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どれだけ時間が経ったか分からない。数分かもしれないし、数時間かもしれない。

徐々に彼女の体温が下がっていく。いつのまにか血は止まっていて、私の手に付いた血も乾燥し固まったいた。

このまま彼女をここに放置していれば、外に転がっている死体のように段々と腐っていくのだろうか。

酷い我儘だが、彼女にはそんなふうになって欲しくない。

立ち上がり、アルゴちゃんの部屋を見渡す。

棚に置いてあった一冊の本を手に取り、適当にページをめくる。数箇所付箋が付いていたので、私は青い付箋が付いているページを開けた。

そのページには、彼女のお気に入りの花、青火草について書かれていた。

ざっと目を通し、また別のページをぺらぺらとめくる。私が触ったページに、朱色の彼女の血が付く。最後のページまで見終わり、本を元あった場所に戻した。

棚から机の方に近寄る。引き出しを開けると、そこにも青いコレクションが丁寧に詰まっていた。

珍しいデザインの小さな紙製の箱を手に取る。これは、彼女の青いコレクションの中でも特にお気に入りの青いマッチだ。

まだ血吸蝶の存在なんて知らなかった頃、彼女が嬉しそうに私に見せてくれた事を思い出す。

『ねぇ見てティファニちゃん!これ、青いマッチ。可愛いでしょう?使ったら火も青いのかな、でももったいなくて使えないや…』

なんて言ってたかな。

しばらくマッチ箱を見つめ、スカートのポッケにマッチ箱をしまった。

引き出しを閉めて、アルゴちゃんを見る。やっぱり目覚める事はなく、静かに眠っていた。

「アルゴちゃん。最後にもう一度、花畑にでも行かない?本当は海に行きたいけど、ここからは遠すぎる」

話しかけた所で彼女が目を覚ます訳ではない。

「きっと大丈夫、私は最後まで貴方のそばにいるから」

赤く染まった手で彼女の頬に触れる。

心地良いくらいに、彼女は冷たかった。


肌の露出をなるべく減らし、血吸蝶がやってこないよう血は洗い流す。

彼女を抱え、エボリュを出る。そこそこ力はある方なので、小柄な少女1人抱えて歩くくらいどうってことない。

もし誰かに見つかったら、私は殺人犯扱いされるのだろうか。ぼんやりした頭で、また無駄なことを考え始めた。

それでも酸素は薄かった

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