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柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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柘榴とAI

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『さぁさぁさぁ! 貴様にフィールドの選択権をやろう! 格上の俺は、どんな場所でも貴様を超越していると教えてやる!』
『ほぉ、良いのか? では……後悔するが良い。俺の選択は……“こう”だぁ!』
『な、なにぃ!?』
まだステージを選んでいる所だと言うのに、画面からはお二人の騒がしい声が聞えて来る。
ついでに、各ステージのサムネが表示されているんだけど。
出っ歯さんが選んだのは……ランダムのボタン。
並んだステージのサムネイルが色んな所にピコピコ動き始めて、子供達は大はしゃぎ。
もしかしたら、二人は小さい子を楽しませる為にあえてやっているんだろうか?
だとしたら、凄い。
皆を楽しませる才能に長けているお二人だと言う他無い。
などと、思わず小さな拍手を送っていれば。
「あの馬鹿……ちゃんと有利なステージ選らんどけば良いものを……」
「あっちゃぁ……これは、不味いね。ホント呆気なく負ける可能性が出て来た」
グレーさんは頭を抱え、黒沢君も小さなため息を零していた。
うん、まぁ……ステージ、大事だもんね。
むしろ出っ歯さんはメインがハンドガンなんだから、広くて見通し良い場所とかだったら手も足も出ないかも。
などと考えている内にフィールド選択が終わり、選ばれたステージは。
『『なん……だとっ!?』』
両者共、絶望的な声を上げているではないか。
個別対戦ってやった事無いから、あまりこういうフィールドには詳しくないのだが。
なんか……赤い。
何だろうココ、サムネイルだけだとよく分からないんだけど。
という事で、黒沢君の袖をちょいちょいっと引っ張ってから。
「あの……このステージって、どんな所なんですか? お二人共、何か嫌がってる雰囲気ですけど……」
身を寄せながら、コソッと話しかけてみると。
彼はちょっとだけ驚いた様子で、少し顔を赤くしてから。
「え、えっとね……? 火山地帯にある建物っていうか、完全にネタステージって感じかな。なんで運営もこんな所作ったんだって程、ふざけてるステージだよ」
おぉ、そんな所もあるのか。
これまで私が経験したステージは、基本的に凄く細かい所まで作られていて、もはや普通にありそうな街並みって感じが強かったので。
ネタステージなんて聞くと、逆に興味が沸いてしまうのだが。
「というか、ごめんね白川さん。もしかして俺、座る場所近かった?」
「え? いえ、私が後から座った状態ですし。別に……あぁっ! もしかして、鬱陶しかったですか? でしたら、離れますけど……」
「いやいやいや! 平気、そんな事無い! そのままで、大丈夫です……」
そこまで話して気が付いたけど、確かに近かったかも。
皆の邪魔をしないようにコソコソ話した方が良いのかなって思って、より近付いたのもあったけど。
身を乗り出した影響で、今なんか思いっ切り肩くっ付けちゃってるし。
「な、なんかスミマセン……」
「ううん、平気、俺は平気なので……白川さんが嫌じゃ無ければ、気にしないで……」
「……ハイ」
という事で、そのままの状態で待機。
その後始まった二人の対戦に集中しようと、大きな画面に視線を向けてみれば。
「え、は? これって、ガンサバですよね? 別のゲームじゃないですよね?」
「まぁ、そういう反応になるよね」
全く意味が分からないけど、工場……っぽい所?
しかし高所なのか、足場が凄く悪い。
簡易的に作った足場みたいなのが張り巡らされており、その下に見えるのは……何故か、溶岩。
いや、どういう設定のステージ?
本当にどうして、運営さんはこんな場所作っちゃったの?
もしかして深夜のテンションで、やっちゃえやっちゃえ! みたいな感じで追加した訳じゃないよね?
そんな感想を残してしまう程、ふざけたステージが映し出された。
ついでに言うと。
『クソがぁぁぁ! まともに戦えるかこんな場所でぇぇぇ!』
『ぬおぉぉぉ! ブーツが、ブーツが溶けるぅぅぅ!』
まだ別々の場所に居ると言うのに、二人共大慌てで走り始めたではないか。
問題のonly oneの装備だが……なんだろう、SF?
身体全体を包む様な細身のアーマーを纏っており、背中には明らかに重量過多と思われる武器の数々。
手に持っているのなんか、それこそガトリングガンだ。
凄く重装備の賞金首って事で良いのかな? などと思ってしまったが、背負っている武器に関しては種類も豊富。
一人で武器庫みたいになっているけど、本人は気にした様子もなく普通に動いている。
サブマシンガンやショットガン、狙撃銃なんて物まで持っている様だが……NPC戦のドロップリストでも思ったけど、やっぱり色んな武器を上手に扱える人って事で良いみたいだ。
なん、だけども。
「いや、あの……まだ戦ってないのに、デバフ出てますけど……」
「そうなんよシロさん、このステージの特徴。とにかく短期決戦じゃないと、そもそも試合にすらならない。その場に居るだけで高温のデバフ、ジッとしていれば足元から装備破損していくっていう。つまり床になってる足場も、相当熱くなってるって事だね」
私の呟きに、グレーさんが答えてくれたけど。
それは、ですね……試合になるんでしょうか?
「ちなみに、時間経過と共に溶岩が上って来るよーん。だから上に逃げながらじゃないと戦えないけど、時間掛けてるとどんどんデバフも酷くなるオマケ付き~。個人対戦だから良いけど、あえて武装の被害オンに設定してたりすると、全身の装備が一戦でなくなっちゃうかもねぇ」
「ナナさん、あの……冗談ですよね?」
うん、ガンサバのステージらしくないよコレは。
そりゃお互い、あんな反応示しちゃうよ。
「銃撃でどうこうじゃなくて、もはや相手を溶岩に蹴り落とした方が早い可能性もあるからね……当然、落下したら即死だし。俺やグレーだと移動速度の問題で、戦う前に諦めるステージ」
「うへぇ……」
最後の黒沢君のお言葉により、どれ程酷いステージなのか情報が出揃った。
昔のパーティーゲームみたいな感じ……で、良いのだろうか?
ネットの動画とかでしか見た事ないけど、2D画面でやるゲームとかはこういうのもあったみたいだし。
もしかして、それのオマージュ?
とか思っている内に、画面に映っているお二人はわっせわっせと上に登っていくのだが……。
どうやらこの建物、ピラミッド型になっているらしく。
上へ行けば行く程壁が迫り、やがてお互いが確認出来る場所までやって来た瞬間。
『デス・バレットォォォ!』
『オンリー・ワァァァァン!』
お互いに、物凄く叫びながら乱射し始める。
相手はガトリングガンだからこそ、出っ歯さんはめっちゃ走っているけど。
とはいえ。
『クソガァァァ! 高温デバフのせいでフラフラして当たらねぇぇ!』
『くははははっ! それ程の重装備、さぞ大変だろうなぁ! では、俺はお先に失礼するとしよう』
身軽な上に、脚力にステータスを振っている出っ歯さんの方が有利らしく。
彼だけは、相手の銃撃から逃げながら上層階を目指していく。
とはいえ余裕がある訳では無さそうだ。
とにかく相手の弾幕が途切れないのだ。
左右それぞれの手に武器を持ち、弾切れを起こすとすぐに別の武器に持ち変える。
コレを両方の手で別々のタイミングでノールックのままこなしており、デバフを貰っているのに綺麗に反撃の隙を潰していた。
上手い。
重武装の人が、たった一人でも強い要因を全て叩き込んだ様な戦い方。
『ちくしょぉぉ!? パージだパージ! こんな場所じゃ全部役に立たねぇ!』
とはいえこのステージではずっと足を止めている訳にもいかなかったらしく。
バシュッと凄い音を立てつつ、only oneの背中の装備が皆切り離されていく。
マシンガンだけ手に取ってから、彼もまた上層を目指し始めた。
しかし……何と言うか。
これは、もしかしてあのボディアーマーの能力なのだろうか?
以前見た3daysみたいに、やけに派手な動きというか、凄い跳躍をし始めたではないか。
凄い凄い! 身軽になった瞬間、出っ歯さんに追いつきそうな勢いだ!
『チッ! やはり賞金首……良い物を持っているではないか!』
『羨ましいか!? ならお前も、賞金首になるんだなぁ!』
再び始まった銃撃戦。
サブマシンガンを連射するonly oneと、ハンドガンを撃ちながら駆けまわる出っ歯さん。
気のせいかな? 出っ歯さんの連射、滅茶苦茶速くない?
当たっているかどうかは別として、あんなに速く撃てるものなんだ。
とかなんとか、別の所で感心していると。
『奥義! “フル・バースト”!』
『なにぃ!?』
二丁ともマグチェンジした出っ歯さんが叫び、引き金を引いた瞬間。
思わず、オイって言いたくなった。
あれ、ハンドガンだよね?
妙に長いマガジンを差し込んだかと思えば、本当にフルオートで撃ち始めたんだけど。
フル“バースト”って言ってたから、もしかして撃ちきるまで止まらないんだろうか?
だとしたら、凄く欠陥品な気がします。
普通に危ないよ、そんな銃。
だが、マシンガン並みの連射を見せ始める攻撃に対し。
間違い無く、only oneは怯んだ。
しかし相手はアーマーの防弾性能が凄いのか、全身から火花は上がっているものの、弾丸は弾かれてしまっている様だ。
『こんな豆鉄砲で、俺が沈むと思うなぁ! 必殺……“月光”!』
『なんだとぉ!?』
テンションが凄い二人が、今度は何をするのかと皆揃って眺めていたのだが。
次の瞬間、全員が「え?」って声にしてしまった。
だって、only oneのアーマー左手の装甲から……何か、出たのだ。
仕込み刃みたいな物がジャキッ! って出現したかと思えば、刃の部分だけ青く光り始める。
あの、ですね。
これ本当にガンサバですよね? 違うSFのゲームじゃないですよね?
いやでも、他の賞金首でも近未来的な装備使っている人も居るし……うーむ。
他の人から見ると、octopus8のロボットアームも同類なのだろうか?
とか何とか、ちょっとツッコミが追い付かない状況になっていれば。
彼は出っ歯さんが滞在している足場を、下層からまとめて切断し始める。
何か光っているブレードはとにかく切れ味が良いらしく、上に居る彼はどんどんとバランスを崩していくのが分かった。
何あれズルい、もやはビームサーベルだよ。
『クソッ! やるしかないか……最終奥義! “ジャックポット”だぁぁぁ!』
いったい何を考えているのか、二丁拳銃を投げ捨てた彼は……敵に向かって真っすぐ飛び降りたではないか。
いやいやいや、貴方の脚力があれば他の足場に飛び移るとか出来そうでしたよ?
などと言いたくなったけども、空中で彼は腰の後ろから一丁の巨大なリボルバー拳銃を……いや、でっか!?
何をどうカスタムしたらそうなるんですかって言うくらいに、バレルが長いし。
色んな所にゴツゴツしたパーツが付いていて、もはや私がサブキャラで使ってるマシンガンよりでっかい。
そんなモノを相手に向け、落下しながら連続でトリガーを引き絞った。
あんなでっかい銃なら、凄い防弾装備すら貫いちゃうんじゃ!? なんて、皆揃って生唾を飲み込んだ……筈だったんだけど。
「これだから……出っ歯は」
「肝心な所で、決まらないよね……アイツは」
6発全て発砲、相手も全力で防御体勢。
けど、全部外れてた。
必殺技の名前、ジャックポットって言ってたのに、一発も当たってない。
しかし彼の落下は止まるはずもなく。
『せいやぁぁぁ!』
『おまっ! ちょぉぉぉっ!?』
空中で大の字に身体を広げた出っ歯さんがonly oneに抱き付き、見事に二人揃って足場を踏み外し……落下。
そのまま下から迫る溶岩にドボンして、画面には引き分けの文字が表示される。
「負けは、しなかった……ですね?」
「プ、プクク……出っ歯さん、マジすげぇっす。超格好良いっすって言ってあげよう……流石ナンバーズキラーを名乗るだけあるよ」
笑いを堪えきれないナナさんが、私の隣でピクピクしていましたとさ。
いや、でもウン。
傍から見ていると、出っ歯さんの対戦はいつも楽しそうで良いよね。
外野としても、凄く楽しめると思う。
あと、賞金首と一対一で引き分けたのは普通に凄いと思うけど、誰も褒めてないのが逆に面白い。
電話が終わったのか、戻って来たtimelimit:10はこの光景を見て。
「未熟者が……」
って、恥ずかしそうに呟いていたけど。
コメント
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わあ、第155話、めちゃくちゃ楽しかったです!😊 出っ歯さんの最終奥義「ジャックポット」、名前は大当たりなのにまさかの全弾外れで、最後は抱き付いて相討ち…笑っちゃいました。でもその無鉄砲さが、彼の格好良さでもあるんですよね。ネタステージの溶岩ギミックも、二人の叫び声も、細かい描写が生き生きしていて、読んでるこっちまで声出して笑ってしまいました。思わず「ナイスファイト!」って言いたくなる、最高の小話でした🌷