テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#切ない
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
白い天井を見上げるのが、もう日課みたいになっていた。
音が少ない。
自分の呼吸だけが、やけに大きく感じる。
スマホを手に取る。
何度も、開いては閉じる。
彼の名前は、もうどこにもない。
自分で消したくせに、確認してしまう。
消したのに、まだどこかで繋がっている気がしてしまう。
BeRealだけが残っている。
そこにある写真は、いつもと変わらない。
何でもない日常。
それが、ひどく眩しい。
「……ごめんね」
誰に向けた言葉なのか、自分でも分からない。
ただ、あのときの自分の選択を思い出す。
——別れたほうがいい。
——君を、これ以上巻き込みたくない。
そう思ったはずなのに。
今、こうして一人でいる方が、ずっと苦しい。
彼の顔を思い出す。
困ったように笑う癖。
優しく名前を呼ぶ声。
それを全部、自分から手放した。
「……会いたい」
小さく呟いても、届く相手はいない。
もう遅い。
そう分かっているのに、諦めきれない。
スマホの画面を見つめる。
ブロックした連絡先たち。
もう戻せないわけじゃないのに、戻す勇気もない。
——それでも。
最後に残したかったのは、きっとこれだった。
彼と繋がっていた“唯一の場所”。
「気づいてくれるかな……」
そんな小さな願いだけを残して。
目を閉じると、夜の海が浮かぶ。
あの日、手を繋いで歩いた感触。
——ごめんね。
本当は、ずっと一緒にいたかった。
その言葉は、もうどこにも届かないまま。