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暇でしたので書いてみました。ちなみにこれ部活で出す冊子にのせるやつです
最後の方まぁまぁ雑です
それでもOKな方レッツゴー
「今日も可愛いなぁ」
ついつい俺の恋人にそう言ってしまう。
俺の恋人は本当にかわいいのだ。可憐でまるでダリアの花のような…
だから今日は一番仲のいい友達に彼女のことを紹介してみようと思う
友達に彼女のことを紹介するのは初めてだ。
「おーい!!悠汰、今さ時間あいてる?」
お、ちょうどいい。いま俺に大声で話しかけてきたのは一番の親友の瑛汰。
瑛汰に俺の自慢の彼女を紹介しようと思うんだ。
「おーい!悠汰?」
「あ、うん、あいてるぞ」
「お、じゃあさ今日遊ばないか?」
「ん、いいよ!じゃあ俺も紹介したい人がいるから家来てほしい!」
「おう!じゃあ部活の後行くな!」
「まってるね~」
よし、都合よく家に来てもらえるから俺の彼女を紹介できる
俺の彼女は訳があって家から出したくないんだ。
そんなに俺が大事にしても誰かに攫われちゃう可能性もあるし拾われる可能性もある。
だから絶対に家から出してあげない。
さすがに何日も家を空けるような旅行の時は一緒に連れてってあげてるけど。
だって、そうじゃないと、誰かに盗まれちゃうでしょ?
俺はあの子と結婚して一生離してやらないんだ。そのほうが彼女も幸せでしょ
大好きだなぁ、本当は誰にも見せたくない俺の可愛い彼女。
だけどいつか結婚式を挙げるときに誰か親友に祝ってほしいでしょ?
だからぁ、一番の親友には先に見せてあげるんだ♡
きっと、い~っぱい褒めて、くれるよね?
ピーンポーン
あ、やっと来た。先に遊んでから最後に俺の可愛いあの子を紹介してあげるんだ
「待ってたよ~!ささ、上がって!」
「ありがと。ねぇゲームしたい」
「いいじゃん!!何やる?ってか手を洗ってこい!」
「うわ、怒られた。ちょっと洗ってくるね」
んふふ、ゲームも楽しみだなぁ
彼女にも見せてあげたいけど、まだ瑛汰には秘密だもんな。俺のことを一生独身だと思ってる瑛汰にサプライーイズ
「お~い!どこ?」
「あ、悪い、リビングにいるからこっち来て!何のゲームやるか決めよ!」
「どうぶつの森系でもいいしマリオでもマリカでもいいよ」
「え、じゃあマリカでもやる?」
「いいじゃん!やろ」
3時間後….
「結局マリカもどう森もマリオもやっちゃったね」
「……」
「え?悠汰?」
「ん?ああ、そうだな。あのな!紹介したい人がいて」
「お、だれだれ?いい友達でも見つけた?」
「いや、俺の彼女を紹介する…
「ハァ!?もう、冗談止めてよ~びっくりしちゃうじゃん」
「本当だからね。もう奥の部屋に俺の愛しき彼女がいらっしゃるんですよ、マジでかわいいんだよね。本当大好きで将来的に結婚するの~」
「おいどうした。急に口調変えて。おかしくなっちゃったか?大丈夫か?」
「じゃあ、俺の彼女を 持ってくる から」
「…は?彼女を連れてくるんじゃなくて、持ってくる?普通は人間のことは連れてくるっていうんじゃないのか…?」
あーやっとお披露目の時間だ。瑛汰の門限は9時で今は8時を少し過ぎたあたりだから
帰る時間含めてあげると30分はお披露目できるなぁ
「んふふ。俺の愛しい彼女。来ましたよ。今から30分間お披露目だから頑張ってね」
『……』
「ふふ、いーの。喋らなくても俺は、俺だけは、お前のことを分かってあげられるから寡黙なお前も好きだから」
「さぁ、今から一緒にリビングに行こう。今日は抱き上げて行ってやるよ。特別な日だからな」
「じゃあ、これからリビングだから後ろに隠していくな」
「瑛汰!彼女と一緒に来たよ!!」
「はぁ?どこだよwやっぱドッキリかぁ」
「ううん。俺が後ろに手をまわしているだろう。その後ろに俺の愛しい彼女がいるんだよ」
「じゃあ、見せろよっ」
「あ、こら、後ろに回るな、壊れるだろうがっ」
「っ、もしかしてさ、彼女さんって人間じゃないのか… んぐっ」
「もう、そういう大事なことは言わないでおくんだよ。」
「いや、だって壊れるとか、普通人間だったら少し触っただけでは壊れはしないし人間は持ってくるって言わないんだよ!」
「あ~あ。まぁ気を取り直して見せてあげよう。俺の愛しき樺音(かのん)だ!」
ぱぱーんという効果音が付きそうなくらい華やかな俺の彼女。
黒地に椿や百合の模様がある美しい着物を着ていて、綺麗な草履を履いていて、
ダリアの髪飾りをつけた整った顔を見せつける
この草履は俺が作ってあげて、鼻緒の部分には紺色の布地に白の水玉模様をあしらっている。
「なあ?どうしたんだ、あまりにも樺音が綺麗すぎて怖くなったか?」
「それ、それはにんぎょ… ガッ あ“あ” ウ“ウ”ウ“…」
「綺麗だろ?俺の可愛い彼女は?生きてるんだぞ?それを人形と言いかけるなんて、、」
「瑛汰、お前は俺が思ってたよりもずぅーっと頭がおかしいようだね」
「…ゆ、う、た、、た、ず、け、て ぁぁぁぁ」
「助けるわけないでしょ。俺の可愛い樺音を侮辱するなんて、そんな奴はこの世界から排除しないとね…?」
ほんと、自分のことを殺しかけてる人間に助けを求めるとか…可哀相。
「大好きだったよ、瑛汰」
「ね、樺音。俺らの関係は誰にも入らせないからね。安心しな」
『(それは、どうだろうね)』
「なんもしゃべんなくても俺はわかってるからね」
『(んふふ、愛が重すぎる気もしますが…その前に瑛汰さんを復活させておきますか。将来悠汰さんのためになりそうな御人ですし)』
ふわっ
「えぇっ?瑛汰が、浮いてる…? あぇ?消えた…?」
『(将来瑛汰さんはきっと悠汰さんにいい影響を与えるはず。とりあえず瑛汰さんは何事もなかったように家のベッドですやすや寝ているはずです)』
「まぁいいや。樺音、一緒に寝よう。邪魔者は視界からも消えた。さぁ行くよ。樺音、これからも愛しているよ。絶対、離さないから」
??『悠汰さん。その言葉、一生忘れないでくださいね』
「ふぁ~ 眠いなぁ。樺音、おはよ」
………
「樺音?樺音!かのん!?」
嘘だろ。なんで樺音がいないんだ!俺は一生樺音を離さないと決めたのに
でも昨日の夜ちゃんといつもの棚に座らせてきちんとおやすみと言ったのに
何で目が覚めたらいないんだよ。これは何かの間違いでとてつもない悪夢なんだ。
じゃあ、目を覚まさなければならないな。そんなことを思っていたら
ピーンポーン
誰かが家のインターホンを押した。
こんな時に、夢での来訪者がいるだなんて。早く、早く起きて樺音に会いたい!
でも出なければ失礼だし、もしこの世界が現実だった場合今後の生活に支障が出るかもしれない。
「はい。何の御用です…………か………?」
扉を開けてみた先には絶世の美少女という言葉を体現したような人がいた。
でも俺はこんな人と友達じゃないぞ。
俺は樺音に会いたいんだ、お前がどんなに美女でも仲良くはならないぞ。
『こんにちは。悠汰さん。こうして喋るのは初めてですね。』
鈴を転がしたような優しい声、髪には彩のある花飾り、黒地に華の模様がある美しい着物を着ていて、整った顔立ちで微笑している。それに、草履。
鼻緒の部分が紺色の布地には白の水玉模様があしらわれている。
すごく、とても 樺音に似ている。
でも樺音は生きているけど俺の介抱がなければ動けないはずだし、そもそもこんなに背丈はない。本物の樺音は30㎝くらいの人だ。つまり樺音ではない。
「すいません。どちら様でしょうか」
『悠汰さんにはお分かりいただけるかと思ったんですけれど…』
「残念ですが、人違いではないでしょうか」
『じゃあ名乗らせていただいてもよろしいでしょうか』
本当は今すぐにでも樺音を探したかったけれど
一方的に俺の名前が知られていて不気味だったから名前は聞いておくことにした。
「どうぞ。聞き終わったら締め出すんで」
『ありがとうございます、でもきっと私の名前を聞いたら締め出せなくなりますよ』
「は?いいからさっさと言ってくれませんか。こっちも暇じゃないんです」
『樺音をお探しでしょう?』
「は?なんで樺音を知ってるんだ。お前が樺音の名前を言うな。言っていいのは俺だけだ」
『それは本人もですか?樺音本人もその名前を口に出してはいけないのですか。
ここは現実です。いい加減思い込みを消したらどうですか。』
「は… それはっ…
『別に本人だったらその名前を言ってもいいと思うんですよ。
だって、私は 樺音 なんですから。』
「そんなはずない。確かに特徴は似ているが樺音は生きているが、動けはしないし
喋れもしない。身長だって30㎝程度だ。だからお前みたいな身長160cm以上あって
喋れて動ける奴は俺の樺音じゃない!」
『じゃあ、あなたが初期につけた私の苗字も言ってあげましょう。西園寺。でしょ?
貴方がつけた私のフルネームは、西園寺 樺音 でしょ?』
なぜか当たっている。確かに俺は彼女に今日からお前は 西園寺 樺音 だよと言った
それは誰にも言ってなかった。
いつも座らせている棚に立て札といってフルネームを書いているだけだった。まぁそれが見られていたのかもしれないが。
昨日排除した元・一番の親友の瑛汰にだって西園寺のことは言ってない。いや、でもさすがに昨日俺が犯してしまった行為と体が浮くという怪奇現象はどんなに俺のことを調べ上げたってわからないはずだ。でも。もし、もし、本当に樺音だったら樺音だけは昨日のことを知っているはずなんだ。ここはいっそ試してみよう。
「…じゃあ、自称樺音さん。昨日の夜8時を過ぎたあたりお前はどこにいた?
『言わなくてもお分かりでしょう?悠汰さんと一緒にいてリビングに連れて行ってくれる途中だったじゃないですか。』
「…正解。じゃあ、その次は?」
『もちろん。瑛汰さんに私のことを紹介して、人形だといわれかけて怒り狂い瑛汰さんを
殺したでしょう?』
やばい。なんか知らんけど全部知られてる。おかしい。でもお前は今、瑛汰が浮いたことを口にしなかった。つまり…
『あ、あと昨日私が瑛汰さんを浮かせて何事もなかったように家に帰しましたよ、ついでに生き返しました』
「へぇ、瑛汰の体が浮いたのはあなたのせいなんだ…ってなるかよ、普通に考えておかしい」
ただ一つ言えることはこの世界が現実で多分、目の前にいる人が俺の彼女だったはずの
西園寺 樺音 だということだ。そう信じないとやっていけないし、そうすると辻褄があうから、とりあえず信じてみる。
「じゃあさ、何で西園寺さんはここにいるわけ?俺の寝室の棚に座ってたのに何で玄関前に平然とした顔で立ってるわけ?」
『アハハ!まずそこですね。私も当事者でありながら詳しい事情は知らないのですけれど
私を作り上げた方が誰かが私のことを人間として見たいと強く願うとこの姿になる
システムなんですよ』
え、俺願ってないんだけど?
「俺、願ってないからな!」
『ふふ、誰が持ち主の人が強く願うとだなんて言いました?』
「え、願ったのは持ち主じゃなくても人間の姿になるの!?」
『そりゃ、もちろんですが』
え、じゃあ誰が願ってんだよ。人のことをこんな大変な目に合わせておいてその本人が目の前に現れないんじゃ、意味ないじゃないかよ
『悠汰さんもよくご存じのはずですよ』
いや、知るか!?ってか結構 西園寺樺音の性格悪いなぁ!
めっちゃ美少女だけど性格結構悪いなぁ でもそんなところが可愛いんだよなぁ
結局は、俺が樺音好きなだけなんだなぁ。やっぱり結婚してぇ
ってかそんな事より誰だよ。樺音を人間にしたのはぁ!
『じゃあ、教えて差し上げますけど、あなたの元・一番の親友瑛汰さんですよ』
ふんふん、瑛汰ね~そうなんだ!ってなるかボケ。
何で彼女に引いてた瑛汰が西園寺を、樺音を、人間にしたいと願うんだ?
なんで??
「…なんで、なんで瑛汰が樺音を人間にしたいと願うんだよ」
『それは瑛汰さんに聞かないとわかりませんね。』
「でも、瑛汰はおれが っ?」
『だからぁ、言ったじゃないですか。私が生き返らせたって。信じられないなら私と一緒に
瑛汰さんの家行きましょ』
「え、えちょ待って!?西園寺さんは何者?」
『樺音でいいですよ。ってか行きましょ』
「もう、分かったから手を放してってば」
『あ、すいません。連れて行って証明させようと思っていたら、つい。』
ついじゃねぇよ。こっちの心臓が持たねぇんだっつーの
だってさ、本当に樺音だぞ。俺の大好きな樺音だぞ。結婚まで夢見ている相手に自分から手を握られて無事なわけないだろ。
そんなことを思っていると瑛汰の家についてしまった。
『ほら、つきましたよ。早くインターホンを押してください』
「やだよ、だっていないはずだろ。まだ俺は西園寺さんのことを信じてはいないからな」
『残念です、だけど押してくれないと真相はわかりませんし、いるかもわからないでしょう』
「っ、そりゃ、そうだけど…」
でも押したくない。自分が〇したはずの人を見たくない。
何より、前の樺音を侮辱した奴の顔を見たくないんだ。
でも、押さなきゃ樺音に嫌われるかもしれない、それは耐えられない!
「わかったよ、押せばいいんだろ、押せば!」
『よかったです。あ、気を付けてくださいね。一応瑛汰さんには記憶がありますから。』
ピーンポーン
インターホンを押す。
「あら、悠汰君じゃない!久しぶりね、きっと瑛汰も喜ぶわ!今日はほかのお友達もいるのね。いつも通り2階の部屋に行ってていいわよ!」
「あ、ありがとうございます。」
普通。ごく普通のお母さん。息子を亡くして悲しむでもなく明るいお母さん。
瑛汰が当然のようにいるみたいな言動のお母さん。じゃあ、本当に瑛汰は…
でも、でも、なぁ、違うんだろ?
「おい、悠汰入んないのかよ」
「えっ…」
「なんだよ、人を化け物のような目で見るなよ。残念ながら俺は〇んでないんだよ」
こちらの思考は全部お見通しだよと言わんばかりの言動。
「まぁ、とりあえず家上がってよ」
「ん。」
「何して遊ぶ?」
「いや、何して遊ぶ?じゃない。今日は聞きたいことがあっ…」
「樺音?」
樺音がなぜか瑛汰に抱き着くような姿勢で座っていた。
『瑛汰さん、今日は悠汰さんが質問をしたいというのです。ありがとうございますね、瑛汰さん』
「どうせ悠汰が聞きたいことはあれだろ?なんで俺が死んでないのかと、なんで樺音さんを人間にしたかでしょ?」
当たっている。だけどもう、ひとつ分かったことがあるんだ。
これは、現実だ。
確かな証拠があるわけでもないがこういう現実世界なんだ。夢の世界ではない。
「だろ?悠汰」
「……うん、あたり」
そういった俺の顔は醜く歪んでいたと思う。だってね、一番忌むべき相手が目のまえにいるんだから。樺音はずっとあのままでよかったんだよ。
「じゃあ、ひとつずつ教えてやるよ」
「俺が死んでないのは樺音さんのおかげ。樺音さんって超能力者かなっていうくらい異能力あって俺が樺音さんに浮かされたとき、記憶は残したまま家に帰しますね。悠汰さんをよろしくお願いしますって言われたんだ。」
「だから俺はお前を家に入れたしこうして話してる。」
この不思議はもうどうでもいい。
でも俺が一番知りたいのはなんで樺音がこの状態になったのかだ。
「じゃあ二つ目は?瑛汰が樺音をこの姿にしたいと願ったのは本当か?」
「…うん。本当だ」
「何でそんなことするんだよ。それをしても誰も得しない」
「いいや、得する人がこの世の中でたった一人だけいるんだよ。」
「誰だよ、お前はその人のために強く願ったのか!?自己中にも程がある!!」
「俺が言う名前を聞いてもその態度は変わらないのかな?必ず、その態度は崩れ落ちるよ」
「そんな訳な…
「それはね、ゆ…
『私ですよ』
え…?樺音は得しないだろう?しかも瑛汰が今の姿にする前は意思疎通もとれない状態
だったのに。それで樺音の気も知らずに勝手に人間にすることを願っただと?
「樺音のことをよく知らないくせに樺音を語るな」
『…確かに、私は得をしております。この姿になってよかったって思います。それに…いや、
わたしのことを、知らないのは悠汰さんも同じじゃないですか(嘲笑)』
『むしろ、悠汰さんの方が知らないんじゃないですかww』
「はぁ?ずっと一緒に過ごしてきた俺より昨日知り合ったばかりの瑛汰のほうが樺音のことを、理解してるわけがないだろう。」
「あー樺音さん?樺音さんが得する理由ってあるの?」
『そりゃ、悠汰さんの教育ができますからね』
「……なぁ、お前らの立場逆じゃね?普通は」
「ハハ…アハハハハ!やれる訳ないだろう。彼女が教育だなんてさ。」
瑛太が若干引いた顔をしている。なぜだ?まぁいいだろう。
俺は悪くない。でも…おかしい。なぜ人間にしたかを願ったかという答えにはあまりなっていない。
「なぁ、瑛太。最後に質問だ。なんで樺音が得をする以外に人間にしようと願ったのか。
教えてくれ。」
「ふはっ。俺のやさしさに気づかないくせにそのセリフを言うなよ」
「そんなのっ…
わかるはずないだろ。そう言いかけてやめた。だって、俺みたいなやばい奴以外の人が考えるやさしさは目の前にいる人を救うこと、なんだろ?
俺を救う、きちんとした、具現化された、恋にする。それが瑛太にできる優しさだった??
「前な、俺は樺音さんに似たような人が大好きで愛していた。でも夏の8月19日交通事故で死んだ。道路沿いで最後の花火を見た後幸せなまんまガードレールに車がつっこんできて死んでいった」
「いない人に恋をし続けているともっともっと苦しんだ。似たようなことで友達が苦しむのはいやだから」
「は…?」
「最初樺音さんを見て驚いた。容姿がすごく似ていたから。着ている服が同じであればもう彼女にそくっりだった。それに人間になった時の声質もすごく似ていた。」
「だから、結論は悠汰のためなんだよ」
「もう誰も俺と同じようなことで苦しまないように。」
「嘘だ、嘘だ!前にそんなこと聞いてないしいつも瑛太は明るかった!」
「当たり前に思っていた遠くて、でも確かに俺の中にあった未来はいつのまにか交通事故によって形を変えていった。思い出すほど、愛しくて。もう一度逢えたらと願うほど悲しくて、俺の中の世界は消えた。でも心配かけないことも優しさだと思って黙っていたんだよ」
「ふざけんな。もう俺は帰る。樺音行くぞ。」
『はい』
「後悔するなよ。」
その言葉には反応せず家を出た。
もう俺は学校に行くのはやめた。樺音がいるならもうほかの人はいらない。
でも毎日樺音に緩く脅された。
いろんな一般の道徳や人間的なことを教えてもらった。守らなければ私は人形に戻るという脅し付きで。
それが嫌でたくさん学習した。最初は樺音は人形のままでいいと思っていたけれど次第に
人間の樺音が好きになっていた。どうしようもないくらい。戻りようがないくらい。
瑛太はもう連絡をよこさなかった。樺音と二人、誰も知らない世界に奪い去った。
俺の家はもう誰にも気づかれない。誰にも邪魔されない世界になった。
でも、さすがに俺の家に大量にあった水や食料が足りなくなった。
久しぶりに俺たちは外の世界に足を踏み入れた。食料はたくさん買えた。
でも樺音と同じように着物を着ている人が今日は多かった。待ちゆく人の間を縫って
ポスターを見ると8月19日は花火大会と書いてあった。
樺音とたまにはそういうこともありかもなって会場近くの道路沿いに行った。
たくさんの花火が夕暮れの空にに浮かんだ。
樺音と眺める花火は特別綺麗だった。さすがに俺は人がいすぎて疲れた
「樺音、楽しんでるところ悪いけど。帰らない?」
『悠汰さんが言うなら』
いつもと変わらない笑顔を見ながら道路沿いを歩いた。
最後の花火が空に上がった。
道路沿いの静かだけど車通りの多い場所で見る花火も樺音がいたから綺麗だった。
樺音が不意に微笑んだ。
そのいつもなら天使に見える微笑みになぜか不吉な予感がした。
ん…?そういえば、あの状況に似ているな…
あの時…は て け…?
確か… いや、 ない
ドンっ
横から聞こえる爆音。何かの燃える音。すぐそばにくる、熱風。
見たくない。もう、わかってしまったから。
重い首を無理やり動かして見る。予想通りの地獄が広がっていた。
花火に気を取られた運転手がハンドル操作を誤ってガードレールを破壊し樺音を、轢いた。
樺音は相変わらず微笑んでいる。
「樺音、そこから出ろ!」
『悠汰さんに黙ってたことがあるんです。せっかくだし教えてあげます。
瑛太さんの前の彼女の名前は、樺音 ですよ。』
「一緒…?」
『西園寺樺音です。偶然ですね。ある年のこの日のこの時間死んだと思ったら生まれ変わって彼氏の親友の元の人形になってるだなんて。私は前、願ったら私は人間になるといったけどそれが通用するのは瑛太くんだけだよ』
「偶然…か。」
『もう意識がなくなりそうなので言いますね。ありがとう。大好きです。愛してました。
人間としてあなたといられて幸せだった。だから、生きて』
『さようなら、今度は永遠に』
それを最後に消えた。骨も残らなかった。瑛太の元彼女かよ。ふざけんじゃねぇ
瑛太はわかってたのかよ?でもあいつのことだ。きっと察してくれていた。
あの時後悔するなよって言ったのは樺音の死に対する忠告?
あぁもちろん後悔しない。俺が守れなかったことを悔やみはしない。
「樺音…?まだ消えるには早いんだよ。結婚できるまでは生きるって誓った。永遠になんて別れない」
そうだろ?生きてなんて言われて守る俺じゃないんだよ。
大事なことをたくさん教えてくれてありがとう
これが最善だ
もう樺音を
離さない
もう、俺も…
そう思って紅く燃える炎の中に飛び込んだ。
「今行くよ。今度はもう離れない。待っててね、樺音」
End
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