テラーノベル
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カタカタとキーボードを打つ音が耳に響く。
俺の仕事は、行方不明のヒト型動物を探すこと。
意外と、ヒト型動物というものは、脱走して野に帰るやつが沢山いる。
さらに、知能が高いやつもそこそこいるため、探すのが大変になる。
この前だって、落とし穴とか仕掛けられてたし…。
『吐いていい?』
「勝手に吐きなさい」
『じゃあ、千春(チハル)の膝に吐くわ』
「やめてちょうだい。服が汚れちゃう」
隣にいるのは、同期の千春。
この口調から分かる通り、千春はオネエだ。
千春も、ヒト型動物を飼っており、名前を【ルカス】と【ミヤジ】という。
なかなかこの二人の名前が決まらず、俺に名付けを手伝ってと言われ、見た目と性格が、前世のあいつらに似ていたのでこう名付けた。
最初は、よく喧嘩をしていたらしいが、最近ではそんなこともなくなっているらしい。
『あれからどうよ?』
今はこうして、ルカスと、ミヤジの様子を聞いたり、逆にうちのベリアンの様子を聞かれたりしている。
「仲良くしてるわ。会話のレベルがすっごい大人だけど」
『ま、あいつららしいな』
「あんたのとこは?」
『毎日起こしてくれるし、三食ちゃんと作ってくれてるし、毎日いってきますのちゅーしてくれてる』
少し自慢げに話すと、は?と予想外の反応が聞こえたので、千春の方を見ると、なんと静止していた。
「え、うそ…そんな関係発展してんの?まさか…」
『待て待て待て待て。そんなとこまでイッてないって。Dキスは今日したけど』
「発展しすぎでしょ!バッかじゃないの!?あんた!」
めちゃくちゃキレて、結構痛いビンタを食らわせられた。
『痛ってぇ!?なにしてんだよ!千春!』
「イラついたからビンタしたわ。ごめんなさいね」
『っち…オメェのそういうオネエなとこ、好きだわ』
「あらなに?告白かしら?言っとくけど、あんたタイプじゃないから」
『一回コロされてぇのか。あ?』
言い合っていると、急に観念したのか黙り、スマホを取り出した。
意味が分からなすぎたので、一旦仕事に戻ると、千春が近づいてきた。
『ん?なんだ。ごめんなさいか?』
「はい、あんたの好きなベリアンちゃん」
そう言って、スマホを差し出してきた。画面を見ると、メイド服を着て、猫耳カチューシャを着け、照れながらにゃんにゃんしてるベリアンの姿が写っていた。
「ふふ〜ん。これ撮るの苦労したのよ〜あ、ちなみにそのメイド服あたしが繕ったから」
ドヤ顔で見つめてくるのが少々ウザかったが、俺にはそんなの眼中に無い。
何故なら、うちのベリアンが可愛すぎるからだ。
なんだこれ?なんかのエ○ゲーか?どれだけ課金すれば手に入る?1万?5万?10万?
『暴言を吐いてしまってすみませんでした』
「チョロっ」
まぁ、そんなこんなで仕事は終わり、千春の家に行きメイド服(露出多め)を貰ってきた。
気持ち悪いことに、ルカスとミヤジも着せられていた。
どんな趣味持ってんだよあいつ。ド変態オネエかよ。属性盛り込みすぎなんだよ。
だが…同じ趣味を持っているやつは、大体仲間だ。許そう。
明日は、休日。猫耳メイドベリアンを沢山味わうとするか。
そんな考えを脳内という畑にに植え付けながら、家を目指した。
〜おまけ〜
あたしの名前は、小宮千春。(コミヤチハル)
前までは、ただの一般人オネエさんだったんだけど…。
今ね、お家にヒト型動物のルカスちゃんとミヤジちゃんがいるのよ〜。
路上でダンボール箱に捨てられてたのよ。もうそれ見たら拾う以外選択肢ある!?
ということで、拾ってきてお世話してるの。
『はーい。二人とも朝ごはんよ』
二人でいると大体無口だけど…あたしが入ると結構喋ってくれるようになったわ。
「ふふ、千春様の作るご飯はとても美味しいよね?ミヤジ?」
「…あぁ、そうだな」
なんだか、会話を見ていると何年か一緒に暮らしているギスギスした夫婦のように見えるのは…あたしだけかしら?
『まぁ、美味しいなら良かったわ』
朝ごはんを食べた後は、色々して、朝のお楽しみ時間に入る。
『はーい。それじゃ、今日はこれ着てちょうだい』
そう、あたしの繕った服を着せること!
趣味大爆発した服を、推しに着てもらうのが唯一の楽しみ♡
たまに、桜雪がベリアンちゃんを預ける時、ベリアンちゃんにも色々着てもらっているのよ。
ベリアンちゃんは、反応が可愛いのよね〜♡きゅんきゅんしちゃうわ♡
ま、今日はベリアンちゃん来ないんだけどね…。
朝のお楽しみを終えたあとは、いやーな出勤。
それでも…ルカスちゃんとミヤジちゃんが玄関までお出迎えしてくれるから、ちょっとだけ嬉しいんだけどね。
「行ってらっしゃいませ。千春様」
「頑張ってね。千春様」
二人とも笑顔で送ってくれるから、モチベ上がっちゃう。
『ふふ、頑張ってくるわねいい子でお留守番してるのよ?』
そう言って、今日も一日が始まる。
『ってゆう感じでどうかしら?』
「ダメに決まってんだろそんな小説」
『えぇ〜っ!?こんなに可愛いのに〜!?』
「お前もうちょっと日本語学べ」
『ぴえん…』
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