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門を抜けた先、肌を刺すような夜風が吹き荒れる。
背後に残したリガ・ポルトの灯火は、もはや地平線の彼方で小さく震える炭火にすぎない。
「……ルイ姉、下ろしてください。もう、大丈夫ですから」
背中で小さく呟くマイロの声に、ルイは応じなかった。
「ルイ姉」
「…嫌だ」
「まあ。頑固なこと」
頑固でも何でも言えばいい。
私は君を失うこと以外に怖いことなどない。
…ただ、私の隣で笑ってくれていれば、他には何もいらないのに
どうして、神様はこれほどの意地悪ばかりするのだろう。
「…何か隠してます?」
「何も」
「そういうの私嫌いです」
「…私だって、できればこんなことしたくなかった」
…自分が悪いとわかっていても、どうしても攻撃的になってしまう。
マイロを傷つけたいわけじゃない。
どちらかといえば守りたい…のに。
鬱陶しい感情が、邪魔をする。
「…いつか、話してくれますか?」
「…」
「そうですか」
どこか傷ついたような声色。
罪悪感が胸を募らせる。
「…ごめん、私がもっと君のことをよく見ていれば、もっと早く…」
「謝らないでください。というかまずそもそも何かわからないんですから」
ルイは黙り込むとひたすら歩いた。
暫く経つと、ベルツが沈黙を破る。
「僕の『知人』が管理している廃村がこの先にあります。……今夜はそこで、彼女を休ませてあげなさい」
「……ああ。……行くぞ、ベルツ」
ルイは再び歩き出す。
ルイは、今や
たとえ自らを挺してでも、マイロを助けるためなら自らの命など厭わない
マイロの手の上で転がされ、糸に繋がれ操られる
マリオネットだった。