目黒side
「翔太くん!」
「あ、おかえり、めめ〜」
急いで家に帰って、部屋の前まで走って向かうと翔太くんは玄関の前で座り込んで、俺を待っていた
駆け込んで手や頬に触れれば、すっかり冷たくなっているのに、当の本人は何にも気にしてないように、のほほんと笑っている
「こんなに冷えて!ばかなの、翔太くん!」
「はは、ひでぇな。それにそうやって呼ばれるのも久々だな」
「そんなこと!とにかく入って」
急いで鍵を開けて、家の中に翔太くんを押し込み、リビングまで手を引いて連れていく
あったかい飲み物や毛布を用意しなきゃと動こうとすれば、手を引っ張られる
「めめ、いいから」
「でも!」
「いいの」
ひんやりとした体にふいに抱きしめられて、動きが止まる
翔太くんの方から抱きついてくるなんて滅多にないことだ
「今日は、どうしてもめめに伝えたいことがあって来たんだ。だから、今、聞いて?」
穏やかに微笑みながら、抱きついたまま無意識の上目遣いで見上げてくる
体はすっかり冷えているはずなのに、翔太くんの顔は少し赤らんでいる
俺がこの顔に弱いことをこの人はわかってるんじゃないかとさえ、時々思う
「……わかった」
「座ろ?」
上着を脱いでソファに腰掛ける翔太くんに、俺の上着をかけて隣に座る
「冷えてるから。羽織ってて」
「あったか。めめの体温が移るみたいだな、ありがと」
「っ!……話って?」
そういう可愛いことを軽々しく言わないで欲しいと思いながら、先を促す
「プレゼントありがとう、それから、手紙も」
「……うん」
手紙と聞いて、どくんと心臓が脈打つ
「あれ貰ってさ、おれ、いっぱい考えたんだ」
「うん」
「それで、おれの気持ちを伝えたいって思って」
「……うん」
あぁ、ついに振られるのか、と思った
覚悟をしても決定的な一言を聞くのが怖い気持ちと、もうハッキリしてしまいたいという気持ちとが、ぐるぐると渦巻くのを、顔に出さないように堪える
「あのさ、おれさ」
「うん」
翔太くんはそこですぅっと大きく息を吸う
次に来る言葉に備えて、グッと喉に力を入れる
「めめが好きだ」
「ぅえ?」
思ってもみなかった告白に思考が止まり、変な声が出た
(え?好き?……ごめんじゃなくて?)
翔太くんを見返せば真剣な目をして、手をぎゅっと握ってきて、次の言葉を紡ぎ始める
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告白? どんな言葉か? 楽しみです。