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凛side
クォーツ組織本部。
静かな廊下に、珍しく重たい空気が流れていた。
原因は一つ。
「……どこ行った」
蒼真の声。
低くて、冷たい。
机はすでに壊れているし、部屋の中もぐちゃぐちゃだ。
……まぁ当然だろうね。
「弟が消えたんだから」
僕は軽く肩をすくめた。
「黙れ」
即答。
ああ、本当に余裕がない。
普段なら絶対にこんな反応はしないのに。
(やっぱりね)
僕は内心で納得していた。
あの子——
“赤ちゃんオオカミ”。
あれはただの弟じゃない。
蒼真の唯一の“例外”だ。
仲間は見捨てる。
感情も切り捨てる。
でもあの子だけは違う。
「……愛情、なんてものを持ってるとは思わなかったよ」
ぽつりと呟く。
「……」
蒼真は何も返さない。
ただ、殺気だけが増した 。
「で?」
僕は机の残骸に腰掛けた。
「GPSは?」
「……切られてる」
「盗聴は?」
「ノイズ」
「ふーん」
(つまり)
誰かが拾った。
しかも、ただの一般人じゃない。
あの魔力量を見て、連れて帰る判断ができるやつ。
さらに、発信機に気づく程度には“慣れてる”。