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#K-T
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K-Takasaka
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わあ、もう2話目でいきなりテント炎上とは……!カキとミステーの自由すぎるデュエットが原因かもしれないってのが、妙にリアルで笑っちゃいました。「夏とピラミッド」、その語感だけで選んだってところがもうね(笑)。でも緊急時の対応がそれぞれちゃんとキャラに合ってて、アオノの冷静な消火指示とか、マサカゲの安全確認とか、チームになってきた感じがいいですね。鹿も無事で何より。続きが気になります!
キャンプ初日の夜。
六人はテントの前に設置したBBQ台を囲んでいた。
炭火の上では肉や野菜が焼け、煙と香ばしい匂いが周囲に広がっている。
「キャンプといえば、やっぱりBBQだよね!」
メバルがトングを手に、焼き上がった肉を皿へ取り分けていく。
「カキちゃん、まだ焼けてないお肉を取らないでね」
「分かってるって!」
カキはそう答えながら、網の上の肉に箸を伸ばした。
「今、取ろうとしたよね?」
「確認しようとしただけ!」
「食べる気だったでしょ」
メバルがカキの手を止める。
アオノは温度計を取り出し、肉の中心に差し込んだ。
「まだ加熱が必要。中心温度が足りない」
「そこまで確認するんだ」
メバルが感心する。
「食中毒防止に必要」
「アオノちゃんがいると安心だね」
マサカゲは焼き網と炭の状態を確認しながら、全員に飲み物を配っていた。
「食べ終わったら、火を弱めて片付ける。炭を追加しすぎないように」
「マサカゲちゃん、しっかりしてるね」
カキが笑う。
「事故を防ぐには、事前の確認が大切だからね」
「じゃあ、俺は食べる係!」
「係を勝手に増やさないで」
メバルがツッコんだ。
ミステーは焼きとうもろこしを手にしたまま、じっと炎を見つめていた。
「炎が踊っている」
「熱いから近づきすぎないでね、ミステーちゃん」
メバルが注意する。
「炎には音楽が必要」
「音楽?」
ミステーは隣にいたカキを見た。
「カキ、歌おう」
「いいよ! キャンプソングだな!」
「待って。何を歌うの?」
メバルが尋ねるより先に、二人は立ち上がった。
「♪ なーつーとー、ピラミッドー!」
カキが歌い始める。
音程は最初から大きく外れていた。
「♪ なァァァつぅぅぅぅぅぅ! と、ピラミッドォォォォ!」
ミステーは高音と低音を激しく行き来しながら歌った。
音楽として成立しているとは言いがたい歌声が、夜の森に響き渡る。
「ちょっと、二人とも! 音程がすごいことになってるよ!」
メバルが耳を押さえる。
「題名は『夏とピラミッド』!」
カキが胸を張る。
「どうしてピラミッドなの?」
マサカゲが尋ねる。
「語感がいいから!」
「よくないよ!」
その直後、森の奥から大きな物音が聞こえた。
枝を踏み折る音。
草むらをかき分ける音。
K-Tは立ち上がり、暗い森へ視線を向けた。
「全員、動くな」
「Kさん、何かいるの?」
メバルが声を落とす。
次の瞬間、木々の間から一頭の鹿が飛び出してきた。
「鹿だ!」
カキが叫ぶ。
「近づかないで。驚かせないように――」
メバルが言い終わる前に、鹿はBBQ台へ向かって走ってきた。
鹿の体がBBQ台に激突した。
金属製の台が大きく傾き、網の上の食材が地面に落ちる。炭火が散らばり、赤い火の粉が周囲へ飛び散った。
「危ない!」
K-Tはメバルの前に出て、後ろへ下がらせる。
転がった炭の一つが、テントの側へ落ちた。
風が吹いた。
火の粉がテントの布へ移り、端の部分が一気に燃え上がる。
「あっ、テントに火がついた!」
カキが叫ぶ。
「全員、テントから離れて!」
マサカゲが指示を出す。
「荷物を取りに戻るな! まず安全確保!」
「でも、寝袋が!」
「取りに行っちゃだめ!」
アオノが炎の広がり方を確認した。
「燃焼が拡大している。水だけでは消火できない。消火器が必要」
「俺が持ってくる」
K-Tはトレーラーへ走った。
「Kさん、気をつけて!」
メバルの声が聞こえる。
「問題ない」
「そういうときこそ無理しないで!」
K-Tはトレーラーの扉を開け、収納棚から消火器を取り出した。
二本を両手に持ち、すぐにテントへ戻る。
「Kさん、二本も持ってきたの?」
カキが驚く。
「俺は問題ない」
「そこは問題あるかどうかじゃなくて、早く使おう!」
メバルが叫んだ。
K-Tは消火器の一本をアオノへ渡した。
「風上から。炎の根元を狙う」
アオノが冷静に指示する。
「メバルちゃん、周囲に燃え移った火がないか確認。マサカゲちゃんは全員を下げて」
「分かった!」
「カキちゃん、ミステーちゃん、ここから動かないで!」
メバルが二人に声をかける。
「了解!」
「炎は赤い。だが、今は白い消火剤が必要」
「ミステーちゃん、解説はいいから下がって!」
K-Tとアオノは、燃え上がるテントへ向けて消火器を噴射した。
白い消火剤が炎を包み込む。
テントの端を焼いていた火が弱まり、次第に燃え広がる勢いが落ちていく。
「右側にまだ火が残っている!」
メバルが叫んだ。
K-Tはすぐに右側へ回り、残った炎へ消火剤を噴射する。
アオノも反対側から火の根元を狙った。
やがて炎は消え、辺りには白い煙と、布が焦げた嫌な匂いだけが残った。
テントは大きく焼けていた。
布は裂け、骨組みも曲がっている。入口の部分は黒く焦げ、寝袋や荷物の一部も使えそうになかった。
「……テント、もう使えないね」
メバルが焼けたテントを見つめる。
「森の一部になった」
ミステーが真剣に言った。
「なってない。燃えただけだよ」
マサカゲが即座に返した。
カキはうつむいていた。
「ごめん。俺たちが歌ったから、鹿が驚いたのかも」
「ミステーちゃんも、ごめんなさい」
「二人の歌だけが原因とは限らないよ」
メバルが優しく言う。
「でも、動物が近くにいるときは大声で歌わないこと。あと、BBQ台の周りに物を置きすぎないこと。火の管理も、もっと気をつけようね」
「うん……」
カキとミステーがうなずいた。
森へ逃げた鹿の姿は、もう見えなかった。
マサカゲが周囲を確認する。
「火が完全に消えているか確認する。誰か、燃え移った場所がないか見て」
「俺が確認する」
K-Tはテントの周囲を歩き、地面に落ちた炭や火の粉を一つずつ確認した。
アオノは焼けたBBQ台を調べている。
「テントの修復は難しい。今夜の使用は不可能」
「じゃあ、トレーラーで寝よう」
メバルがトレーラーを振り返る。
「全員で入れるかな?」
「寝床は確保できる」
K-Tが答える。
「俺のトレーラーを使う。問題ない」
「Kさん、今日はそれ何回目?」
「必要な回数」
「便利な言葉みたいに使ってるけど、ちゃんと休んでね」
六人は焼け残った荷物を確認し、使えるものをトレーラーへ運び込んだ。
マサカゲは火元の最終確認を行い、アオノは消火器の残量とトレーラーの設備を確認する。
カキとミステーは、しょんぼりしながら焼けたテントの前を片付けていた。
「明日の朝、この辺りを調べてもいい?」
カキが尋ねる。
「何を調べるの?」
「鹿の足跡とか、鉱石とか」
「鉱石が目的になってるよね?」
メバルが苦笑する。
「周囲の確認なら、全員で行う。勝手に一人で動かないこと」
マサカゲが言った。
「了解!」
片付けを終え、六人はトレーラーの中へ入った。
車内は少し狭かったが、外で寝るよりは安全だった。
「まさか、初日の夜にテントが使えなくなるとはね」
メバルが寝袋を広げながら言う。
「でも、みんな無事でよかった」
「鹿も無事」
ミステーが付け加えた。
「それも大事だね」
マサカゲがうなずく。
カキは、まだ少し落ち込んでいるようだった。
「明日は、もっと静かにする」
「歌わないってこと?」
「小さな声で歌う」
「歌うんだ……」
メバルが困ったように笑った。
K-Tは最後にもう一度外へ出て、消火後の周囲を確認した。火が残っていないことを確かめ、トレーラーへ戻る。
「外は問題ない」
「お疲れさま、Kさん」
メバルが声をかける。
「俺は問題ない」
「それ、もう聞いたよ」
全員がそれぞれの場所に横になった。
こうして、キャンプ初日の夜は予定とは違う形で終わった。
六人はテントではなく、灰色の大型キャンピングトレーラーの中で眠ることになった。