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50 - 第50話 五の罪状⑤ かつての地へ

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2025年06月02日

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――高速へ合流してから僅か数分にも満たず、目的の標識が見えてきた。



“人吉IC”



幸人は減速し、方向指示器を左折へと。



降りて少し走らせると、四つの料金所が見えてきた。



幸人の車はETC(電子料金収受システム)兼備なので、そのまま一番左側の専用料金所へ。



「わぁ~! ここが目的の場所なんだね」



料金所を通り過ぎ、悠莉が早速とばかりにカーナビをチェック。



「わわっ! 幸人お兄ちゃん幸人お兄ちゃん! このすぐ前にチキンがあるよチキン!」



“そっちかよ!”



つまり先ずは腹拵え。確かに昼時でもあるが、幸人は力が抜けそうになる。



悠莉の言う“チキン”とは、有名なおじさんマスコットが目印の、世界的チェーンのフライドチキン専門店である。



勿論悠莉の大好物であり、料金所を降りて国道へ合流する向かい側――すぐ目の前にそびえ立っていた。



「あっ! でも右にちょっと行くと、ハンバーガー屋さんがある~」



これもまた有名なハンバーガーチェーン店で、悠莉の大好物である事は言う迄もない。彼女としてはどちらも甲乙つけ難いのだが、ハンバーガーのサイドメニューであるチキンナゲットだけはジュウベエも食べれるので、とどのつまり行き先は――



「幸人お兄ちゃん右だよ右っ――」



「はいはい……」



幸人は方向指示器を右へと向け、右折し国道へと合流。車を悠莉の目的の場所へ向けて走らせた。



――車通りはそう多くない。どこからどう見ても、色んな意味で田舎町である。悠莉は窓から物珍しそうに、辺りの風景を見回していた。



“あまり変わってないな此処も……”



久し振りに訪れたこの地に、幸人も感慨深く辺りに視線を向ける。



“熊本県球磨郡”



熊本県の郡であり、人口約56000。人吉町を中心に28の村が成立している。



かの有名な“人吉城跡地”や、幽霊掛軸で知られる“永国寺”が在り、観光で訪れる者も多い。



中でも球磨郡錦町は“剣豪とフルーツの里”をキャッチコピーに、かの宮本武蔵が唯一敵わぬと悟ったと云われる、タイ捨流始祖――剣豪・丸目蔵人(まるめくらんど)の出身地として有名。



――少し進んだ所で交差点から左折し、人吉城跡地へと向かう道路の途中に、悠莉お目当てのハンバーガー店が見えてきた。



店内にジュウベエを連れ込む訳にはいかないので、幸人はそのままドライブスルーの方へ。



「幸人お兄ちゃんボクはね~、Mチーズダブルにバニラシェイク! あとジュウベエにチキンナゲットお願いね~」



刺激が強いので、別売りのバーベキューソースとマスタードは抜きらしい。ジュウベエは勿論、辛いのが苦手な悠莉も一緒に食べる為だ。



「――……以上、お願いします」



幸人としては、別段何だっていい。適当にフィッシュを一つチョイスすると、窓口から出来上がる迄に少々時間が掛かった商品を受け取り、そのまま店を出て車を走らせた。



「美味し~! はいジュウベエも」



「ほいほい――後で金のスプーンも買わねばっ!」



「そうだよね~、後で買い物に行こっ――」



走行中の御食事タイム。すぐに人吉城跡地が左側に見えてきたが、二人は夢中でそれ処ではなかった。



見ると其処では、観光の人だかりもそれなりに見える。



一見して平和だ。こんな平穏な町で、一体何が在ると言うのか。



車はそのまま人吉城跡地を通り過ぎ、国道219号線へと合流。方向からして“錦町”の方へと向かっている。



「錦町……確か剣豪、丸目蔵人のお墓があるんだよね? わぁ~行ってみた~い」



カーナビから錦町へ向かっている事が分かり、悠莉が次なる行き先を促した。完全に観光気分だ。本来の主旨を忘れている。



別段剣豪マニアと言う訳でもないだろうが、折角来たのだから、歴史の原点に足を踏み入れたくなるというもの。



「まあ……その近くだな、行くのは……」



ジュウベエの何処か、奥歯に物が詰まったかのような物言い。



何処か違う。少なくとも“良い場所”と取れる感じではない。ジュウベエと、振り返ると此処に来てから口数の少ない――“彼”にとっては。



「…………」



幸人は何処か険しそうで、でも何処か物憂げな表情でバンドルを握りながら、ただ前だけを見て車を“目的の地”へと向けて走らせていた。



――車は国道219号線から真っ直ぐ錦町へと向かい――見えてきた。



「わぁ~! おっきい看板だね~」



窓から身を乗り出すかのように声を上げた悠莉の言う通り、国道の左側の小山には『剣豪とフルーツの里』と、遠く離れても一目瞭然な位の大きな看板が備え建てられていた。



その看板に描かれた人物画は、勿論かの剣豪丸目蔵人である。



看板を挟んで右隣には、錦町の象徴の一つとも云える、広大な敷地を誇る『石野公園』があり、此所では文芸品の展覧や、刀剣製造の実演等のイベントもあり、観光で訪れる者も多い。



幸人達を乗せた車は、錦町へと入ったが目的地はまだ先。



途中に大きなショッピングモールが見えたが、車はそのまま通過。



『あれ~? 買い物は?』と悠莉は不満を述べたが、今はそんな事は後回しだ。



車はそのまま国道219号線から、途中右折し旧道へと入る。



途端にガラリと流れる風景が一変し、田圃道が続く古き良き田舎町の様相だ。



悠莉は都心での生活しか知らない為、逆にこういう風景が新鮮に映ったのだろう。



『わぁ~』『おぉ~』と、通り過ぎる風景を見る度に、興味津々に感慨を洩らしていた。



「お嬢? あそこに見えるのが、あの丸目蔵人の墓だよ」



暫く進んだ後、ジュウベエが身を乗り出して、悠莉へと伝えた。



「おぉ~あれが伝説の剣豪のっ――」



それは当時を再現したとされる一軒家が見えてきたが、車は止まらずそのまま通り過ぎた。



「あれれ?」



悠莉は怪訝に思うが、元から目的が観光ではない事を彼女は忘れている。



仮にそうだとしても、観光は全てが終わってからだ。



「もうちょい先だから……」



ジュウベエは無言の幸人に代わり、狼狽えている伏もある悠莉へのフォローを忘れず、そのままもう少し進んだ所で車は目的地へと到着した。

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