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#社会人
寿命㌫(主)
2,881
り ん ご く れ ~ ぷ .
42
「ねえ、憲紀。君さ、いつもそんなに肩肘張ってて疲れない?」
呪術高専・東京校の薄暗い一室。
京都校の引率として来ていたはずの五条悟に呼び出され、加茂憲紀は端正な眉をひねっていた。目の前には、相変わらず目隠しのせいで視線が読めない、規格外の男が気だるげにソファに寝そべっている。
「……五条先生。私には加茂家を率いる者としての責任があります。あなたのように、不遜に生きることは許されないのです」
憲紀は真っ直ぐに背筋を伸ばし、努めて冷静に返した。だが、その言葉にはどこか、己を縛り付ける鎖への諦念が滲む。
五条は「ふーん」と気の抜けた声を上げると、音もなく憲紀の目の前に移動した。
その圧倒的な体躯と、不可侵の術式が放つプレッシャーに、憲紀の身体が微かに強張る。
「そういう『お利口さん』なところ、嫌いじゃないけどさ」
五条の長い指先が、憲紀の顎をすくい上げた。
拒絶しようと手が動くよりも早く、五条の顔が近づく。目隠しの隙間から覗く、吸い込まれそうなほど鮮やかな六眼の青。
「僕の前でまで、そのつまらない仮面、被ってなくていいよ」
「な……ッ、」
憲紀の唇が微かに開いた瞬間、それを塞ぐように五条の唇が重なった。
触れ合うだけのキスではない。憲紀が必死に築き上げてきた理性を、容赦なく抉り開けていくような、深く、強引な口づけ。
五条の大きな手が憲紀の後頭部を固定し、逃げることすら許さない。
「ん……ぅ、五条、先……」
息が詰まり、憲紀の目にじわりと涙が浮かぶ。
加茂家の次期当主として、常に完璧であることを求められてきた。弱音を吐くことも、誰かに溺れることも許されなかったはずなのに。
五条の指が、憲紀の衣服の隙間から滑り込み、熱い肌に直接触れる。その圧倒的な体温に、憲紀の思考はあっという間に真っ白に染まっていく。
「ほら、もっと僕に縋りなよ。憲紀」
耳元で囁かれた低く甘い声に、憲紀はもう、己を縛る鎖の重さを思い出すことすらできなかった。
コメント
1件
いやあ、読み終わった直後から胸が熱いです……!五条先生の「仮面被ってなくていいよ」という台詞、あれが憲紀のキャラクター性を的確に突いていて、すごく好きです。加茂家の重圧に縛られて生きてきた憲紀が、ああいう形で崩されていく展開、設定の活かし方が上手いなあと感じました。この1話だけで二人の関係性の核が見えて、続きが気になって仕方ないです!