あっ…あぁ…
声を出そうにもかすれたなさけない声しか出なかった
「ダメ!死んじゃダメ!お願いだから生きて!」
目を覚ましたフリアは自身の腹部から多量の血が流れ出ていることに気づいた
『あぁ、もう死ぬんだ』
もうじき死を迎えることを理解したフリアはおぼろげながらに必死に腹部を押さえる少女に目をやる
そこには傷口を必死に抑え、強く声をかけ続けるラミアがそこにはいた
「フリア!お願い!死なないで!」
ラミアは悲鳴にも近い声で涙を流しながら必死に声をかけてきていた
「ごめん…ごめんなさい…私…本当は…」
「知ってた…」
「あなたの家族も!家も!全て!…」
「知ってた…」
「あなたを傷つけてしまったのも全て!…」
「大丈夫…大丈夫だから…」
ラミアが真実を話そうとする言葉をフリアは遮り、最後まで言わせないようにした
フリアは啜り泣くラミアを最後の力を振り絞り腕いっぱい抱きしめ、血だらけになりながらも思いを伝えた
あの日、君と出会ったとき…
僕は…本来、生きる運命じゃ…なかった…
もう…限界だったんだ…
こんな世界、消えちゃえばなぁって…
もっと…ぼーっと…生きていたかったなぁ…
泣きたくても…泣けなくて…
強く…強く生きなきゃって…でも……
諦め…ちゃった…
…情けないよなぁ…
でも、そのときに…ラミア……君は……僕を……救ってくれた…
すがるものもなくて…頼る人もいなくて……
抜け出せなかった…あの…不変的な…環境を……君が…壊して……くれた…
……おそらく……人々は……君を……怪物…と呼ぶ…だろう……
……でも……僕にとって……君は……
救世主だ
この数年…人生で…感じたことの…ないほどの……幸せ…だった……
家族って…こんな感じ…なのかな……
知らなかった……本来の…家族の像を……君を通して…強く……感じた……
……それは……
泣けるほど……暖かかった……
君は…僕から…いろいろ…奪ったと…思い詰める…だろうけど……
そんな…こと……ない……
僕は……この生活で……君から……たくさん…学んだ……
そして……君と……笑いあえた……
……ラミア……
彼はそう言い残すとふっと力が抜け息絶えた
「フリア…?フリア?ねぇ…!お願い!死なないで…!ねぇ!」
幾度と必死に呼びかけても返事が返ってくることはなかった
ラミアは血だらけのフリアを抱え込みながら一晩中泣き続けた
日が昇ってきても泣いていたただただ泣いていた
焼ける皮膚、灰となり崩れていく手足
「少女」は、ラミアはボロボロになっていく自分を気にせず、それでもなお泣き続けた
そして
「フリア…ありがとう…」
最後にそう一言呟くと春を感じる温かな風と共に灰は空へと舞った
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