涼ちゃんの頭の中は真っ白だった。胸の奥がむずむずして、心臓が早く打ち、息も少し荒い。
「……あっ」
思わず小さな声が漏れる。
まだ何が起きたのか、整理できない。
若井はそんな涼ちゃんを見て、迷わず手を伸ばした。
「大丈夫、もう動くな」
そう言うと、そっと抱きかかえる。
涼ちゃんは一瞬で身体が軽くなった気がしたけど、同時にどこか緊張して固まっていた。
「……若井……」
言葉が出ない。心の中の混乱だけが大きく膨らむ。
若井は抱えたまま静かに歩き、スタジオの外へ。
車に向かう道すがら、涼ちゃんはじっと目を閉じた。
逃げたいわけじゃない。けど、何を感じているのか、自分でも整理がつかない。
車のドアを開け、そっと涼ちゃんを座らせる。
「無理に話さなくていい。今はゆっくりで」
その言葉に、涼ちゃんは小さく頷いた。
まだ心は動揺しているけれど、確かに若井の存在に支えられている。
車のエンジンが静かに鳴り始め、夜の街に二人だけの時間が流れる。
コメント
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Part of meが頭に流れてきました💗