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憂海歌
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ゆうきたちの部屋から 智さんの手を引いて 自分たちの部屋に戻ってきた
「ねぇ?とも?」
部屋に戻る途中 不安そうな声で 何度も名前を呼ばれた
でも その声に返事する余裕はない
ゆうきの部屋で見た あんな欲情した顔をした智さんを見て 冷静ではいられない
繋いだ手をひいて 智さんを抱き寄せて 唇を重ねる
「ん…」
恋人になっても 今までと何も変わらず お互いなんとなく時間が過ぎていた
変わらず 練習しながら笑って コミュニケーションもハグも 今まで通り
そんな状況に 俺の中に モヤつく感情があった
もっと 距離を縮めたい
キスしたい
そして
ともさんを抱きたい…
正直 願望を叶えるのは簡単だと思っていた
でも 現実は違って 恥ずかしがりな智さんは あいさつぐらいのキスで 真っ赤になってしまう
そんな反応が可愛くて それ以上できずにいた
智さんは 嫌じゃないよな?
自問自答して ぐるぐる考えて…
初めて恋人できた学生かよ!
と自分に突っ込みながら モヤモヤと格闘していた
あーー 考えても 欲求不満になるだけだ もう言ってしまおう!
そして 思いきって
「ともさんと えっちしたい」と伝えた
言われた智さんは きょとん としてて でも 照れながら「うん」と返事してくれた
それから 数日後
「次のオフにね」
と約束したあたりのタイミングで 智さんはゆうきへ相談するようになった
部屋へ相談に行く時は ちゃんと言ってくれて 薄々相談している内容がわかるぐらい 報告してくれた
いつだったか 手のつなぐ話をしたらしく
練習帰り ともは 手をどう繋ぎたい?これ嫌じゃない?いまいち わかんないんだよなぁ〜
と俺の手をとって 手を繋いでくれた
智さんの照れた表情が マジ可愛くて こっちまで照れてきた
それから ゆうきから いろんなことを聞いてくるたびに 智さんから抱きついてきてくれたり 軽いキスしてくれたり お互いだんだん恋人の距離になっていった
そうなれたのも ゆうきのおかげだな と思っていた矢先
ゆうきからメッセージが入ってきた
部屋に 智くんを迎えに来てよ
ん?今日は らんがいるから ゆうきのところには行かないって 智さん言ってなかったっけ?
部屋にもどると 先に帰っているはずの智さんはいない
あれ?じゃあ ゆうきの部屋にいる?
でも なんで迎えなんだ?
わけわからんけど ゆうきがわざわざ言うんだから 何か話があるのかもしれない
あ……またきた
続きのメッセージって
は?
早く来いよ 俺 らんのこと 智くんの前で 抱くから
は?なんだよ!?それ!!
何がしたいのか 全くわからないし 智さんにそんなもの見せたくない
そして ゆうきの部屋のドアを全力でノックしたのだ
「と…とも…くるし…」
終わらない深いキスに 背中のシャツを ぎゅっと握って 苦しさを訴える
「ごめん…」
ヤバい 理性吹っ飛んでた
キスの余韻を感じつつ お互い呼吸を整えて ひとまずソファに並んで座る
「ゆうきたちと何してたんすか?」
「………何もしてない」
突然の長いキスに 意識がぼんやりしているのか 声に力がない
「ゆうきから こんなメッセージきたんすよ」
ぼんやりしている目線に スマホの画面を見せる
「え?ゆうきが!?」
「だから 俺 部屋に行ったんです そしたら…」
「うん……」
あの場面を思い出してか 智さんの顔が赤くなる
「ゆうきが……どうしても らんと…その…してるところを見た方がいいって…」
「何?変態なんすか?あいつ?」
見せつけるとか 意味わからん
「あのさ あれには一応 理由があるんだよ」
「理由?」
「俺が 原因なんだけど…」
は?智さん?
「ゆうきに相談してたんだよね その…恋人として 智とどうしたらいいのか?とか…」
「まあ…それは なんとなくは…」
「ゆうきのおかげで 恋人として 智と色々したいこととか 考えるようになって やっとともに近づけたかなって」
キスのせい? とろんとした目でこちらを見てくる
煽らないでよ…智さん
「だけど ひとつだけ どうしても分からないことがあって…」
「ん?」
「え……と… 智と……あの……えっち……するの…」
「……………え?」
思いがけないワードに 思考が止まる
「いろんな動画とかで どんなことするとか勉強してたの でも なんかピンとこなくて だんだん不安になってきちゃって ゆうきにも話を聞いてもらったんだ」
「そ……そうなんだ…」
「で……誤解しないで聞いて欲しいんだけど」
と前置きする
「ゆうきに 押し倒され…た んだ…」
え?あ…いや…は?
「と!ともさん!?」
「あまりにも 俺が鈍感だから 実際に近いシチュエーションになれば わかるんじゃないか?って」
「いや…だからって?え?」
「ベッドに押し倒されて 結構 顔も近づいてて 今考えたら かなりヤバかったな…って」
「当たり前ですよ!何やってんの?」
なんか むっちゃ腹立ってきた
「俺さ その状況で…」
え?まさか 智さん!?
「肌の調子 良くなった?
って 聞いちゃったの」
「………え?」
「ゆうきの肌を近くでみて 日本にいた時よりきれいだったから…つい…」
あの…感情が おいつかないんだけど
「この状態でそれはないよって ゆうきに爆笑されてさ
それで 俺たちを見たらどうかって…」
あ〜もう……
ゆうきも 智さんも こんなことに 天然を発揮してるとは…
「怒ってる…よね?ごめん…」
あまりに 想像を越えてて とりあえず頭の中を整理する
「怒る というか…」
頬に両手をあてて 智さんの顔をこちらにむける
「ゆうきとらんを見てる智さん ちゃんと興奮してましたよ?」
「へ?こ…こうふん?」
「自分もしたい……って顔 してましたよ あんなの誰としたかったんすか?」
「えと……あの………とも」
頬の手に伝わる 顔の熱さ
とろんとした表情
俺を誘ってるって どんだけ自覚ないんだよ
「さっきのキス どうでした?」
「しかた……わかんなくて…苦しかった……けど…」
「けど?」
「もっと…したかった」
はぁ……もう我慢の限界
「ほら 智さんのココ 反応してる」
「ほぇ?」
熱くなっている智さんの下半身を そっと触る
「キスしている時 ちゃんと反応してた」
「え…は……恥ずかし……」
足をもぞもぞ閉じる
「俺とのキスで 熱くなってくれたんでしょ?」
「わ……わかん……ないよ」
「大好き 俺の智さん」
唇に ちゅっと短くキスする
智さんの手を 自分の待ちきれない下半身に持っていく
「どう?俺のはイヤ?」
「あ……ともの……おっき…」
手をあてたまま 赤面しながら 興奮ぎみに息が荒くなってる
「俺が押し倒したら えっちしたくなるかもよ?」
いや 今すぐ押し倒して 抱いてしまいたい
「……こわい」
智さん……
「それって 俺が こわい?」
「ううん 違う 」
少し間を空けて
「ちゃんと 智を受け入れられるか…できなかったら 智に嫌われるのが こわいんだよ」
半泣きになって 震えている
「俺のこと こんなに好きでいてくれてる智さんを 嫌いになんかならないし」
唇を 指でそっとなでると びくん と智さんの身体が反応する
「不安なら ふたりで色々して解決しよ?俺も 智さんのこと 気持ちよくできる自信ないけど したいと思うことから ふたりのペースでさ」
「……いいの?」
「お互いが 気持ちよくなきゃ する意味ないじゃん?」
「うん……」
「それに 身体でも俺のこと大好きって わかったしね」
「あ……うん……」
「俺も 智さん大好き」
返事の代わりに 智さんからキスしてくれて お互いの柔らかい唇を感じる
「ベッド 行こ?」
「うん……いく」
手をつないで ベッドに向かう そして ゆっくり智さんをベッドに押し倒す
「どう?」
「………ドキドキする…」
「俺も ドキドキしてきた」
初めての 舌を絡ませたキスをする
ひとつひとつ
ゆっくり ゆっくり
ふたりで楽しもうね…
コメント
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第3話読了…!お互いに不安抱えながらも「ふたりのペース」で進もうとするの、すごく好きだな。智さんがゆうきに押し倒されて「肌の調子、良くなった?」って聞くの、天然すぎて笑ったけど、そこからの「ちゃんと受け入れられるか怖い」って不安がすごくリアルで…。でも「身体でも俺のこと大好きってわかった」って言える主人公の優しさにじーんときた。ふたりらしい、ゆっくりな距離の縮め方、素敵でした🥀