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『あの星の約束』
白水 水白
白『』
水「」
何でも許せる人向けです
初めていむくんに会ったのは、中学生の夏休みだった。
俺はその日、家でゲームをしていた。
いきなりオカンに「外で遊んでこい!」って追い出されて、近所をふらふらしていた。
特に行くあてもなく、暑いアスファルトの上をサンダルでぺたぺた歩いていたら、近くの林の中に、古いトンネルがあるのを見つけた。
暗くて、一瞬ビビったが、好奇心が勝ってしまったのだ。
トンネルを抜けた先には、小さな原っぱと、ちょっとした小川。
光がふわっと差し込んでて、空気が澄んでて、別世界のようだった。
「やっほー!!!」
いきなり元気すぎる声が飛んできた。
草の中から飛び出してきたのは、俺よりちょっと背が低くて、表情がコロコロ変わる、綺麗な水色の目をした男の子。
『え、誰?』
驚きながら聞いたら、その子はにこにこしながら言った。
「僕、ほとけ!」
名前やないやろそれ、ってツッコみたかったが、その時の俺はただ圧倒されてた。
とにかく元気で、妙に人懐っこくて、目が合うたびに笑いかけてくる。
「君、ここ初めて?」
『……ああ。お前、ここに住んでんの?』
「んーん。住んでないけど、毎日来てる!」
別に帰る理由もなかったから、しばらく一緒に話すことにした。
『ほとけくん?は、どこから来たん?』
「多分…この先の道から来た!」
『多分って……それ大丈夫?』
│
『 俺、ここら辺ずっと住んでるけど、こんな場所あったん知らんかったわ』
「ふふっ、秘密基地みたいでしょ?」
そう言って彼はにかっと笑った。
まるで太陽みたいに眩しい笑顔だった。
それから、俺たちは毎日のようにトンネルの向こうで遊んだ。
どんなに暑くても、どんなに蚊に刺されても、ここに来ればあいつがいる。
いつしか彼を「いむくん」と呼ぶようになった
いむくんと話してると、時間があっという間に過ぎた。
いむくんは、アホやけど不思議と頼りになる。
虫取りも、秘密基地作りも、知らんことばっかり教えてくれた。
俺よりちょっとだけ大人で。
でも、子どもっぽくて。
よく分からないけど、一緒にいて楽しかった。
俺は、気づいたら、家に帰ってもいむくんのことばっかり考えるようになってた。