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junp_Sn-Fk.
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#二次創作
💛side
夏休みに入って最初の土曜日。
昼間から窓の外では蝉が鳴き続けていた。
カーテン越しの日差しは眩しいくらい強くて、部屋の時計を見るたび、まだかと落ち着かなくなる。
別に、初めて遊ぶわけじゃない。
放課後も休日も、一緒にゲームをしたり、本屋へ行ったり、ファミレスで何時間も話したことだってある。
なのに今日は違った。
理由は分からない。
ただ、妙に緊張していた。
スマホが震える。
💜『着いた』
短い通知を見て、急いで家を出る。
外へ出た瞬間、むっとした熱気が全身を包んだ。
住宅街の角を曲がると、街灯の下に辰哉が立っていた。
黒い浴衣。
髪はいつもより少しだけ整えられていて、普段とは違う雰囲気だった。
💜「おっ」
俺に気づくと、小さく手を振る。
💜「似合ってるじゃん」
💛「……そっちも」
その一言を返すだけなのに、少し時間がかかった。
なんだろう。
制服で見る辰哉とは別人みたいだった。
💜「照?」
💛「いや……なんでもない」
💜「変なの」
笑う。
その笑顔が夜の灯りに照らされて、少しだけ大人びて見えた。
祭り会場は人で溢れていた。
焼きそばのソースの匂い。
炭火で焼かれる焼き鳥。
りんご飴の甘い香り。
金魚すくいの水が揺れる音。
子どもたちの笑い声。
どこを見ても夏だった。
💜「腹減った」
💛「さっき食べてなかった?」
💜「屋台は別腹」
💛「便利な腹してんな」
結局、たこ焼き、焼きそば、かき氷。
辰哉は見つけるたびに立ち止まる。
💜「一口いる?」
💛「いい」
💜「遠慮?」
💛「暑いだけ」
💜「はい」
返事も待たずにスプーンを口元へ向けられる。
断るタイミングを逃し、そのまま一口食べた。
💛「……冷た」
💜「うまい?」
💛「うまい」
💜「だろ?」
自分が作ったわけでもないのに、誇らしげだった。
そんなところまで、少し面白い。
射的。
輪投げ。
くじ引き。
どれも大した成果はなかった。
それでも笑いっぱなしだった。
💜「照、あれ」
辰哉が指さした先には、綿あめを持って歩く小さな兄妹。
💜「小さい頃さ」
💜「祭りって、一年で一番楽しみだった」
💛「今は?」
💜「……今も」
そう言って笑う。
💜「でも、一人じゃ来ないかな」
💛「なんで」
💜「楽しくないし」
その言葉に、胸の奥が少しだけ温かくなった。
俺も、多分同じだった。
💜side
照は自分がどんな顔で笑ってるのか知らない。
本当に楽しそうな時だけ、少しだけ目尻が下がる。
それを見るたび、俺まで嬉しくなる。
そんなこと、本人には絶対言えないけど。
人混みを歩いていると、前から子どもが走ってきた。
ぶつかりそうになった瞬間。
照が自然に俺の腕を引いた。
💛「危ない」
その一言だけ。
でも。
腕を掴まれた場所だけ熱くなる。
照はすぐ離した。
何も気づいていない。
俺だけが、しばらく心臓を落ち着かせられなかった。
💛side
夜八時。
祭りの灯りが少しだけ落とされる。
アナウンスが流れた。
「まもなく花火を打ち上げます」
人が一斉に川の方へ集まり始める。
💜「急げ」
辰哉が俺の手首を掴んだ。
人混みの中を走る。
息が切れる。
笑いながら土手を駆け上がる。
少し離れた場所に腰を下ろした。
💜「間に合った」
空を見上げる。
一瞬だけ静寂。
そして。
ドンッ
夜空に大輪の花が咲いた。
赤。
青。
金色。
次々と夜を染めていく。
花火の光が奏の横顔を照らす。
綺麗だった。
花火じゃない。
辰哉が。
その瞬間。
自分でも驚くくらい自然に思ってしまった。
……好きだ。
気づいてしまった。
もう親友じゃ足りない。
もっと隣にいたい。
もっと笑わせたい。
もっと。
その先を望んでしまった。
だけど。
この関係を壊すくらいなら。
親友のままでいい。
そう言い聞かせるしかなかった。
💜side
最後の花火が夜空へ上がる。
ドンッ
光が散る。
その横で、照を見た。
花火を見上げる横顔。
真剣な目。
優しい表情。
胸が苦しくなる。
もう誤魔化せなかった。
照が好きだ。
親友なんかじゃない。
でも。
照が俺をそんなふうに見ることは、多分ない。
だから、このままでいい。
笑い合える今を失うくらいなら。
好きなんて言わない。
そのつもりだった。
帰り道。
夜風が昼間の暑さを少しだけ連れ去っていた。
💜「今日は楽しかった」
💛「俺も」
💜「来年も行こう」
また、その言葉。
来年。
当たり前みたいに口にする未来。
💛「……ああ」
俺は頷いた。
隣を見る。
辰哉も笑っていた。
その笑顔が、ずっと続くものだと。
疑ったことなんて、一度もなかった。
コメント
1件
浴衣デートからの花火、もうエモすぎて叫びそうになった😭💕 お互いが「好きだ」って気づくのに、親友のままでいようって思うところが胸に刺さる…! 来年も一緒に行こうって言える関係、ずっと続いてほしいなって願わずにはいられなかった🌸