コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
葵から聞いた話を含めて、二人に話す。
「えー。それ、ホントの話!?」
予想通りの春人の反応。
「あの子は嘘をつくような子じゃない。実際に、顔が腫れてた。膝から血を出して、俺が着くのを外で待ってた。マジで許せねー。家の中も荒れてたし」
「本当だとしたら、その男終わってますね。クソ野郎としか言いようがない」
歩夢は冷静に話を聞いてくれた。
「彼女にあげたプレゼント返せって奴、本当にいるんだねー。たまーにそういう奴がいるって聞くけど。じゃあ、自分はもらったもの返せるのかな?」
春人は論点がズレてるな。
「その元彼、結婚詐欺ってやつにあってるんすかね?」
「いや、これは俺の勘だけど、ただ単に遊ばれているだけじゃね?金目当てで」
女に躍らされて貢ぐ男なんていくらでもいる。
この仕事している俺たちが言えることじゃない。考え方によっては、同じようなもんだからな。
「ちなみに、葵さんの元彼、なんて名前か知っていますか?」
「やまもとたける」
葵から直接教えてもらったわけじゃない。
俺の連絡先を葵のところに登録する時に、その名前を見た。
元彼から送られてきたって言っていた段ボールの中身が見えた時、送り主であるその名前があった。
おそらく元彼氏の名前だろうと思う。
「そいつ、検索してみますか?なんか面白いことわかるかも。名前しかわからない俺たちがこれが本人だって確定できる保障はないですけど……」
「えー、なにそれ?楽しそうじゃん!俺も探すー」
春人と歩夢は自分のスマホを取り出した。
「遊びじゃないんだけどな」
「仮にSNSのアカウントがわかれば、結構いろいろなことわかるし。あと、何か情報ないんですか?そいつが惚れている女の名前とか?」
「……わかる。優亜って女」
「わかりました。ちょっと探して…」
「見つけたー!!」
春人が大声をあげた。
「マジ?」
こんなにめ早く見つかるものなのか?
「こいつじゃないのー?優亜って名前を使った呟きもあるし!」
歩夢と二人で、春人のスマホを覗き込む。
こいつが、葵の元彼。普通の男に見えるけどな。
トップのアイコンは車だったが、いくつか自分の写真もあげている。
「今日は、優亜ちゃんとデートってつぶやいてる!ウケる!」
さすがにその女の写真はないよな。
そう思っていた時
「あれ?この子が優亜ちゃん、だよね?」
どこかのカフェで撮ったであろう二人で映っている写真が投稿されていた。
露出の多い服装に、明るい髪色。派手な化粧。
見た感じ、同業者(夜の仕事)のように思えた。 よく顔を見る。見たことがあるような気がする。
「んー?なんかこの子、見たことあるような」
春人も同じことを思っているようだ。
「あっ、この子、俺の昔のお客さんです」
思い出したかのように歩夢がそう言った。
「えー!世の中せまっ!!」
「結構、昔の話ですけど。俺が担当だったんですけど、確かツケるようになって出禁にしたんですよ。それから連絡も取ってないんですが。連絡先残っているかな。確か、キャバ嬢だって言ってた気がする」
歩夢はスマホを見て確認している。
「ダメですね。残ってません」
「じゃあさ、この子のSNSはないのかな?」
「そうですね、探しましょうか?多分、仕事が変わってなければすぐ見つかります。ああ、ありました」
今度は春人と一緒に歩夢のスマホを覗き込む。
最近の投稿に「お客さんのTさんからもらった!可愛い」という呟きとともに、ブランド物のバッグが投稿されていた。