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第五話 かおしき〜花言葉③〜
コール音は、規則正しく鳴り続ける。
一回。
二回。
画面を見つめたまま、何も考えないようにする。
(三回目で……)
三回目。
音は、そこで途切れた。
留守電に切り替わることもなく、画面が静かに暗くなる。
「……そう」
短く息を吐いて、スマホを下ろす。
(来ない)
(つながらない)
二つの事実が、同時に並ぶ。
偶然、と片づけるには重すぎる。
僕は通話履歴を一度だけ確認して、画面を閉じた。
それ以上見る必要はない。
(確認は、終わった)
店内は静かだ。
花の匂いだけが、いつもと同じように残っている。
マリーゴールドの黄色が、やけに目につく。
(……別れ、か)
そう考えて、首を振った。
今はまだ、決める段階じゃない。
店の外では、ひまわりが変わらず風に揺れている。
明るくて、まっすぐで。
何も知らない顔で。
「……四季君」
名前を呼んでも、返事はない。
それでも、もう待つだけは選ばない。
僕はエプロンを外し、店の灯りを落とした。
――探そう。
待つだけじゃ、何も変わらない。
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