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???「…………」???「どうかしたの?橙ちゃん?」
???「何かあったの?」
ここは、生徒会室。「雨花」、「桃時」は「橙」の元気の無さに疑問を抱いていた。
橙「……いえ!何でもないです!大丈夫ですよ!」
桃時「そう?なら良いけど」
雨花「…………」
橙「さぁ!早く仕事をしなくては!」
橙は誤魔化すように仕事をし始める。
雨花「……うん。やろう」
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カツカツカツカツ
橙「…………」
橙は家に帰り、ポストを開く。そこには……
橙「……はぁ」
気の強い書体で、書かれた手紙が入っていた。差出人は……
橙「…………どうすれば良いんだろう」
そこには、橙の母親の名前が書かれていた。
橙は部屋に戻る。
橙「私の家を知っているということは、学校での暮らしも知っているはず……雨花さんたちに迷惑をかける訳にはいかない」
せっかく会えたのに
せっかく出逢えた人たちなのに
失いたくない
また
あの時みたいに
橙「……うっ気持ち悪い……」
橙の心は今、母親によって蝕まれていた。
あの”教育”されていた頃を想い出し、吐き気を覚えてしまった。
橙「……手紙だけで済むと良いんですが……」
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橙「…………」
雨花「橙ちゃん。何かあったでしょ?」
橙「何でもないんです!本当に!」
雨花「……無理して聴いたりしない。でも、無理はして欲しくないな」
桃時「橙。あんたにはちゃんと味方がいるからね」
「兎白」、「瑠璃人」もうなづいている。
兎白「お前が無理する姿はみたくない」
瑠璃人「橙には幸せになって欲しいからな!」
橙は口を開きかけたが……
《ひ、ひぃ……お願いやめてやめて!!!!》《あ……あぁぁぁぁああ!!!!》
橙「…………本当に何でもありませんよ」
雨花・桃時・兎白・瑠璃人「…………」
橙「じゃあ私はこれで!」
橙荷物を急いでまとめると、生徒会室から出て行ってしまった。
桃時「あいつ、絶対無理してるわね」
瑠璃人「橙……」
兎白「俺たちにできることはないだろうか」
雨花「…………」
今の橙ちゃんの姿……
何かに怯えているようだった
橙ちゃんが怯えるものと言ったら……
“一人”しかいない
橙「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
《友達なんて許しません!!あなたは成績をあげることだけをやりなさい!!友達と遊んでる暇があるなら勉強しなさい!!私が引いたレールの上を歩けば良いの!!ここまでどれだけ育ててやったと思ってるの!!私にどれだけ助けられていたと想っているの!!絶対私の言う通りにしてれば良い人生を遅れるのよ!!分かったわね!!》
《橙。絶対私から離れるなんて許さないわよ。絶対に。あなたは私がいないと何もできないんだから。橙。分かってるわね?》
《……良い?橙、絶対いつか思い知らせてやるから》
橙「……うっ……ぷ……」
バタリッ
雨花「橙ちゃん!」
橙は気を失った。
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橙「…………ん……?」
桃時「あっ!目覚めた?」
瑠璃人「びっくりしたぜ……橙」
兎白「気分はどうだ?」
橙「あっ!私帰らないと……!!」
私が帰らなかったらあの手紙がお父さんにバレてしまう!
橙は保健室のベッドから這い上がろうとした。
雨花「橙ちゃん。わたし言ったよね?無理して欲しくないって」
橙「え?あっその……」
雨花は少し怒っているようにみえる。
雨花「橙ちゃん。せっかく人に頼れる状況があるのに人に頼らないことは優しさじゃない。ただ馬鹿で弱いだけ。人に頼らないことを優しいなんて言葉で言い表すのは見て見ぬふりをしてるだけなんだよ。もちろんこっちが手を差し伸べることが余計な辛さを生むこともあるから、わたしは橙ちゃんが手を差し出すまで待つよ。橙ちゃん……」
「「わたしたちは橙ちゃんのそばにいるよ」」
橙「え」
雨花「ずっとかどうかはともかく、”今”は橙ちゃんの隣にいるよ。それだけは絶対だよ。だから橙ちゃん独りが抱え込む必要はないよ」
雨花は、橙の手に手を重ねる。
瑠璃人「そうだぜ!俺たちはすぐ隣にいる!」
桃時「あんたの味方だって言ったでしょ?」
兎白「俺たちにできるならやるぞ」
雨花、桃時、兎白、瑠璃人は橙をみつめる。
橙「!、…………うっ……はい」
橙は事情を話すことにした。
雨花「……やっぱりそうか」
桃時「あんたのお母さんって本当にガッチガチの教育ママなのね」
兎白「うっすらとは聴いてはいたが……」
瑠璃人「オレの母親よりやばいな」
橙「…………ぐずっ」
橙は泣きながら話した。
雨花「わたしたちに何するか分からないから言えなかったんだね」
橙「はい……」
雨花「じゃあわたしたちの間だけでいつでも位置情報が分かるように、GPS付けとこうよ。橙ちゃんのお母さんが接触してきたらすぐGPSボタンを押して、発信させるの」
橙「でもGPS何てどこに……」
瑠璃人「それなら生徒会室の倉庫にあったぜ!」
桃時「なんか結構色々あるのね。うちの倉庫」
兎白「じゃあこれでいつでも駆けつけられるな!」
橙「あの!皆さん!」
雨花「ん?」
橙「…………!」
「「ありがとうございます!!!!」」
橙「私は恵まれてますね」
雨花「これぐらいならいくらでもやったげるよ!」
桃時「ふん!光栄に想いなさい!」
兎白「橙のことも守ってみせるからな」
瑠璃人「ちょっと兎白さん!それオレが言いたかったのに〜〜!」
橙「ふふっ」
保健室の窓から夕空色の光が差し込んでいた。暑さが薄れつつある風がカーテンを揺らし、ふわりゆらりと櫛で梳くように流れていた。
しかし、そんな時間に亀裂が入ることが後に起こるのであった。
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