テラーノベル
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「 初めまして 、こんにちは 。 」
君が振り返った。
ハルのカゼが 、カーテンを煽る 。
開けた窓から 、サクラが舞った 。
君の長い髪が 、ふわりと踊った 。
心の整理は付けたつもり 。
君と会えるまで 、時間は十分にあったから 。
扉を開けて 、見えた景色は
現世とは思えないほど 、淡くて
今すぐ消えそうなほど 、儚くて
考えてた言葉が全部 、頭から零れ落ちてしまう 。
「 … 貴方は? 」
こくん 、と首を傾げてそう言う君 。
嗚呼 、聞いてた通りなのか 。
そんな事を 、思ってしまった 。
記憶喪失 、だとか 。
そんな馬鹿な 、と最初は思った 。
そんなフィクションの中の話が、現実にあってたまるか 、とも思った。
でも 、白いベッドの上で
虚ろな目をして 、佇む君を見て
ようやく 、現実なんだと実感した 。
今の君にとって 、僕はナニ?
顔も知らない 、ただの他人?
昔の関係は 、もう時効かよ?
少なくとも 、今は俺の一方通行なのは
ちゃんと 、理解してるつもりだ。
でも 、もう良いだろ?
君が集中治療室にいる間 、十分に待った 。
だから 、もう良いじゃんか 。
君が 、僕のあいした君じゃなくても
君が 、僕の事を忘れていたとしても
今はただ 、君と話したい 。
今はただ 、君に触れたい 。
今はただ 、ただ 、ただ ── 。
君にちゃんと伝えたい
イチからでいい 。
ゼロからでいい 。
君にまた 、出逢わせてください 。
「 初めまして 、こんにちは 。 」
「 改めまして 、あいしてる 。 」
サクラの乗った暖かい風が 、
僕の頬を撫でた 。
コメント
3件
素敵すぎる...🥹💘 ただ普通の言葉なのに、深い意味があるのがハートに刺さりまくり... これはリピ確定だね