狭いやつだったろうか。
微笑ましい出来事のはずなのにしょーもないはずのことでイライラして。
海岸の方にでも向かうかと飛ばしていた時だ。
退勤前に起きていた銀行強盗が通り道だったらしい。国際色豊かな賑やかな声が聞こえてくる。
カタカナ英語を叫んでいるのはつぼ浦だ、それを真似して流暢に似たような言葉を叫んでいるのはあるぴだ。ふ、たのしそう。
猫マンゴーも母国語でたぶんだけど罵倒系叫んでる。そういや、つぼ浦はよく猫マンゴーに■■ってそっちの言葉でなんて言うんだ?とか聞いてまねっこしてたりしてたな。
猫マンゴーもなんだかんだつぼ浦とふざけて遊んだりしておりその仲の良さは傍から見てても微笑ましい。
マヌ太郎さんはもうなんかよくわからない言葉を叫んでるや。
よくよく見れば犯人らしき人間はチェイスのためか、車に乗り込んでいる。
今回のチェイスは条件付きらしく何人かは残るようだった。
つぼ浦とアルピはセットだろうとみていたが、つぼ浦はそのままアルピを運転席に押し込み行ってこいとドアを閉めてしまっていた。
他に残っていた署員も、元人質のケアなり行いそうそうにはけて行く。
犯人とチェイス担当もけたたましいサイレンと、止まれー!と間伸びした声が遠ざかっていく。
つぼ浦はというと人質を送る車にも乗り込むことも無く見送っていた。
その背中は何を考えているのか分かりえなかった。
あいつも最近何かと忙しそうだったしChillしたいのだろうか……?
だとしても、ここから警察署に帰るのはちょっと一苦労だ。
「……。 おーい、つぼーらー?」
「ん?アオセンじゃないっすか、退勤したんじゃ……?」
「してるよ。ちょうど通り掛かっただけ。
……良ければおくってこっか?」
「お、いいんすか。 じゃあオコトバに甘えちゃおっかなー」
いいっすよ!俺スケボーあるんで!とか何とか言われて断られるかと思ってたのにあっさりとした了承に力が抜けてしまった。
「なんすか、乗せたくないならいいっすけど」
「違う違うって、誤解よ」
ふうん、と訝しげにしていたつぼ浦だったがすぐに切りかえやりー、と上機嫌に助手席に乗り込んできた。
まぁもういっそ、ここからつぼ浦と一緒に戻って休憩終わりにしてもいいかなぁとぼんやりしていた所、隣に座ったつぼ浦は自身の無線を手に取っていた。帰宅報告だろうか、ちゃんと報連相とかやるもんな、実はちゃんとしてるんだよな、なんて感心していると、
《つぼ浦たいきんしまーす!またあとでな!》
元気に退勤連絡しやがったこいつ!
「え、退勤すんの?」
「まぁ、今日はもういいかなと。人多いし」
「ふーん?じゃあ、レギオン?」
「いや、飯屋行きたいっすね」
「いきたいところある?」
うーん、といいながらぴこぴことナビをいじるつぼうらは決め兼ねているようだった。
「アオセンはオススメあります?」
「いや俺あんまり飯屋行かないから……」
「そうすか、じゃあ海上レストランとかどうっすか?あそこいいっすよ」
「へぇ、じゃあ行こうかな」
目的地を設定し終わったつぼ浦はかちりとシートベルトをつけて改めて深く座り直した。
つぼ浦と二人きりになるのは久々だ。
なんだかんだとコイツは街の事件に走ったりしてるし、俺も空を飛びっぱなしだから。
対応課だなんだと持ち上げられているもののその実、一緒にいることはあんまりないのだ。
それこそ、一緒にいたのはつぼ浦が入ってから後輩が少し出てきたぐらいまでだろうか。
お互い話すこともないし、無言ではあるものの特に苦痛でもなく、気にせず走り続ける。
潮の香りがしてきたころには、つぼ浦の気分もより上がってきたのか時折鼻歌が聞こえてきていた。
海に関する物語の劇中歌でテンションは違うにしろThe夏の男を体現しているつぼ浦には妙に似合っていた。
「ご機嫌だね」
「〜♪ ぁ、きこえてました?すみません」
「いいよ、別に。そんなにお気に入りなの、海上レストラン」
チラリと伺いみると日に焼けた肌では分かりづらいもののちょっぴり耳が赤くなっているようでいいものが見れたなと口角が上がるのを感じた。
「いいっすよ!見た目ももちろんいいっすし、味も美味いすよ。それに、あの店のコンセプトもいいっすねぇ!……それに……その」
「んー?なぁに」
「あそこの雰囲気は、元気になります」
「元気?」
「っす。 なんか、その……うーん、なんかアオセン元気なさそうでしたし」
原因に指摘を受けるとは思いもしなかったため咄嗟に返事ができない。
表情を隠す鬼の面を被っている上、誰に突っ込まれることも無く装っていたというのに。
「えー、そんな事ないけどね?でも楽しみにしとくね」
取り繕って誤魔化した返事をするのがやっとだった。
ほらな、つぼ浦って何も考えてない傍若無人な立ち振る舞いをしていると思われがちなんだけど、実は違うんだ。
案外全体を俯瞰で眺めているし、関わる人に対してはウザイぐらいに気を配るぐらいのきにしいだ。
それがなんでああ、なってしまうかは謎だけど。
あまり関わりのない他部署の奴らはそんなつぼ浦のいい所にはよっぽどじゃないと気づけない。だから
そんなつぼ浦を俺は知ってんだぜってちょっとばかしの優越感に浸ってどうにか自分を奮い立たせていたというのに、敵わないものである。
さっきより謎に少しばかり気まづくなった車内でおれは海上レストランへと急いだ。
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