──────Gれいまり視点──────
たかが人間ごとき。
たった一文。しかし、その一言は私の心臓に衝撃の矢を刺した。──────私の知っているめめさんはそんなことを言わない。一種の拒絶反応が反射的にそれを拒絶する。その間にも大量の血が──────
「あ、あなたの体は一旦止血させてもらいました。」
そういえば、というようなテンションでそういう。先程貶した一人の人間である私をわざわざ止血してくれた。その事実に脳裏にめめ村の絆、という言葉が垣間見えた。まさか、めめさんはめめ村のことを覚えているのでは?一筋の希望に私の目に光が宿るのを感じた。
「大量出血で死ぬなんて拍子抜けで面白みないですから。せっかくなら最後まで楽しみましょう?…もしかして、期待しちゃいましたw?」
そうキラキラと光る光を瞳に灯しながら言うめめさんは天使には見えず、在る日の村長と重なることはなくなった。
あぁ、世界が変わって、立場さえも変わってしまえばみんなはこんなにも変わってしまうのか。散々学んだはずなのに。ここまではっきりと敵対の意志を見せられて、痛めつけられたのは初めてで。今まで縋っていたものが幻想だと分からされてしまったような気がした。
──────頭のどこかで、何かが切れた。
止血される前に流れていた血に魔力を滲ませる。
バレないように痛みに必死に耐えながら質問を考えているかのように見せて。
生きるために最低限ある魔力をちょっとずつ切り崩す。まだ生暖かく、新鮮な血にうっすらと魔力が宿ったことで、少しばかり動かせるようになる。私は使ったこともない、ただ魔導書を読んで少しばかり知った呪文をまるで赤子のように拙い言葉で話す。
「Φλόγα, υπάκουσε!」
Φλόγα, υπάκουσε(フローガ・イパークセ!)。ただの初級魔法で、私には応用もできず、そのまま言うことしか出来ない異国語。本来ならば小さな炎を灯らせることしか出来ない魔法だが、幸か不幸か、私の多量の血に魔力が宿ったことにより、辺り一面炎の海と化す。
「──────は!?」
めめさんは慌てて空を飛ぼうとするが、それは腕によって防がれる。その腕は私の切り落とされた腕である。
「な、んで動いてッ!?」
「私も出来ると思ってませんでしたが。それに、めめさんは私の能力を完全には知らないようですね。」
出血によって回らなかった口がペラペラと動き出す。これは自分の意思で話せているのか、はたまた自分自身をラジコンとして能力を使って話しているのか。区別がつかなくなったネジが数本飛んでしまった脳はそんなこと関係ないとばかりに、ラジコン化した足を自身の方に歩かせ、私の胴に繋げる。実際は繋がることは無いが、自身の体を運ぶのには充分なほど安定していた。
「お前ッ!?まさか、人間じゃないですねッッ!!!天使を騙しやがったな!!」
めめさんの口調が乱れる。炎に巻かれたその姿で、私を睨みつける。──別に、私の目的は死ぬ事では無い。情報を得ることなのだ。よくよく考えたらここで死んでしまうなんてもったいない。ソレに──────もっといいラジコンを見つけた。
炎に巻かれて火傷が覗く。炎に含まれた血が、めめさんの体内に忍び込む。まだ、まだ足りない。私はもう片方の腕をめめさんの首におく。そして、首を絞めさせる。リンクした触感からめめさんの脈が伝わってくる。生きたい、まだ死にたくない、そう叫ぶように脈が上がり、より手の感触がそれを鮮明に捉える。
「アガッヒューッッハァッ____」
「アハハwwwさっきまで見下してきたヤツに首をかけられる気分はドウダ?」
私は違和感のある足を使いながら横倒れになっためめさんを見下ろす。純白の翼が焦げ落ち、生命の証の光輪がうっすらと点滅を繰り返す。──────その光が消えた時、めめさんが死ぬということ。だが、こんなものはめめさんではない。こんな存在がめめさんという名を騙って生きていることが許せない。だから、殺す。
そして、偽物は私のラジコンとして使わせてもらう。死んだらそれはただの『物』だ。有効活用させてもらう。散々天使から情報を抜き取ったあと、じっくりと拷問して殺してやる。
まるで熱でも出たかのような思考の捻じ曲がりを感じる。なんだかぼーっとして、根拠の無い高揚な気分になる。まあ、いい。私は、どこまでも堕ちてみせる。覚悟を決めるべきなのだ。そうしないと一生地獄の底を繰り返し、幸せなんて見てないんだ。盲信的に、何かに縋りつくかのように、何者かに言い訳を並べ、さらに首にかける手を強くする。
これだけじゃ人外は死なない。心臓。心臓を貫かなければならない。けれど、簡単に殺してしまっていいのか?私はこんなに痛めつけられたのに、やられっぱなし?納得がいかない。私はもう腕も、足も、生え治ることはなく、傷だらけの、切り離された四肢で生きていかなければならない。じんがいには到底分からないような悩みだろうな、なんて鼻で笑いながらもう片方の腕に天使が持っていた槍を持ってこさせる。
「ヤレ。」
そう一声かければ、腕は骨の関節をずらし、その勢いで飛び上がる。
そして、そのまま──────
グチャッッ!!!
そんな音ともにまたまた鮮血が花火のように空に舞いあがる。骨が露出し、肉が抉り出されている。
「油断は禁物ですよ。天使さん?」
ここで切ります!覚醒シーン入りまーす!人間の可能性が込められている話になったと思います!まあ、完全な不意打ちに相手の完全な油断の2つが必要ですけどね〜。まあ、魔法が使えない相手が突然魔法使ったら驚くのは当たり前ですが…。まあ、めめさんは死んだのか、誰が人外ハンターのアジトを滅ぼしたのか、それは次回に、ということで…
あ、一応ワンシーンを落書きで描きましたー!
まあ、ただのイメージ図なんですけどねぇ。雑ですみません…
それでは!おつはる!
コメント
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インフルエンザかかっててみれませんでした今回も面白いですね
やっぱり失うものがないって一番の強さになるよね
「ヤレ」がカタカナになってるのが、感情切り替わったみたいで覚醒っぽい