テラーノベル
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☔️「ふぅ……思ったより大変だったぁ」
こさめが腕を伸ばして大きく背伸びをすると、肩にかけていたエプロンがずり落ちかけた。
🍍「手伝ってくれて助かった」
隣で道具を抱えたなつが、さらりとした声で言う。
☔️「いえいえ! 美術部の人たち、ずっと細かい作業しててすごいなぁって思った!」
こさめはにこっと笑い、廊下を軽快に歩いていく。
一仕事終えて気が緩んだのか、ふと振り返ってなつを見上げる。
☔️「ねぇ、なつくん」
🍍「ん?」
☔️「文化祭、本番一緒に回ろうよ! 展示も見たいし、出し物もいっぱいあるし。……だめ?」
思い切って口にしたその言葉に、なつは一瞬足を止めた。
🍍「……一緒に?」
☔️「うん!ぁ、回る約束してる人いるなら大丈夫だよ」
無邪気な笑顔。
軽い誘い。
――なのに、なつの胸にじんと熱が広がる。
🍍(……なんだ、これ。なんでこんなに……心臓、うるせぇ、)
🍍「……別に、いいけど」
視線を逸らしながら答えるその声は、いつもよりわずかに低く揺れていた。
☔️「本当?やったぁ!」
こさめは嬉しそうに小さくスキップを踏み、そのまま先を歩いていく。
けれどすぐに立ち止まり、振り返って少し不安そうに笑った。
☔️「でも……当日、人多いだろうし。はぐれちゃったら困るよね」
🍍「まぁ、そうだな」
なつが頷いたその瞬間――
☔️「じゃあ……こうしよっか!」
こさめはとっさに、なつの制服の袖をそっとつまんだ。
🍍「……っ、?⸝⸝」
思わず足を止めたなつの耳に、自分の心臓の音がやけに大きく響く。
☔️「こうしてたら、絶対離れないでしょ?」
悪戯っぽく笑いながら見上げてくるこさめ。
あまりに自然体で、あまりに近くて。
なつは言葉を失い、ただ視線を逸らすしかなかった。
🍍「……こさめって、ほんと自由だよな … ⸝⸝」
絞り出すように言った声は、かすかに震えていた。
☔️「えへへ、褒め言葉として受け取っとくね!」
袖をつまんだまま、こさめはご機嫌に歩き出す。
――けれど、なつの胸の奥では「ありがと」なんて軽い言葉では処理できない熱が、ずっと渦巻いていた。
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