テラーノベル
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閉店間際の書店。
蛍光灯の光が、
静まり返った店内に柔らかく落ちている。
「〇〇、こっちの在庫、もう確認した?」
棚の向こうから声がして、目黒蓮が顔を覗かせた。
背が高くて、落ち着いた雰囲気。
だけど時々見せる笑顔に、思わず胸が高鳴る。
「うん、今終わったところ」
「さすがだな」
「……ありがとう」
言葉は少ないのに、心がじんわり温かくなる。
私は漫画コーナーの棚を整理していた。
手元に集中して、つい夢中になっていると――
ガサッ。
「あっ……!」
手を滑らせて、一冊の本が床に落ちる。
「……大丈夫?」
低くて優しい声。
顔を上げると、目黒くんがすぐそばにいた。
しゃがんで本を拾う姿は、普段よりずっと近くて、
胸が きゅんと痛む。
「め、目黒くん……」
「本、拾っただけだけど……」
彼は少し照れたように笑い、手を差し出す。
その本の表紙は恋愛小説。
【好きになってはいけない人】〜〜
「……こういうの、読むんだ」
「え、あ、たまたま……」
慌てて言い訳する私に、
彼は微笑んだまま本を棚に戻す。
「へぇ、たまたまね」
その声が、胸に染みる。
「……俺も読んでみようかな」
「え?」
「“好きになっちゃいけない人”って、 どんな気持ちか、
知りたくて」
息が止まった。視線が絡む。
心臓が、早鐘のように跳ねる。
「……〇〇。俺、もうわかってるかも」
「え?」
「“好きになっちゃいけない人”を、好きになった気持ち」
静かな書店の中、二人だけの世界がゆっくり広がる。
コメント
2件
はーーー最高ですありがとうございます‼️😭😭😭