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番外編42『夏だ!海だ!祭りだ!合宿だ!?』前編
『訓練生の心の葛藤』
次の日の昼。
『く…っ!』
ガキンッ!
『ロノ!気を抜くな、攻撃だけに徹していたら隙だらけだ!』
『チッ……!』
(いつもよりハードだな……ハウレスの訓練…くそ…っ。)
『考え事か?ロノ。』
『しま…っ!!』
ロノの頬に剣の峰打ちを当てる。
『っ…。』
『…ロノ、俺がお前に何を教えたいか分かるか?』
『っ、それは……っ。』
『…それが分からない今のお前に主様は守れない。』
『っ……!!そんなこと、分かってんだよ…っ!!』
俺は声を荒らげる。
『でも、ちゃんと守るって決めたんだよ…っ。俺が、主様を…っ。』
『それならかかってこい。俺に勝てるまで終わらないぞ。』
『く…っ。』
俺は剣を握り締める。
カランカラン…っ!
『なんで…っ?見えてないのになんで攻撃出来るわけ?』
『言ったでしょう。私は元伝説の殺し屋…必要なことで身につけられたのですよ。相手の気配を察知して攻撃をする。目が見えない状態で戦うこともありましたから。』
『でもこんなに当たらないことあるの…?』
『ラムリの力不足ですね。』
『うっざ…っ。』
『ラムリ。今のままでは、あの時の二の舞が起きますよ。』
『っ、それは…っ!』
僕は武器を握る。
『さぁ、かかって来なさい。私から1本取れるまで終わりませんからね。』
『っ……。』
『はぁ、はぁ…っ。』
『大丈夫か?フルーレ。』
『っ、大丈夫、です。』
『そうか?じゃあもう100セット追加で。』
『はい…っ!』
フルーレは俺と同じメニューをこなす。
『……。』
(根をあげないか…。でもそろそろだな…。
フルーレ、お前にこれは無理なんだよ。自分の実力を…器をお前には思い知ってもらう。)
夜。訓練生の3人に声をかけた。
ロノSIDE
『ロノ。』
『主様…っ?すみません、今は…っ。』
『…ハウレスがロノに何を教えたいか、分かったかしら。』
『ハウレスが俺に教えたいこと…?』
『……。分からないなら、私が教えてあげる。』
『え…っ?』
私は髪を結び、剣を抜く。
『さぁ、ロノ。かかってきなさい。』
『主様、何言って…。』
ヒュッ!
『あっぶね!』
『……。』
(主様の目、本気だ……っ。)
『今の私は主じゃないわ。ロノに教えてあげる。ロノ自身の心の弱さ。さぁ、武器を取りなさい。』
『っ…。』
主様は剣を持って俺に近付いてくる。
コツコツ…。
『さぁ、武器を取って、私と戦うのよ。このままだとロノは私にやられて死ぬ。そうしないためにはどうするの? 』
(俺が、主様にやられない方法…?攻撃以外に…?)
私は剣を大きく振りかぶる
『っ……!』
ガキンッ!!
俺は剣で主様の剣を弾いた。
『……ふふっ。』
私は満足そうに笑う。
『え、今、俺…っ。』
『それが…守るってことよ。ハウレスに同じことをされた場合は今のように防げばよかったのよ。けんはね。攻撃するだけのものじゃない。時には防御する力もあるわ。』
『もしかして、それをハウレスは俺に教えようと?』
『えぇ、正解。ロノは挑発に乗りやすいから攻撃に徹することが多くなると防御が後回しになるのよ。だから怪我を負ってしまう。』
『なるほど…。俺だって、分かってたんです。強くなる為にはそれだけじゃダメだってこと。だけど――っ。主様を守る為には強くならないといけないんです。』
『焦らなくていいと思うわ。』
『焦らなくて、いい…?』
『同い年のバスティンや…歳の近いフルーレに負けたくないから焦ってるのも知ってる。だけど、焦っても強くはなれないわ。2人だって、少しずつ鍛錬して強くなってる。だから、焦らなくていいの。』
ロノの頭を撫でる。
『ロノは…ロノのペースで強くなればいい。他の人なんて気にしなくていいのよ。』
『主様…。』
『少しは…楽になったかしら。ロノは自分を追い込み過ぎよ。』
(心の中のモヤモヤが……消えた。主様のその一言で。強くなりたいけど、どうすればいいのか分からない。心のどこかで俺は自分のことを追い詰めてたんだな。)
『ありがとうございます。主様。俺、明日ハウレスに勝ってみせます!』
『ふふ、えぇ。応援してるわ。』
『…ふっ。合格だな。ロノ。』
2人の会話を影で見ていた。
ラムリSIDE
『僕は…主様のことを守れない…。ナックにも勝てないんじゃ…。』
『ラムリ。』
『あ、主様……?』
『訓練お疲れ様。どうしたの?』
『主、様、今は1人にして下さい…。』
『ラムリがそういう時は1人にして欲しくない時よ。』
『……っ。』
『ナックの訓練について悩んでるの?』
『はい……。目隠しした状態で、相手から1本取るっていう訓練です。』
『なるほど……。』
『僕、あの時主様を失って…沢山自分のこと責めました。なんで、守れなかったんだろうって。どうして…って。あんなずる賢い策に負けるなんてって。』
『ラムリ…。』
『僕、情けないです。主様のこと大好きなのに、いざと言う時、守れなくて……。』
『…ラムリ。そんなことないよ。』
私はラムリの頬を両手で支える。
『主様?』
『ラムリの笑顔に…いつも私は救われてる。それに、あの時のことはもういいんだよ。私は買うしてここに居る。ほら、ラムリの傍にいるよ。』
『僕の、傍に…?』
『うん。約束したでしょ?ラムリの傍から…私は離れない。ずっと…傍にいる。』
『主様……っ。』
『明日も訓練だよね?』
『は、はい。』
『それなら、私からひとつ助言。』
ラムリの耳元で囁く。
『言葉のままを信じちゃダメ。ナックの言葉に、ちゃんと耳を傾けてみて。』
『ナックの言葉に……?』
『うん。そしたらナックに勝てる。頑張ってね、ラムリ。』
フルーレSIDE
『俺の何が足りないんだろう…。ハナマルと同じことしてるだけなのに、すぐに疲れちゃう…俺の何が足りない…? 』
『フルーレ。』
『主様…どうしてここに?』
『フルーレに話したいことがあってきたの。』
『俺に…?』
『フルーレは何に固執してるのかしら。』
『え…っ?』
『フルーレは周りと自分を比べすぎてるんじゃないかしら。どうして俺は強くなれないんだ。とか。何が足りない。とか。』
『っ、それは…。』
『ハウレスや、フェネスのようにどうして強くないんだろう。とか。バスティンみたいにどうして沢山食べられないんだろう。とか。』
『……っ。』
その通り過ぎて、言葉が出てこない。
『俺が1番、分かってます…。でも、でも…っ!』
『フルーレがハナマルの鍛錬について来れないのは…。フルーレに見合った鍛錬じゃないからよ。』
『俺に見合った鍛錬じゃ、ない?』
『えぇ。ハナマルがフルーレにしている訓練は自分の今の弱さを思い知らせること。』
『そんな…。』
『……確かに、酷かもしれないわ。でも、強くなるためには必要なことよ。』
フルーレの手を握る。
『この小さな手が…いつかちゃんと大きくなる。この細い腕も、太くなる。その身体も強くなって、筋肉が増える。フルーレにあった筋トレや、食べ方……運動をすれば他の執事みたいに強くなれる。私が保証するわ。』
『俺が…強くなるには必要な、こと……。』
『えぇ。だから、落胆しなくていい。フルーレは自分に合った鍛錬をすればいい。今は弱くたって構わない。いつか強くなる。必ず。』
『主様…。はい、俺、頑張ります!!』
『妬けるなぁ…。フルーレがやる気を出してくれたのは嬉しいけどさ…。』
訓練キャンプのベランダから2人の会話を聞きながら晩酌していた。
次の日――。
『よっしゃぁ!!ハウレスから1本とったぞ!!』
『やるな、ロノ、お前の勝ちだ。』
『あぁ、主様のおかげだ。俺はもっと強くなる。ハウレスやボスキさんを越えられるように……っ。』
『そうだな。頑張れよ、ロノ。最後に一つだけいいか?』
『ん?』
『ハウレス『さん』な。』
『いや今言わなくていいだろ!?』
『…。』
(ナックの言葉を……。信じない…。耳を傾ける…。)
『ねぇ、ナック。』
『はい。なんでしょうか。』
『僕にしてる訓練って何?』
『ずる賢い作戦にも打ち勝つ訓練ですよ。』
『それなら……。』
シュル…っ。バッ!
僕は目隠しを外してナックの首元に剣を添える。
ピトッ。
『ナックは目隠ししてないでしょ!』
『……クスッ。合格です。ラムリ。』
『ずっるっ!』
『世の中にはずる賢い人もいるということ。理解出来ましたか?』
『そういうことだったのか…主様が言ってたのは。』
『ふふ、流石主様です。的確な意見を言ってくださったのですね。』
『フルーレ、今日は――。』
『ハナマルさん。俺、今日は自分で決めた鍛錬をやってもいいですか?』
『ん、どうしてだ?』
『ハナマルさんの考えた鍛錬ももちろん大切です。でも、強くなるには自分に合った鍛錬が大事だって、気付いたんです。だから、ハナマルさんの考えた鍛錬は…俺が、今よりもっと強くなったら…。一緒にしてくれませんか!?』
『……。』
フルーレはまっすぐ俺の目を見つめた。
『…ふっ。フルーレも合格だな。』
『へ?』
『あぁ。分かった。今日はフルーレの好きなことをしてくれ。俺は寝る。』
『え、ちょ、ハナマルさん!?』
次回
番外編42『夏だ!海だ!祭りだ!合宿だ!?』
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