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すの短編

6 - 雨に濡れた仔猫 🧡🖤

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2025年02月28日

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コンビニに行こうと家を出たら、雨が降っていた。そこまで強くない雨だから、一気に行こうと思って走り出そうとした時、電柱の脇の箱の中の仔猫に向井は気がついた。



みゃあ



🧡どうしたん?お前



黒い小さな仔猫で、身体の大きさとは対照的な大きな瞳をこちらに向けている。寒いのか、寂しいのか、ずっと小刻みに震えていた。



みゃあ、みゃあ



鳴き声は注意深く耳を傾けようとしないと聞こえないほど小さく、か細かった。



向井は放って置けずに、仔猫を抱き上げた。



ちょうどウインドブレーカーを羽織っていたから、このまま懐に入れてしまえば、雨に濡れることもないだろう。

家路へと引き返した。


今住んでる家はペット可の物件ではない。

なるべく他の住人に会わないように、急いで部屋に戻った。



みゃ?



家の中に仔猫を入れると、見たこともない目の前の景色に興味津々で、あちこちを嗅いだり、触ったりしている。



🧡なんか食べるか?



冷蔵庫を開ける。

カニカマが入っていた。

向井は小さく裂いてあげてみた。



仔猫は遠慮がちにひと舐め、ふた舐めして、食べた。

向井は嬉しくなり、どんどん裂いてあげた。

よほどお腹が空いていたのか、仔猫は勢い付いて全部食べた。



🖤康二



玄関のドアから、恋人の目黒が入って来た。

約束していたのをすっかり忘れていた。

向井はいったん仔猫から離れて目黒を迎えてキスをした。



🖤猫?


🧡うん、そこで拾ったんや


🖤可愛いね



目黒はしゃがんで、猫を見つめた。



🧡抱っこしてみる?


🖤やめとく。モコちゃんに悪いし



目黒は自分の愛犬を思い出して、少し離れたところに座った。



🖤飼うの?


🧡飼えへん。引っ越さなあかんくなるし



向井は情が移る前に、貰い先を探すつもりだと言った。

同じ猫を飼ってる佐久間あたりが相談に乗ってくれないだろうか。


夜中。

遅い時間にも関わらず、佐久間が繋いでくれた縁で、ジュニアの子が引き取ってくれることになった。

明日の朝にはこの子ともお別れだ。



🧡寂しい



目黒は黙って、康二を抱き寄せる。



🧡俺に似ててん


🖤猫が?


🧡上京したての俺、思い出したんや


🖤そうなんだね


🧡幸せになれるとええな


🖤きっとなれるよ



仔猫には情が湧くのを恐れて名前を付けなかった。

名前のないあの黒猫が、貰われた先で幸せになるようにと向井は祈っている。

そして今の自分のように、愛する人とずっと一緒にいられるといい。





おわり。

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