テラーノベル
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#再会
#ワンナイトラブ
#独占欲
お互いの両親からひとまず結婚の許可をもらった次の日。僕は午後半休を取り、某ホテルのブライダルフェアなるものに、白石さんによって連行されていた。
「次はチャペルをご案内しますね。本当に素晴らしいステンドグラスなんですよ」
スタッフさんの丁寧な案内で辿り着いたそこは、圧倒されるような空間だった。高い天井、ステンドグラスから降り注ぐ光。
だが、内線電話に呼ばれたスタッフさんが「申し訳ございません、少々失礼します」と席を外した瞬間、その聖域は変貌した。
「……んっ……ふ、……っ」
白石さんの舌が容赦なく僕の口内を蹂躙し、絡め取ろうと蠢く。静謐な空間を汚す、淫らな水音が耳元で跳ねる。それに、逃げ場のない左手に感じる、ダイレクトな彼女の体温。わざと僕の手の上に腰を下ろし、その重みを預けてくる彼女の「確信犯」的な重力に、脳が焼かれそうになる。
(……っ、変な気になりそうだ。でも、ここは公共の場だぞ! しかも神聖なチャペル……!)
「……大変お待たせいたしました。……あら?」
戻ってきたスタッフさんが、ベンチで石像のように固まっている僕を見て、不思議そうに小首を傾げた。
「春川様。少々お顔が赤いようですが? 大丈夫でしょうか……。空調、少し下げてまいりましょうか」
「あ、いえ! 大丈夫です! ちょっと……あ、日差しが、強かっただけで!」
僕は慌てて立ち上がり、まだ左手に残る彼女の体温を隠すようにポケットへ手を突っ込んだ。 隣では、白石さんが何事もなかったかのように、聖母のような穏やかな微笑みを浮かべている。
「すみません。『本番』を想像して知恵熱が出ちゃったみたいで♡」
「まあ、微笑ましい……。素敵なカップルですね」
スタッフさんが目を細める中、白石さんが僕の耳元にスッと顔を寄せた。
「……キスの練習、また今度ね。今日は結婚式にやりたいこと(リハーサルの項目)、いっぱい残ってるから、 覚悟しておいてね♡」
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