コメント
1件
だんだん短くなってる()
※この作品には(多分)全体的に不快と思わせる部分や、ショッキングな表現がされています。検索してはいけない言葉オールスターと合コンしてる様な感覚になるので合コンが苦手な方は逃げて下さい。───────
「罪から逃れる方法を知りたい?」
ならば、それならば、別の人間と成り、罪を
消して仕舞いなさい。それが貴方の、
───運命だから───。
私が頼るもの、精神逃避行、
それこそが「白昼夢」。
過去の私を俯瞰、第三者として見て、
「別人に成り変わる」事。
人の書を読み上げるように、
のめり込んで、その主人公を理解する。
無関係なものとなって、取り繕う。
それだけだ。
───────────
私は、齢九歳で、人を殺した。
彼らに罪は無い。
その筈。
──髴ァ髮ィ譬苓干關ス──。
淡い白髪が綺麗な女性。
病弱で、目には包帯をしていた。
只、白色。
肌も、髪も、包帯の中の盲目な瞳も、
蝋燭の様な、白色に、か細く、弱いひと。
何故殺した?
私が狂っていた。
頭の可怪しい幼い少女が、
無知さながら
好奇心に負け
悪戯に殺した。
彼女の周囲には多くの女中達が居たのにも関わらず、
誰にも気付かれずに殺された。
それ程、女中は彼女の事を見ていなかったの
だろう。
私は、あの男に渡された「刃物」を使った。
何故かしっくり来た。
譬苓干關スはその場に倒れ、「紅い」血を流した。
白から溢れ出る紅は、紅白と呼べるだろうか。
その場に居た全員が驚き、悲鳴をあげて逃げ出した。
呆気ない。まるで蜂の巣に殺虫剤を入れたかの様に、
この部屋には、死体と殺人鬼以外、誰も居なくなった。
私はその死体に触れた。体からは更に紅が抜けていく。
死体とは何でしょう。
血とは何でしょう。
楽な眠りでしょうか。
墓石は、ある種の布団でしょうか。
痛みの伴うものでしょうか。
血
…血?
これは「血」?
滔々と頭を巡らせる。
鉄臭い赤色、手に付着して固まった。
…覚えがある。
そして、気付いた。
私が昔、苦しんで「血」を吐いた事を。
目が暗くなって私の「終わり」を感じ取る直前の
地面が紅く染まったアレ。
いつもの白昼夢ではなく、走馬灯。
全て察した。
「これ」が如何ほど酷い事か、
これがどれほど禁忌とされていたかを。
何故か、今、
全て終わってから、気付いた。
一気に視界が歪む。
私は、何て事をしてしまったのか。
殺した
殺した
四有の「死有」に送り出してしまった。
もう二度と返らない事をしてしまった。
髴ァ髮ィ譬苓干關スは
口を噤む「亡き人」になった。
「……あ
…ああああああああああ、…」
そういえば…
私が彼女を殺す前に、あの男は、
私の髪を切ってくれた。
……切りやがった。
『失恋』
…そういう事だったのか
よくわからない。
どうしようもなくなった。
悲鳴では無い。
騙されて、手を掛けて、戻れなくなった事の
苛立ち。これ以上何も出来ない事の気持ち悪さが
歯を立てて、舌を噛んだ。
血がでた。
ふと、目の前のふすまが開いた音がした。
「どうかなさいました?
…あッ。」
…!
あの娘だ。
見られてしまった。
いや、もうどうしようもない。
見られたって、どうでもいい。
私はどんな結果でも、狂う羽目になる。
どうだっていいんだ。
只ひたすらに、申し訳無さが残るだけだ。
なんとなく、口をついて出た。
「見ちゃったね。」
と、娘の目線の先をみた。
立ち尽くしている様にも見えるが、そうじゃない。
娘は私を見るなり…
……いや、母を見るなり、
目を輝かせていた。私が言うのも何だが、
正気の沙汰じゃ無い。
血がどくどくと白い肌を伝う”ソレ”を見ては、
目を丸く大きくして、赤黒くなったものをみて
散瞳していった。
そしてこちらを見て、こう言った。
「……これ…貴方が、…」
貴方がやったの?と聞いているのだろう。
あーあ、本当に、申し訳ない。
「あっち行けよ、お姫様。」
どうにも皮肉っぽく言ってしまう。
彼女はこの屋敷の箱入り娘らしい。
碌に外の事も知らないのだとか。
金持ちの箱入り娘なんてなんにも知らず、
さぞかし幸せに生きていたのでしょうね。
三年前までは。
でも、もう私には関係ない。
さよなら、傷だらけのお姫様。