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ちゃん
731
「はじめまして」
彼女は、面倒くさそうにそう言った。
「ええ、はじめまして」
彼は、少しだけ間を置いて答えた。
「…なんですか、その間。」
「いえ。初対面にしては、雑な挨拶だと思いまして。」
「感じ悪っ…」
「お互い様ですね」
彼女はため息をして話し出す
「で、お前誰」
「名乗る前にそれを聞かれるとは思いませんでした」
「いいから」
「……失礼。私はイギリスと申します」
名前を言うと、彼女はふうん、とだけ返した。
興味なさそうな顔。
それでも、場を離れようとはしなかった
「…何の用?」
「用、ですか」
彼は少し考えるふりをしてから、肩をすくめた。
「特には。ただ、ここにいると貴方に会えるので」
「は?」
「おかしなことを言いましたか?」
「…言ってる自覚ないの?」
「多少は」
彼女は呆れたようにため息をついた。
「意味わかんない」
「よく言われます」
「だろうね」
少しの沈黙。
彼女の背中
彼はそれを、どこか懐かしそうに見ていた。
「はぁ、なに見てんの」
「失礼。あまりにも感じが悪かったので」
「なに?、喧嘩売ってんの?」
「いえ。褒めています」
「どこが、」
「全部です」
彼女は一瞬だけ言葉に詰まって、すぐに目を逸らした。
「……変なやつ」
「よく言われます」
「それさっきも聞いた」
「そうでしたか」
彼は、ほんの少しだけ笑った。
気づけば2人並んで歩いていた。
別にどちらかが提案した訳でもない。
ただ一緒に歩いていた
「……なんでついてくんの」
「ついてきているのではなく、同じ方向に歩いているだけです」
「言い方うざ」
「失礼」
彼女は少しだけ歩く速度を上げた。
彼も、同じように合わせる。
「…イギリスさ」
「はい?」
「暇なの?」
「ええ、まあ」
「友達いないの?」
「貴方ほどでは」
「は?」
「失礼しました」
…
「ほんっとムカつく」
そう言いながらも、彼女は笑っていた。
ーー ほんの少しだけ。
…
「ねぇ…イギリスって私と会ったことある?」
「どうしてそう思うのですか?」
「いや、なんとなく」
「初対面にしてはなんか、あれだなって、」
「そうなんですね。」
「イギリスは?」
少し考える素振りを見せた。
「いえ、、、初対面だと思いますよ」
彼は…
少し悲しそうな、寂しそうな表情だった
「そっ」
それ以上はどちらも質問しなかった
ーー夕方
空はオレンジ色で少し藍色が出てきたような時間帯
「私、そろそろ帰るから、」
「ええ、また逢う日まで… 」
彼女は足を止めた
こちらに振り向き話し出す
「また会える?」
「逢いたいんですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど…」
イギリスは間を置いて答える
「逢えるかもしれませんね。」
「結構どっちよ…」
彼女はため息を吐く
「貴方が望めばきっと逢えますよ。」
「本当におかしいわ、あんた」
「よく言われます。」
「それ、何回言うつもりよ、、」
彼女は帰ろうと歩き出す
彼はそのの背中を見送った
何度も見送ったこの背中を。
ーー翌朝
そよそよと流れる風。
そんなに暑くはなくぽかぽかとした日差しの中、いつもの場所へと向かう
少し眠そうな彼女。
ベンチに座り本を読んでいた
私はいつも通り足を止める
ーーそして
「はじめまして」
「ええ、はじめまして」
何時もの日常が始まる…
彼女は首をかしげる
「なんか、変な感じがする。」
「私達、会ったことはある?」
「どうでしょうね」
「なんだろう。わかんないんだけど、」
「不思議な感じ。」
…
彼女は立ち上がり私に近ずく
「変なこと言うね。」
彼は少し微笑み楽しそうに見つめる
「どうぞ?」
「私…貴方のこと“また好きになる”と思う。」
「いや、あの…なんて言うか、、。」
彼は少し驚き、一瞬息を止めた
そして微笑む
「ええ、」
「存じていますよ」
「なにそれ、きも」
彼女は笑った
「失礼しました」
「まぁ、いいや」
「なんか話そうよ、」
何度記憶を無くしても
何度貴方を忘れても
何度でも、同じように
“また”好きになる
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