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ab.side
今日は新曲のミュージックビデオの撮影。
思ったよりも振り付けが難しくて、覚えるのに大苦戦してしまった。
fk「あぁ〜…今回の振り付け、やばいね、笑 」
俺の座っている床の横にどすっと座って、猫みたいにうーん、とふっかは体を伸ばす。
「ほんとにね笑
照が振り付け、だよね?」
fk「そ、あいつやべぇよ、こっちの身も考えて欲しいわ笑」
なんて言いつつも、普通に踊れてるふっかのことは、正直尊敬でしかない。
思った以上にハードな振り付けだから、俺はもう参ってるのに…
「そうだね…」
fk「あべちゃんさぁ、ずっと気になってることあるんだけど 」
「ん?」
fk「なんで、この前泣いてたの?」
突然、ふっかに聞かれて、思わずぎゅっ、と腕を握る。
「え…」
fk「あんな、顔真っ赤にしてあべちゃんが泣くことってそうそう無いからね。」
ちょっと気になって、とふっかは優しく笑う。
「…なんでも、ないよ。」
少し、間が空いてしまった。
本当のことなんか、言えるはずない。
だって、嫌われるかもしれないから。
気持ち悪がられるかもしれないから。
失望されるのが怖いから。
fk「ほんとに?」
「…ほんとに。」
fk「嘘だ、あべちゃん嘘つく時、絶対腕ぎゅって握るもん。」
そんな、癖気付かれてたのか。
自分では、そんなことしてるつもりなんか無かったのに。
「…ふっかは、俺のことよく見てるんだね」
fk「当たり前でしょ?俺の大事な弟なんだから笑」
「…ありが、とう」
うん、そう言ってふっかは俺の頭を優しく撫でる。
妙に、その手から伝わる体温が温かくて、不思議と安心してしまった。
「…今日、時間ある?夜。」
fk「うん、あるよ」
「話したいこと、ある」
fk「照も、いた方がいい感じかな?」
すごい、照もって言おうとしてた事が見透かされているかのようにふっかは言った。
「うん、照も、居て欲しい。」
fk「おっけ、言っとくわ。」
ありがとう、って言ったら、ぜーんぜん、もっと頼りなさいね、ってふっかにちょっとだけ怒られちゃった。
普段、言っちゃあれだけどヘラヘラしてて、自由人みたいなイメージがありがちかもだけど、こう言う時は誰よりも早く気づいて相手に寄り添ってくれる。
そんなふっかを、俺はずっと尊敬してる。
それに、俺が一時的に活動を休止することになった時も、いち早く俺の異変に気づいて、寄り添ってくれた事を今でも覚えてる。
本当に、ふっかは頼りになる男なんだ。
その日の夜、俺は照とふっかを連れてご飯屋さんにきていた。
fk「あぁ、すいません〜、俺コーン茶下さい。」
「あ、俺も同じのをお願いします。」
iw「俺はハイボールで。」
それぞれが自分の飲みたいものを頼んで頼む。
fk「いや〜、撮影やばかったね笑」
iw「よく頑張ったよ、2人とも」
fk「おい、なんでちょっと上から目線なんだ」
えぇ?笑と笑いながらツッコむ照と俺が先輩だぞっ!!って得意げに話すふっかはなんていうか、微笑ましかった。
そのあと、3人で他愛もない話を沢山した。
昨日はこんなことがあった、メンバーとこんな所へ行った、など沢山。
iw「で、阿部は一体何があったの?」
不意に照にそう言われて、今日2人を誘った理由を思い出す。
ふっかも、箸をお皿の上に置いて真剣な顔で見つめる。
「…実は」
俺は、2人に全部話した。
男の人を好きになってしまった事。
それが、メンバーの目黒だと言う事。
そして、告白して振られてしまったと言う事。
でも、まだ、目黒のことが好きだという事。
男の人を好きになった、その事を知られたら嫌われるかもしれない、だから言えなかった、と。
すべて、正直に話した。
2人は、ただ黙って静かに聞いてくれた。
ふっかに関しては、頷きながら話を聞いてくれたりもした。
それが、すごくありがたかった。
iw「なるほどな…」
fk「だから、あの時泣いてたのね」
「うん…2人に、いや、全員に迷惑をかけてしまってごめんなさい。」
fk「なんで、あべちゃんが謝るのよ。
第一、迷惑です。なんて一言も俺ら言ってないよ?」
ふっかはただ優しく微笑んで、俺の肩をポンポンと撫でる。
iw「話してくれてありがとな」
「うん…あれっ?」
全部話したら、気が抜けたのだろうか。
ぽろぽろと涙が溢れる。
「ごめんっ、」
fk「謝んなくていいよ、気が抜けたんでしょ笑」
「…うんっ、」
涙は、全く止まってくれなかった。
止まった、と思ったらまた溢れる。
机の上の料理は全部ぼやけて。
ずっと、ふっかは背中を撫でてくれて。
「俺さぁ、まだ…目黒のことっ、好き。」
iw「…」
「でもさぁ、もう、無くさなきゃだよね、」
「…俺が好きでい続けたら、迷惑だよね….」
「なんでっ、めめのことっ…好きになっちゃったんだろう….ごめん、ごめんなさい。」
涙が、ぼたぼたと膝の上に落ちる。
顔を手で覆い隠しても、涙は止まってくれない。
fk「あべちゃん、言おう。」
少し、間を開けてふっかは言った。
fk「大丈夫だよ、こんな優しいあべちゃんだよ?絶対、大丈夫。」
「…えっ?」
fk「俺はね、目黒があべちゃんのこと大好きだってこと知ってんのよ、あいつ、まだ気づいてないだけだよ、きっと。笑」
ふっかの優しい声が耳にすっと入る。
iw「まぁ、あいつ鈍感っちゃ鈍感だし?笑 」
照もそれに同意するような形で言う。
iw「確かに、気持ちを消さなきゃいけない。それも正しいよ。でも、まだ残ってる時点で、目黒への想い、伝えきれてないんじゃん?」
iw「だから、伝えよう、 目黒への想い、全部。もしそれでもダメだったら、思いを消せばいい。簡単な話じゃないと思う。でも、きっと大丈夫だから。」
照の心強い言葉が、俺の心を軽くしてくれたような気がした。
全部、心を覆ってたものがぽろぽろと崩れていくような気がした。
「うんっ…うん…」
2人に話して正解だった。
ちゃんと、受け入れてくれる人がいるんだ。
そう、実感できた日だった。
その後は、ふっかがとりあえず頼め頼め!っていっぱい頼んで、3人では到底食べ切れない量の料理を食べた。
結局食べ切れず、3人で山分けして持ち帰ることになったんだけど笑
帰り際に、照が俺の頭をぽんと叩いて、絶対大丈夫。って、微笑んで言ってくれて、少し、涙が出てしまった。
ちゃんと、伝えよう。
もう一回。
たとえ、気持ち悪がられてもいい。
ただ、今は、あなたに好きと言いたい。
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さすが長年の2人説得力あるな。 ファイト💚