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石井謙信 sid
「 夏合宿か… 」
夏合宿に行くにもお金がかかる。
部費もあるし交通費もいる。
「 もうちょっと考えないと… 」
俺の家はそこまで裕福じゃなくって弟も3人いて金銭面では結構キツイ。
それに加えて親父も俺が小学校4年生の時に肺がんで亡くなってる。
「 謙信。謙信は本当にバレーボールが好きなんだな… 」
見舞いにバレーボールを持って行って一緒にしようと言ったことが何度もあった。
俺の親父は元々高校バレーのコーチをしていた人だった。
「 だって、父ちゃんとバレーするの楽しいもん!それに俺が春高でかっこいいスパイク決める所見て貰うんだもん!! 」
「 そうか…父ちゃんはな、謙信には好きなことしててほしいんだ。謙信は好きなことを伸ばしてほしい。それがバレーボールじゃなくてもなくてもいい。父ちゃんがバレーボールの先生だからバレーボールをしてたら父ちゃんが喜ぶなんてことは思うな。父ちゃんはな。謙信が本当に好きなことをしてるところが見たい。 」
そう言った二日後。
親父はもう遠くへ逝ってしまった。
親父が好きなことをしろと言ってくれたから俺は大好きなバレーを続けながらバイトを掛け持ちして家にお金を回した。
「 もっといいもん食わしてやんないとな…もっと働かないとな… 」
「 兄ちゃん…どうしたの? 」
「 んーなんもない。ほら、早く上がってアイス食おうな。 」
「 ん!アイスー!! 」
一番下の妹を風呂に入れながら思う。
夏合宿の事もお袋に言っても
「 謙信がしたいことなんでしょう?行ってきなさい。 」
って言って黙ってまたパート増やして体壊すようなことされても困る。
夏合宿…諦めるか…