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星の英雄 ゲズとリオン

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星の英雄 ゲズとリオン

38 - 第34話 「英雄の魂、揺れる空」

2025年05月27日

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第34章「英雄の魂、揺れる空」


【夢の深層――ウカビルの記憶】


それは、静寂に包まれた世界だった。


光も音もない。

ただ、白い空間に浮かぶ“記憶の断片”だけが、静かに回っている。


少年のころのウカビル。

優しげな瞳の姉と笑い合う記憶。

剣を手にした日。

仲間を失った日。

そして、ルシフェルと対峙し、ただひとり戦場に立ったあの日――


ウカビル(俺は、どうしてあの日、振り返らなかった?

助けを求めていた声が、確かに……あったはずなのに……)


白い空間に、ふたりのウカビルが現れる。


ひとりは現在の彼。

もうひとりは、目に狂気を宿した“影”――


影ウカビル「お前が捨てたもの。それが俺だ。

光の名の下に、全てを斬り捨てた、お前自身の後悔だ」


ウカビルは、拳を握る。


ウカビル「……俺は、“あの日”を許していない。

自分が、誰よりも弱かったと、ようやく気づいた。

だが、今の俺なら、もう一度立てる気がするんだ」


影は微笑み、霧のように消えた。


その瞬間――



【水晶の棺、崩れる】


エラ・ノア神殿。

セレナが静かに祈っていたその時、水晶の棺にひびが走った。


セレナ「……!?」


棺の中から、眩い金色の光が漏れ出す。


そして――

ウカビルが目を開いた。


ゆっくりと、力強く身体を起こし、周囲を見渡す。


ウカビル「……この世界は……まだ、終わっていないのか」


セレナが駆け寄る。


セレナ「あなた……! 本当に……!」


ウカビル「君の声が、夢の中でも響いていた。……ありがとう。俺はもう……迷わない」



【再会と、新たな誓い】


ゲズと再会したウカビルは、静かに頭を下げた。


ウカビル「影の俺が暴れたと聞いた。……すまない。

あれは、俺の心の弱さが作った、もう一人の俺だ」


ゲズ「それでも、お前は今ここにいる。……だったら、それでいい」


三人は、再び力を合わせることを誓い合う。


ゲズ「ルシフェルを倒す。今度こそ、終わらせる」


セレナ「……でも、まだルシフェルは動いていない。静かすぎるわ」


その不穏さの中で、ふとウカビルが言った。


ウカビル「ルシフェルは、俺たちだけを相手にしていない。

……この宇宙には、“もうひとつの王の気配”がある」


ゲズとセレナが、息を飲む。

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