1章:旅の始まり…
2話:夜明けへ
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ー夜中
「ほんとに良いの?お父さんとか、お母さんとか、」
「どうでも…ゴホッゴホッ、大丈夫。」
「じゃあ行こっか」
「とりあえず僕が寝床にしている場所まで行くね!」
彼は明るく振る舞ってくれた。けど、私はどうして良いか分からず無愛想な対応をしてしまった。
「そういえばあなた名前は?」
「あー!そうだったね!僕は導奇秋!改めてよろしく!」
「よろしく。私は明日秀蘭…。」
「秀蘭よろしくね!!」
みちびき…。導奇…。聞いたことある名だな。
「あなた…シュウは五感の何がないの?」
あ、このタイミングは変だっただろうか。
「ごめ…」
「僕はね、視覚がダメなんだ。でもね、完全にじゃなくて、色だけ見えない。見たことない。」
「…?それって?」
「そう、”色だけ”は僕がこの家系の忌子で初めてなんだ」
彼は悲しそうな目をしていた。
「あ!秀蘭は!?」
「…私は痛覚。」
「じゃあ、痛くないんだ!」
「痛くなくても血は出るわ…。だから気づいたらケガしてた。なんてよくあることね」
「ふーん。それはびっくりするね」
「もう慣れた。ずっとだから。」
「あー!わかる!」
なんだか嬉しいな。分かってくれる人が少なかったから。
「あ!そうそう!秀蘭ってさ、なんの能力なの?物を創り出す力?願いを叶える能力?」
「…。創造を具現化する能力、よ。」
「えー‼︎すごい!やっぱりすごい!秀蘭ならきっと伝説を本当にできるね!」
「だから、なんの伝説よ…」
「それも後で説明するから!」
…悪用されたら嫌だな。
「シュウは?」
「ん?」
「なんの能力?」
「あーね!僕は”生死を導く能力“だよ!」
「生死…?」
「生物は命を落とすと一定時間魂がこの世に留まっていられるんだ。それをまたこの世の肉体に戻すか、あの世へ送るかを僕は導くことができる。」
すご…。ってか初めてしった…
「あ!でもね、亡くなって一定時間の人だけに限るよ!だから生きてる人をあの世に送ったり、一定時間を過ぎた人をこの世に戻すことはできないんだ!」
「一定時間ってどのくらいなの?」
「魂によってさまざま!自ら死を選んだ人は早いし、未練がある人はすっごく長い。」
「なるほど…」
「あと、あの世に送っても、”生きたい”“やり直したい”って言う意志が強いと戻ってきちゃう事もあるんだ!」
「つまり…その人次第で条件が変わるってことね。私も、知ってる物でイメージできるものじゃないと、具現化できないし。」
「!…そうなんだ。」
「…たまに、感じたことがそのまま具現化される時もあるけどね…」
その場合はほとんど嫌な記憶だけど
「う”ッッ」
眩しッ、突然目の前に光が現れた気がした。
「あはは、夜明けの太陽だね」
「眩しい…。けど綺麗ね」
「だよね!………あ!もうすぐ着くよ!」
「そう…。」
なんだか、これからの旅が明るくなる気がした。
彼が明るいから?
夜明けの太陽が眩しいせい?
じゃないと、
じゃないと、こんなにワクワクする理由が見つからない。なんでこんなに、楽しみなんだろ。
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