テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
一弥先輩は、高身長でも威圧感がない。
隣にいてもすごく自然で……
黒縁メガネの奥に見えるパッチリ二重の可愛い瞳で見つめられたら、本当にドキっとする。
そうだった……
梨花ちゃんも一弥先輩のことが好きなんだ。
確かによく先輩に話しかけている。
キャピキャピしている姿……きっと男性からは可愛いと思われるのだろう。
私には到底できないことだ。
もし私がそんな風にしていたら気持ち悪がられる。
梨花ちゃんは、一弥先輩が菜々子先輩と付き合っていることをまだ知らないようだ。
私と同じく、知ればショックを受けるだろうけれど、菜々子先輩は美人過ぎるから、いくら可愛い梨花ちゃんでも敵わないと思う。
そう考えたら、私なんて……可能性0だ。
服装は地味めだし、顔もたぶん平均点。
きっと一弥先輩は誰にでも優しいから、私なんかにも声をかけてくれるんだ。
もちろんわかってはいるけれど、一弥先輩と話したり、優しくされることは、やっぱりすごく嬉しかったから。
でも、一弥先輩が好きなのは私じゃない。
菜々子先輩なんだ――
一弥先輩と菜々子先輩。
何度見ても本当にお似合いだ。
「恭香先輩、どうかしました?」
「え? あ、ううん、ごめんね」
「いつもボーッとした顔が考え事して更にボーッとなってましたよ」
梨花ちゃんは、結構言葉を選ばずにハッキリ言う。
「森咲。ちょっとこっち手伝って」
この声……
苗字を呼び捨てで呼ぶ人って……
やはり、振り向くと本宮さんがいた。
「あ、本宮さん、すみません。今、私、梨花ちゃんと打ち合わせ中で……」
「天野さん、森咲借りていい?」
「えっ、はい。どうぞ……」
私だけ呼び捨て!?
梨花ちゃんも、少し戸惑っている。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!