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「あ、あのね、竜之介くん、これは……」


ひとまず、良太くんとここへ来た経緯を説明しようと私が口を開きかけると、


「どうも。今日は彼氏さんが来られないって聞いたから俺がここまで一緒に来ましたけど、勘違いしないでください。実は今日、勤務中に亜子さんがゴミ捨てに外へ出た時にガラの悪い男に絡まれていて、その男たちがさっきも店の周りを彷徨いていたから、不安そうな彼女を放っておけなくて、俺が勝手に付いてきただけですから」


良太くんがここへ来る事になった経緯を自ら話、竜之介くんへ弁解してくれる。


「男に、絡まれた?」

「う、うん……だけど、もう大丈夫だから……」

「……そう。とにかく、そういう事情でってなら分かった。亜子さんに付き添ってくれてありがとうございました。それじゃあ、帰ろう」

「あ、う、うん……。良太くん、今日は、本当にありがとう。またね」

「うん、またね、亜子さん」


ヒラヒラと手を振り笑顔で見送ってくれた良太くんとは対照的に、彼と共へ保育園へ来た理由を知れて一時的には納得した様子を見せていた竜之介くんだったけれど、やっぱりどこか納得いっていないのか、私の手を引いたままだけどこちらへは見向きもせず、抱き抱えている凜とだけ、楽しそうに会話をしている。


(やっぱり、怒ってる……よね)


凜が居る前じゃ話し合う事も出来ないので気持ちを切り替え、時折話し掛けてくる凜の相手をしながら帰路に着いた。


「えー、おにーちゃん、きょうはいっしょにごはんたべないの? おふろも?」

「ごめんな、これからちょっと出掛けなきゃいけない用事が出来たんだ」


いつもならば帰宅した後は一緒に凜とお風呂に入ってからご飯を食べるのだけど、今日はこれからどこかへ出掛けると言うので、一緒にお風呂も入れない、夕飯も食べられない事を知ると凜はかなり落胆してしまう。


「帰りは夜中になると思うから、待ってないで先に寝てていいから。それじゃあ」

「あ、うん……分かった。行ってらっしゃい……」


竜之介くんは多分、ここへ帰ってくるまでに出掛ける事を決めたに違い無い。


それはきっと、さっきの事があって、怒っているから。


あんなにも冷たい彼を見たのは初めてで、何だか凄く悲しくなる。


(やっぱり、良太くんの申し出を断ってタクシーで行けば良かった……)


今更嘆いたところでどうにもならず、竜之介くんが出掛けてしまい不機嫌になった凜の機嫌を取る為に凜の好物を作ろうと気持ちを切り替えて動き始めた。


「……ふぅ、ようやく寝てくれた……」


竜之介くんが出掛けてしまってからというもの凜の機嫌がなかなか良くならず、結局眠る直前までぐずったままだった。


ようやくひと息つけるとリビングへ戻るも、いつもならば笑顔で待っていてくれる竜之介くんの姿が無い事が淋しくて仕方ない。


(いつもならお疲れ様って言ってハーブティーを淹れてくれるんだよね……)


彼が笑顔で傍に居てくれるだけで疲れも吹き飛ぶのに、今日は怒らせてしまったせいで冷たい態度を取られ、顔も見たくないのか帰って来てもくれない。


まさかこんな事になるなんて思わなかったとは言え、自分の浅はかな行動をただただ嘆いていた。


「……寝てていいって言ってたけど、それじゃあ駄目だよね……」


このままじゃ明日の朝も微妙な雰囲気のままになってしまうかもしれない。


いつまでも仲違いしたままは嫌だと思った私は竜之介くんが帰って来るまで起きている事に決め、


「……そうだ、凜の手提げカバン、新しいの作ろうと思ってたし、丁度良いから作って待ってよう」


ただ待っているだけというのは時間も勿体ないので、やらなきゃいけなくて後回しにしていた手提げカバン作りをしながら待つ事にした。


ダイニングテーブルの上で作業を始めてから暫く、ふと時計に目を向けると時刻は午前一時になろうとしている。


「……竜之介くん……遅いな……」


どこで何をしているのか不安はあるけれど、こうなったのは私のせい。


とにかく今は帰って来て欲しい、そして今日の事を謝らせて欲しいと思っていたその時、ガチャッと玄関のドアが開く音が聞こえて来た。


リビングの灯りが付いているから私が起きている事は一目瞭然だろうし、顔を合わせたくないならそのまま部屋へ入ってしまうかもしれないと思った私は椅子から立ち上がると足早にドアを開けて玄関で靴を脱いでいた竜之介くんへ声を掛けた。


「竜之介くん、おかえりなさい……」


私が顔を出すとは思っていなかったのか、一瞬動きを止めた彼は少しバツの悪そうな表情を浮かべつつも、「……ただいま」と一言返してくれる。


「……ごめんなさい、寝てて良いって言われたけど、やっぱりきちんと話がしたくて……待ってたの……」


相変わらず素っ気ない竜之介くんを前に寂しさと悲しさが込み上げてきたけれど、それをグッと堪えた私は何とか話が出来ないかと言葉を続けてみると、


「……遅くなって、ごめん。とりあえずシャワー浴びてくるから……その後で良ければ、話そう……」

「ありがとう、それじゃあ待ってるね」


竜之介くんもこのままではいけないと思ってくれたのか話をする事を了承してくれたので私はひとまず胸をなで下ろし、ハーブティーを淹れて彼がお風呂から出るのを待つ事にした。

頼れる年下御曹司からの溺愛~シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます~

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