──────めめさん視点──────
歩く。歩く。この荒廃した土地を。荒れ果てた土を踏み締め、自身の足でその星の上をあゆむ。
魔鏡の場所を探して。その後ろを、肩を震わせながら周囲を警戒する少年がてとてととついてくる。止めようとは思わない。別に、ついてきたとしてもなんの障害にもないからだ。それに、最悪見捨ててこの場から去ればいいだけ。なんて、思考は言い訳を考え始める。
「───な、なぁ。」
先程まで無言で私についてきている少年が話しかけてくる。さすがに無言だと気まずかったのだろう。そう、予想を立てたが、それは見当違いのようだった。
「俺たちって、死んだらどうなるの?」
やや、口調が丸くなっているのは私が神だと言ったからだろうか。しかし、私が注目したのは____たちと言ったところだ。意味がわからなかった。
「───なんで私も死ぬんですか?」
少し、気になったので聞いてみる。少しばかり、この少年が何を思ったのか気になったからだ。
「ママがね、どんな人もいつか死ぬ、って言ってたから。お前は死なないの?」
───あまりにも純粋と言うべきか。はたまた騙されやすい、と言うべきか。私は無言を貫く。───返すのが面倒だからだ。それ以上でも、それ以下でもない。しかし、少年は私が怒った、と勘違いしたらしく、少し慌てふためく。
「あ、失礼…だったのか?ごめんなさい。」
そう、謝ってくる。肩をしゅん、としぼめ、私から目をそらす。
「君、何歳?」
気になったので聞いてみる。邪魔、ということよりも好奇心が勝った。
「6。」
「ちっちゃいですね…。名前は?」
「む、人に尋ねる時は自分からってママが言ってたよ。」
ちっちゃい、と言われて気に入らなかったのか、少しムスッとしながら言い返される。別に、偽名を言えばいいだけだったが、まあ、言っても構わないだろうと思い、自身の名を言う。
「めめんともりです。めめ、とお呼びください。」
「めめ…ふーんいい名前だな。俺の名前はバーラ。バラ、って呼んでくれ。」
バラ…薔薇、ということだろうか。なんともまあ単純な思考回路で作られた名前だ。だが、悪い名前ではなかった。
───さて、そろそろ体力も戻ってきた頃だし飛ぶことにする。魔鏡との距離は歩いていくのには遠すぎるからだ。
私がそっと飛び上がると、バラは驚いたように目を見開く。
「は!?なんで飛んでんだよ!?俺も連れていけよ!!」
「…仕方がないですね。弱音を吐かないでくださいよ。」
暴れられると面倒だったので、背中に乗せ、そして空を蹴り、勢いづける。少しばかり加減してやるのは私からの情けであった。───それでも早いものは早いだろうが。
「お!おい!?早ッッ!?早すぎるって!?」
「文句を言わないでください。これでも手加減してあげてるんですか、らッッ!!!」
そう言って、また一弾スピードをあげる。バラがしっかりと私にしがみついているのを確認しつつ、一瞬で、その気配の元へと辿り着く。やっぱり歩くより飛ぶ方が早いな、なんて思いながらその地に足をつける。
───立派な城だった。それ以上の情報が必要というならばお答えしよう。まるで、城を閉じ込めるかのように高く聳え立つ真っ白の城壁。その中には荘厳の意を借りたのでは?と思うほどの大きな城。全体的に白を基調とし、屋根は赤色と、The castle みたいな見た目をしていた。
私は戸惑うことなくその城に入る。
バラは私のローブにくっつきながら、その城へと足を踏み入れた。
「───誰だね、君は。」
門番かのように立ち塞がるのは立派な白い髭を生やした老人だった。その目は優しげながら、どこか強い光を感じる。
「こんにちは。今日は星が綺麗ですね〜。」
「話をそらさないで貰えるかな。君も知ってると思うが、今戦争中で皆ピリピリしているんだ。それを刺激しないでくれると助かるよ。」
私が適当に話題を振ってあげれば、それとは無関係の話で雑談が打ち切られる。───いい気分はしないが、さっさと本題に入りたくもあったので気にしないことにする。
「【魔鏡】をご存じですか?」
その瞬間、老人の目付きが変わる。
「ほぉ…あなたもご存知でしたか。しかし、それがどう致しましたか?」
「それを返してください。それは私のものです。」
そう、断言する。が、老人は冷静に返答する。
「それは難しいですわな。何しろ、聖職者曰く、神の御加護がついている特別な鏡ですから。あの鏡のおかげで我々が生きていると言っても過言では無いのですから。」
「えぇ、そうでしょうね。では。返してください。───それは神たる私のものです。」
そう、言えば老人は驚いたように目を見開いたあと、膝つく。───賢いな、こいつ。なんて思いながら次の行動を待つ。
「貴方様が神だったとは。いやはや。無礼をお掛けしました。───ただ、私には神の力など分かりませぬ。ここで、ひとつ証明して貰ってもよろしいでしょうか?」
「───私が証明した時のメリットは?」
「もちろん。魔鏡をお返し致します。ただ、もし、証明ができないというのならば。貴方様が神だとは分からないので返すことができませぬ。」
本当に賢いようだ。今まで見た中でも上位クラスなほど。神と聞いて大半のものは嘲笑うか、媚びを売る。ましてや、このように───取り引きをしようとするものなど少数だ。私は、寛容な神なので、それを許可する。───少しばかり、力の使い方を思い出すとしよう。
「それでは…そうですねぇ。はて、神しか出来ぬことなどありますでしょうか?例えば───敵国を1秒で滅ぼすなどいかがでしょうか?あそこの敵国は守りが強く、私のような大賢者レベルでも太刀打ちしかねます。そこで、神というあなたがその国を滅ぼしてきてくれませんか?」
「神を利用して敵国を潰したい、ということですか?」
「そうですね。そう言えます。ただ、一つだけ否定するというのならば利用ではありませぬ。交渉でございます。私たちが魔鏡を渡すのと引き換えに貴方様が敵国を滅ぼす。どちらも得しかございません。」
───中々に面白い。これは魔鏡云々がなくともやりたい。私は神の中でも異端な面白さを重視したものが好きな神だ。この契約。乗らねばつまらない、と私の心が囁いてくる。
「───もちろん。お受け致しましょう。私───【死神】の名において。」
「光栄でございます。死神様。」
そう、恭しく礼をする老人こと、大賢者。その態度は少しつまらぬものだが、礼儀が払えないものよりはよっぽど良い。
私は鎌を取りだし、敵国の場所を正確に探し出す。
───見つかった時、その敵国終焉を迎える。
ここで切ります!めめさん回がすこーし続きそうですね!まあ、めめさん推しだからシャーない()
13万♡ありがとうございます!!!
記念イラストはアナログ(加工済み)です!↓↓↓
ヒナさんですね!ふわっとした感じに仕上げられたと思います!あ、衣装は少し変えさせて頂きました!転生直前の天使、ってイメージで描いたので!
それでは!おつはる!
コメント
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あれ、レイラ〜さんも国を滅ぼしてたような…人の国だけど
敵国一瞬で滅ぼす…えぐすぎぃ⤴︎︎︎