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高校二年、二日目。
昨日より少しだけ早く家を出た。
理由は特にない。
強いて言うなら、新しいクラスに少し慣れたからだろう。
教室へ入ると、昨日よりも賑やかだった。
「おはよー。」
「塾の宿題やった?」
「あー、忘れた。」
そんな他愛もない会話が飛び交っている。
「お。」
聞き慣れた声。
「きょーさん、おはよ。」
振り向くと、らっだぁが手を振っていた。
「あ、おはよ。」
「昨日より早いね。」
「まぁ、なんとなくな。」
「俺もなんとなく早く来た。」
そう言って笑う。
なんとなく。
その理由が同じなのかは分からない。
でも、不思議と少しだけ嬉しかった。
「そういやさぁ、」
席に座るなり、らっだぁが机へ頬杖をつく。
「きょーさんって、朝強い?」
「普通やな。」
「俺めっちゃ弱い。」
「そうなん?」
「五分ごとにアラーム鳴らさないと起きれないんだよね。」
「むしろ寝れんやろそれ。」
「全然ギリギリまで寝てる。」
「意味ないやん。」
思わず笑う。
朝からこんなに人と話すのは、いつぶりだろうか。
午前の授業は思っていたよりあっという間だった。
新しい教科書。
新しい先生。
自己紹介ばかりで、まだ本格的な授業は始まらない。
昼休みになると、一斉に椅子を引く音が響いた。
「きょーさん。」
「ん?」
「昼ご飯。」
「あぁ。」
「一緒に食べよ。」
昨日と同じように、あまりにも自然だった。
「…ええけど。」
「よし。」
らっだぁは満足そうに立ち上がる。
「あ、窓際空いてる。」
「好きなん?」
「景色見えるし。」
「なるほどな。」
二人で窓際へ移動する。
春の日差しが校庭を照らしている。
「いただきます。」
「いただきます。」
袋を開ける音が少し重なる。
「きょーさんはさ、」
「ん?」
「毎日弁当?」
「いや、今日はコンビニ。」
パンを取り出す。
「あ。」
らっだぁが反応した。
「そのパン美味しいよね。」
「食べたことあるん?」
「あるある。」
「へぇ。」
「チョコ多いじゃん。」
「そやな。」
「だから好き。」
なんだか嬉しそうに言う。
「甘いもん好きなん?」
「好き。」
「意外やな。」
「なんで?」
「なんとなく。」
「偏見だ。」
「すまんて。」
「許す。」
そんなくだらないやり取りで笑う。
本当に、なんでもない時間だった。
「そういえばさ。」
らっだぁが牛乳を飲みながら言う。
「きょーさんってゲームする?」
「あぁ、する。」
「ほんと?」
「たまにやけど。」
「何やるの?」
「最近やと……」
そこから話は思った以上に盛り上がった。
好きなゲーム。
昔ハマったゲーム。
難しかったステージ。
協力プレイで喧嘩した話。
気が付けば昼休みの半分以上が過ぎていた。
「やば。」
らっだぁが時計を見る。
「もうこんな時間。」
「早いな。」
「放課後もっと話そ。」
「またか?」
「嫌?」
「全然。」
「じゃあ決まり。」
またそれだ。
でも、その言い方が少し面白くて笑ってしまう。
チャイムが鳴る。
教室へ戻る途中。
「らっだぁ。」
「ん?」
「お前って、」
「うん。」
「誰にでもそんな感じなん?」
ふと気になって聞いた。
らっだぁは少しだけ考えてから笑う。
「んー……どうだろ。」
「?」
「気付いたらこうなってる。」
「曖昧やなぁ。」
「 確かに。」
その笑い方は、どこか照れ隠しみたいにも見えた。
午後の授業中。
先生の声を聞き流しながら、何となく隣を見る。
らっだぁは真面目にノートを取っていた。
さっきまであんなに喋っていたのが嘘みたいに集中している。
「……」
その横顔を見ていると、不意にらっだぁがこちらを向いた。
目が合う。
一瞬だけ間が空いて、
らっだぁは小さく笑った。
俺は慌てて前を向く。
……なんで見てたんやろ。
別に、意味なんてない。
ただ、少しだけ気になっただけだ。
窓の外では、柔らかな春風が桜の花びらを運んでいた。
高校二年、二日目。
昨日より少しだけ増えた会話。
昨日より少しだけ増えた笑顔。
そんな小さな変化が、これから先の日常になっていくなんて。
この時の俺は、まだ知らなかった。
NEXT=♡1000
ちなみにこの作品のらっだぁさんはそこそこ人気者だったり猫アレルギーがなかったりと(おそらく)現実の設定とは異なっているのでそのへんはご了承くださいませ(人 •͈ᴗ•͈)
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