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時刻は22時。
そろそろ勇斗が空港に着く頃だと思い、勇斗を迎えに行くマネに連絡を入れ、内緒で空港に迎えに行った。
車を降り、星すら見えない真っ暗な空を見上げながら、久しぶりに会う勇斗はどんな表情をするのかなど、想像を膨らませながら空港へ入る。
しばらく待っているとアナウンスが流れた。
どうやら勇斗が乗っている便が到着したらしい。
俺は席を離れ、勇斗が出てくるであろう出入口付近で待った。
全ての撮影が終わり、やっと帰国できる日がきた。
仁人とのやりとりもあの日以来ほとんど出来なかった。
いざ帰国予定日付近になったかと思えば、色々なトラブルで約1ヶ月の撮影延期。
やっと仁人に会えるという思いで頑張ってきたが1ヶ月も先延ばしになり、この1ヶ月は忙しさも尋常ではなく、とてもじゃないがご飯もほとんど食べられなかった。
…
飛行機が無事着陸し、迎えに来てくれるマネに連絡を入れた。
疲れ果てた体をなんとか動かし、出入口に向かって歩いた。
すると前から俺を呼ぶ声が聞こえた。
反射的に視線を向けると、そこには笑顔で手を振る仁人が立っていた。
「え…?仁,,人…?」
思考が回らずしばらく立ち尽くしていると、再び仁人が俺を呼んだ。
仁人に呼ばれやっと現状理解すると、目の前がぼやけながらも仁人の方へ走り、そのまま抱きついた。
抱き締めて感じる久しぶりの仁人の感覚、匂い。
「会いたかった…、」
出入口からでてくる勇斗を見つけ、勇斗の名前を呼んだ。
辺りを見回す勇斗に、手を振りながらもう一度呼ぶ。
すると今度こそはちゃんと俺を見つけたのか、信じられないというような表情でその場に立ち尽くしていた。
しかし、その場で立ち止まったまま一向に来る気配がない。
もう一度勇斗の名前を呼んでみると、俺の元へ走り、その勢いのまま抱きついてきた。
「うわっ笑どーした」
「会いたかった…、」
予想外の反応に思わず暖かな笑いが込み上げた。
未だに強く抱きしめる勇斗をなんとか剥がし、顔を覗くと、頬を伝うほどの大粒の涙が目に溜まっていた。
俺はその涙を指で優しく拭った。
「あぁ〜あ笑そんなに寂しかった?」
「会いたかった…,, 」
「笑俺も会いたかったよ」
勇斗の顔をみると、やはり前より痩せている。
本人は食べているとは言っていたが、きっと食べれていないだろうという俺の予想は当たっていたっぽい。
「ほら、痩せちゃってるじゃん。ちゃんと食べてって言ったのに…」
「仁人がいないと味しない…」
「笑笑そう?もうこんな時間だし、帰ろっか」
「ん…」
車に乗り、俺たちの家へと向かった。
やはり相当疲れていたのか、今は俺の隣でぐっすりと眠っている。
流れている曲を止め、静かに家まで運転した。
「勇斗〜ついたよ」
「ん…ごめん、ありがと」
「いーよ」
…
「ただいま〜」
「ただいま 」
「久しぶりに2人で言ったわ」
「な」
車から荷物を下ろし、中に次々と運んだ。
大量の荷物を運び終え、2人して疲れてソファーへと倒れた。
「疲れた〜」
「悪い、、荷物」
「いや、いいよ」
ひと息つき体を起こすと、 なかなかない勇斗からのお願いに思わず表情が緩んだ。
「ねぇ、仁人…」
「…ん?」
「ハグして…,,」
「笑いいよ、おいで」
そう言って手を広げると、体を全て預けるかのように俺に抱きついた。
それがいかにも大型犬みたいで、愛おしくて優しく抱き締め返した。
「お疲れ様。撮影辛かった?」
「うん。けど、ちゃんと楽しんで撮影できた」
「それならよかった」
「メンバーは?」
「みんななら相変わらずだよ笑映画楽しみって言ってた」
「そっか」
「お風呂はどうする?」
「…めんどくさい,,」
「俺も入るけど?」
「…入る」
「笑笑じゃあお風呂沸かしてくるね」
「痒いところないですかー?」
「ん」
「じゃあ流しますねー」
いつもと違ってされるがままの勇斗を先に洗い、風呂に浸からせた。
俺も急いで洗い、一緒に風呂に浸かる。
2人で対面で入るには少し窮屈だから、同じ方向を向いて入る。
いつもなら俺が勇斗に寄りかかっているが、今日という日は、勇斗が俺に寄りかかる。
いつもは俺が嫌々といい、なかなか2人で入ることは無いが、久しぶりに2人で入る風呂に心も体も温まった。
「やっぱり痩せたね」
「忙しいとご飯食べるの忘れる」
「忙しいと思って俺から連絡するの避けてたんだけど、やっぱりご飯だけは連絡しとけば良かった」
「ご飯だけじゃなくても別に連絡すれば良かったのに」
「もう俺の事抱えられないんじゃない?笑」
「まだまだ余裕」
「俺は勇斗無理笑」
いつもより短めにして、風呂から出た。
うとうとし始めている勇斗を椅子に座らせ、髪を乾かす。
「はい、髪の毛乾いたよ」
「…ありがと、、」
「先ベッド行ってたら?眠いでしょ」
「いや、一緒にいく」
「そ?じゃあ急いで乾かすわ」
自分の髪を乾かしている間もコクコクと眠たそうにする勇斗をみて口元が緩んだ。
急いで髪を乾かし終え、勇斗と共に寝室へ向かう
寝室に入ると勇斗はベッドに倒れ込むように身を投げた。
そして仰向けのままベッドの側で立っている俺を見つめていた。
「…ん?どうした?」
「…」
声をかけても反応せず、ただじっと俺を見つめている。
「なに笑怖い怖い」
それでもなお見つめてくる勇斗をみていると、1つ当てはまるようなことが思い浮かんだ。
俺は微笑みながらベッドに横たわって、自分の布団を持ち上げた。
「ほら、いいよおいで。」
そう言うと、自分がいた場所から俺の方に転がり、そのまま抱きついた。
そして1枚の布団を2人で使い、寝る準備を始める。
「前にもあったねぇこんなこと笑ここずっとなかったから、思いつくまでに時間かかったけど」
「…」
「今日は一段と可愛いですねぇ笑いつもこのくらい可愛げあるといいんだけど」
「うるせぇ…それより、、ん。」
「ん?それじゃわかんないなぁ笑」
「だから、、ん、」
「なぁに?」
「…キスして,,」
「可愛いねぇ笑いいよ、ん…。おやすみ勇斗」
「ん…。おやすみ」
end.