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私がいる場所について考えているうちに眠たくなってきたので寝ることにした。こんな場所で眠れるのか心配だったが、意外にもあっさり眠りにつくことができた。
どのくらい時間が経った頃だろうか。突然、部屋の明かりがついたのだ。眩しくて目を開けていられないほどだ。
ようやく目が慣れてきたところで周囲を確認すると、そこには一人の男性が立っていた。
彼は背が高く痩せていて、髪の毛は短く切りそろえられている。年齢は二十代後半といったところだろうか。整った顔をしているものの表情はなく、何を考えているのか分からなかった。
「君は誰だい?」
男が口を開く。見た目に反して低い声をしている。
「私は……」
一瞬ためらった後、正直に伝えることにした。
「分かりません」
「そうか」
男はそれだけ言って黙ってしまった。
それからしばらくの間沈黙が続いたけど、やがて再び彼が話しかけてきた。
「ところで、君はここがどこなのか知っているかい?」
質問の意味がよく分からなかったので聞き返す。
「どういう意味でしょうか?」
「ここはどこだと思う?」
「さっきと同じ答えになってしまいますが、分かりません」
「ふむ」
また会話が途切れてしまう。男の口調は穏やかで丁寧なものだったが、そこにはどことなく事務的な響きがあった。
「さっきも言いましたけど、僕の名前は分かりません。ただ……」
「ただ?」
「おそらくは、『SCP-030-JP』と呼ばれているものでしょうね」
「どういう意味なんだ?」
「僕にも詳しいことは分かりません。ただ、財団と呼ばれる組織に属する職員たちがそう呼んでいるようですね」
SCPとかいう聞き慣れない単語のせいで理解に苦しむ。しかし、彼が嘘をついているようには思えなかった。
「それで君は、一体何者なんだ?」
男は少しだけ沈黙した後、「財団の職員ですよ」と答えた。
「正確には財団の中でも特殊な部署に所属しています。僕はそこに所属しているんです」
「特殊っていうのは具体的にどんなものなんだろ」
さっきの男の言葉を思い出しながら考える。
超能力者と聞いて真っ先に思いつくのは念動力とか瞬間移動かな。でも、もしそうだとしたら『特殊』とは言わないだろう。他にも透明化の能力なんかもあるかもしれないけど、これもまた違う気がする。
うーん、分からん。
とりあえず今は待つしかないよね。脱出方法が見つかるまで大人しくしているしかなさそうだ。
どれくらい時間が経ったのか見当もつかない。相変わらず暗闇に包まれた部屋にひとりぼっちだ。
暇なので独り言を口に出すことにした。
「もしもーし、誰かいますかー?」
シーンとしている。
「もしもし、もしもーし!」
やっぱり反応がない。
「もしもーし!!」
「うるせぇぞ! 静かにしろ!」
突然こんなところに放り込まれて途方に暮れていたら、部屋の隅の方から声がした。
「目が覚めたのかしら」
そちらを見ると、そこには一人の少女がいた。白いワンピースを着ていて、頭の上に小さな帽子を乗せている。見た目だけで判断すると十歳くらいかな。人形のような可愛らしさがあった。
少女が近づいてくると甘い香りが漂ってくる。なんだか頭がくらくらしてきたぞ。これは一体どういう状況だ。